クイーンらしい冗談まじりのスピーチ

マドンナ、同性愛差別を皮肉るコスプレと感動的なスピーチで話題に

2013/03/18 16:30
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こちらもある意味伝説の猫パンチポーズ

 今年55歳の誕生日を迎えるマドンナ。16日に開催された、中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟(GLAAD)主催の第24回GLAADメディア賞授賞式でプレゼンターを務めた彼女は、ボーイスカウトのコスプレをして登場。感動的なスピーチで、会場を大いに沸かせた。

 1982年に歌手デビューして以来、クイーン・オブ・ポップとして音楽シーンのトップを走り続けているマドンナ。彼女は、その長いキャリアの中で、女性の自立と同じくらい同性愛の人権支持を訴えてきた。昨年は、ロシアで行ったコンサートで、「私は自由の戦士よ!」と叫び、ロシア正教の十字架を踏み付けながら同性愛を奨励する発言をして裁判沙汰に。市民から「未成年者に同性愛を宣伝し、ロシア正教信者の宗教感情を傷つけた」と訴えられる騒ぎとなり、大きな注目を集めた。

 世界的に有名な同性愛者のエルトン・ジョンからは嫌われているが、「ゲイに媚を売るのではなく、自分の信念に基づきゲイを支援している」と世界中のゲイ・コミュニティーから絶賛されている。年とった体にムチを打ちながら厳しく自己管理し、しわ伸ばしのボトックス注射を打つことで美しいイメージを守ろうと努力するマドンナのことを、彼らは己の信念を頑なに守る女神として崇拝しているのである。

 そんなマドンナが、16日、ニューヨークで開催された第24回GLAADメディア賞の授賞式に出席。ボーイスカウトの短パン・ユニフォームに、セットしたブロンドヘアーを乱さないようにチョコンと帽子をかぶり、満面の笑みを浮かべ、プレゼンターとしてステージに上がった。

 マドンナがボーイスカウトのコスプレをしたのは、大きな理由がある。長い歴史を持つ米ボーイスカウト連盟が、同性愛者の入会を禁止する規定を堅持しているからだ。多くのセレブがこれに反対し、オバマ大統領までもが「すべての人を受け入れるべき」だと提言しているのだが、連盟はガンとして規定を変えようとはしない。

 ボーイスカウト姿のマドンナを見た授賞式出席者は、彼女が連盟を皮肉るに違いないと大喜び。拍手で彼女を迎えた。マドンナは、「お招きいただいて光栄だわ」とスピーチを開始。「ボーイスカウトに入りたかったのに、ダメだって言われたの。おかしくない? だって、アタシ、火付けの名人だし。テントをピンって張ることも得意。方向感覚だって抜群なのに」「木から降りられなくなった子猫ちゃんを救うこともできる。社会に貢献したいだけなの。あっ、それに、ほかの男の子たちをボーイスカウトに勧誘(スカウト)することも得意だわ。これって重要よね」と言い、会場から歓声が上がった。

 マドンナは続いて、「アタシは、みんながボーイスカウトに入るのをあきらめるべきじゃないと思うの。彼らがマヌケな規則を変えるべきなのよ。そう思わない?」と問いかけ、会場はフィーバー。「実はアタシ、ガールスカウトに入っていたの。でも、やめさせられたの。スカートが短すぎたのと、助成金集めのクッキー販売ノルマを達成できなかったのが原因で。実は食べちゃったのよ、売らなきゃいけないクッキーを」と軽い話を交え、ゲイであっても「人間として付き合えば」ストレートと違いなどないことがわかると述べ、昨年のロシアでの騒動を掘り返し批難し始めた。ロシア正教は同性愛を強く非難しており、サンクトペテルブルクでは反同性愛条例なるものまであるのだが、マドンナはこれに対してあらためて抗議。ロシア正教の主要教会でプーチン大統領復帰に反対するパフォーマンスを行い刑務所に入れられた女性3人を擁護する発言も飛び出した。

 そして、「あなたの隣人を自分のように愛しなさい」という旧約聖書の言葉を引用し、宗教を利用し同性愛を攻撃するのは間違っていると主張。いじめに遭い自殺に追い込まれたアメリカの学生たちのこと、イランでは同性愛者が死刑になるということにも触れ、「こういうクソったれたことに、もううんざり」と言い放った。

 9分を超える長いスピーチを行ったマドンナは、最後に、「ゲイやレズビアンの平等性を広めた」貢献者に贈られる、栄誉あるヴィト・ルッソ賞を今年受賞した、ジャーナリストでCNNの看板番組を持つアンダーソン・クーパーを紹介。長年ゲイだとウワサされていた彼は、昨年「特に隠していたわけじゃないけれど」とカミングアウト。そのことが多くの人に勇気を与えたとして同賞が与えられた。マドンナに名前を呼ばれたアンダーソンは感極まり、彼女に抱きついてブチューっと音がしそうな熱い接吻をし、これもまた大きな話題となっている。

 青色のボーイスカウト姿のマドンナは、プレゼンターを務めた後、バックステージで、両手をポケットに入れて、仁王立ちのポーズを取りながら写真撮影に応じた。感動的なスピーチを行った彼女は少し疲れたようにも見受けられ、ネット上では、「ボトックス注射でしわが伸びすぎて表情がなく、怖い」「手を加えた顔でボーイスカウトのコスプレをするのは痛い」という手厳しい声も。しかし、何も恐れない、老いも恐れず堂々とコスプレするマドンナは、やはり唯一無二の存在であり、「さすがは女王」という声の方が勝っていたようだった。

 四捨五入すると60歳になるマドンナだが、これからも自分の信念に基づき活躍し続けること間違いなし。世代やジェンダーを超えて、いつまでも愛される偉大なアーティストであり続けるだろうと、全世界から期待されている。

最終更新:2013/04/03 12:34
NdorthEagle(ノースイーグル) ミニドーム200
私もテント張るの得意です(ストレートな意味で)
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