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女は手当たり次第、喧嘩はすべて買う――TOKIO・山口達也の実弟・Kouzyインタビュー

2013/05/27 08:00

 Kouzyが中学・高校時代を過ごした90年代の埼玉は、暴走族一本から、チーマー、バイカー、ギャングなど、さまざまな不良のスタイルが乱立していく移行期であった。Kouzyは不良だらけだった地元の中学にドカンを腰履きするスケータースタイルで通い、高校へ進学するころにはヒップホップのチームに所属し、ブレイクダンスを踊った。高校を卒業すると師匠に付き、本格的に音楽に打ち込むことになった。

「1回家を出て、音をガンガン出しても怒られない、田舎の畑の真ん中の家に住んだんです。その時やってた音楽はメタルでスゴく好きだったんですけど、いざデビューって時に『あなたはポップスだ』って事務所から言われたんです」

 青と紫の長髪メタル少年だったKouzyは、スーツを着せられ、ビートルズのようなマッシュルームカットに変身させられた。

「なんだこれ? どこのコミックバンドなの、って思いましたね。そのおかげで仕事ももらえていたし、嫌いじゃなかったですけど……。でもまあ無理ですよ。人格までは変えられないですから」」

 ポップス路線は3年続けて辞めた。練り込まれたビジネスプロジェクトとしての音楽を器用にこなすような性質をKouzyは一切持ち合わせていなかった。そういった既存の枠組みからあふれ出てしまう過剰さ。暴力性をはらみ、周囲の者からすれば破滅的とさえ映るリミッターのなさがKouzyという男だ。

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「俺はうどん食べててちょっと辛さが足らないなって思ったら、一味を一瓶全部入れてしまうタイプですね。で、なんだこれ辛いじゃねえかって。なにごとも、効率悪いだろうなと思う前に、とりあえずやってみる。やる前から『やってもしょーがねえじゃん』って思ったら、そんなつまんねぇ人生ないんじゃないかって思うんです」

 後のことは考えない。10代の頃は、女も手当たり次第だった。そんな生き方をしてきたのだから当然トラブルは絶えず、武道家でありながら売られた喧嘩はすべて買ってきた。整った顔だけでなく、頭、そして拳には無数の古傷が刻まれている。

「体が細いから、しょっちゅう絡まれるんですよ。でも、喧嘩は嫌いじゃないですね。どつくのが好きなんじゃなくて、どつき合いが好きなんです。プロレスの興行に出るようになって、喧嘩に対する考え方がちょっと変わりました。喧嘩なんてやっても褒めてくれる人はいないし、単なる自己満足だったのかもしれない。それがプロレスだと、勝っても負けても、客は喜んでくれる。ほかの格闘技は、どつかれないようにどついてナンボの世界じゃないですか。でもプロレスには、相手の技を受けきってからという前提がある。俺の好きなどつき合いです。その意味で、すごく良い格闘技に出会えたなって思ってますね」

 体の大きな相手にどつき合いを挑み続けられることを楽しみにしていると、落ち着いた表情で語った。Kouzyは、内なる怒りと暴力衝動をエンターテインメントに昇華させる場を得たに違いない。

KOUZY(こーじー)
本名・山口公次。埼玉県草加市出身。TOKIO山口達也の実弟。メタルバンド「theCYCLE」のボーカルとして活動し、一昨年2月25日に行われたプロレス団体「666」の音楽コラボイベントに出演、プロレスラーとしてデビューを飾る。
公式ブログ

最終更新:2013/11/28 18:22
『手紙』
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