「1990X」編集長・斉藤まことインタビュー

女子カルチャーの新局面? ギャル系・カワイイ系でもない1990Xとは

――デジタルネイティブな90年代生まれの女子にとって、90年代の雑誌はどういう存在なのでしょうか?

斉藤 「1990X」に登場する慶応大生の鵜川カナさんは、古本屋でネット時代以前の、渋谷系と言われているカルチャー雑誌を見つけるたびに、“保護”しているそうですが、雑誌がかつてのアナログレコードみたいになっているように思います。かつてDJじゃなくても、アナログ盤レコードを買うのがカッコイイみたいな風潮があったけど、ネット世代の子にとって、あえて紙にこだわるというのは、ある種の選民思想の表現になり得てるのかなと思います。

――「1990X」には鵜川さん以外にも、誌面には90年代生まれの才能豊かな女の子が多く登場しますが、彼女たちは、ほかの世代と比べてどんな特徴が?

斉藤 「きゃりーぱみゅぱみゅ」(93年生まれ)って存在自体がアバターですよね。その本名感のないところが、今の時代っぽいと思います。例えば2000年代前半って、漫画もドラマも、安野モヨコ先生が『働きマン』(講談社)で描いたような、ちょっと野心を持った女の子や、女の子の欲望の解放みたいなテーマの表現が多かったですよね。沢尻エリカとか宇多田ヒカルって、野心や自我を本名のままで前に出し続けることによって、生身の彼女たちが傷ついている感じがすごくしたんです。

 一方、きゃりーぱみゅぱみゅは、「きゃりー」という初期設定があって、そのバッファーによって、例え“きゃりー”にスキャンダルが起こっても、生身のきゃりーは傷つかない感じがするんです。あの、そつがなくて低体温な感じが非常に今っぽいと思います。

――なぜ、90年代生まれは、アバター的になるのでしょうか?

斉藤 小学生の頃から「学校裏サイト」があったので、我を出しすぎるとハブられたり、炎上する恐ろしさを熟知しているからでしょう。こう発言すると、こんなツッコミがくるとわかっていて、周囲との同調圧力に敏感なんですよね。だから、90年代生まれって実は自分を突出させることが苦手な、「バランサー世代」でもあると思うんです。さらに、ネットで検索すれば「以前はこうだった」「この道を選ぶと、こうなる」と、体験せずとも道筋が見えすぎていることが、逆に彼女たちを苦悩させているとも思います。あらゆるジャンルにマイスターがいるから、「今さら私が言うことも……」って感じで、オリジナリティを打ち出すのがすごく難しい。

――誌面に出てきた人気食ブロガー・平野紗季子ちゃん(91年生まれ)は、すごくいい感性の持ち主だと思うのですが。

斉藤 平野さんって実はすごく突出できる才能の持ち主だと思うんですけど、「品位」ってことを自己基準にしているように見える。意図的にバランスを取って、前に出すぎないようにしているように思えます。だから、バランスを取ることに疲れて、批判されてもいいから突き抜けたいと思っているこの世代が、芸能以外のジャンルからも世に出て行くきっかけに「1990X」みたいな雑誌がなれればいいなと思います。

(後編につづく)

最終更新:2013/06/02 00:13
『1990X』
90年代の地縛霊になったオバサンたちに捧ぐ

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