客席6割しか埋まらず

男性声優イベントの先駆け『ネオロマンス』、客席ガラガラお粗末状態の理由

2013/03/18 11:45
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『ネオロマンス・アラモード5 with 下天の華』
公式サイトより

 男性声優イベントの先駆であった、コーエー(現コーエーテクモゲームス)主催の『ネオロマンス』シリーズのイベントが、現在、閑古鳥が鳴いている状況なのだという。

 『ネオロマンス』シリーズとは、コーエーの女性向け恋愛ゲームの総称であり、そのイベントの歴史は、今から13年前の2000年に遡る。1994年、ゲーム業界初の女性向け恋愛シミュレーションゲーム『アンジェリーク』シリーズを発表し、大ヒット。このゲームから派生したイベント『アンジェリーク・メモワール2000』が、00年に初開催されたのだ。

「当時、男性声優を集めたイベントなど皆無だったため、コーエーの試みはとても画期的でした。『ネオロマンス』シリーズを企画している開発チーム『ルビーパーティ』の設立メンバーは、女性向け恋愛シミュレーションゲームの地位を確立しようと、志を高く持っていました」(ゲーム業界関係者)

 イベント立ち上げ当初は、一階席の半分が埋まれば良い程度の集客力だったという。しかし、ゲームキャラクターである男性声優たちが、生でキャラクターを演じ、キャラクターソングを歌い、観客に対して愛の言葉を囁くという内容がウケて、瞬く間に固定ファンを味方に付けた。

 収容人数5,000人のパシフィコ横浜が埋まるようになったのは、初イベントから5年にも満たない2004年。それから先の2~3年、『ネオロマンス』イベントは大盛況を博したという。

「イベントを打てば即完売。当時、男性声優が揃うイベントは『ネオロマンス』だけだったので、イベント当日は全国のファンがパシフィコ横浜に集結しました。パシフィコ横浜はファンの聖地となり、当然、イベント前後の会場周辺の景気も、『ネオロマンス』ファンのおかげで異常な伸びを見せたそうです」(同)

 短期間で効率的にお金を落とすファンを有する『ネオロマンス』イベント――そこに目を付けたのが、横浜市だったようだ。

「横浜市はコーエーと提携を交わし、パシフィコ横浜大ホールを格安で貸す代わりに、年に何回かのイベントを行うことを義務付けたと聞いています。満員御礼、キャストやスタッフに大入り袋を出すほどの人気絶頂時に、そんなおいしい打診をされたら、コーエー側としては食いつかない手はないですよね」(声優業界関係者)

 その後、契約通り『ネオロマンス』イベントは間を開けず定期的に開催されるようになったわけだが、同時にほかのゲーム会社が、ゲームから派生するイベントに関心を示しだした。そして、コーエーの独壇場だった男性声優イベントは、08年頃から戦国時代を迎えるに至った。

「恋愛シミュレーションゲームとしては、コーエーよりも先駆を走っていた『ときめきメモリアル』の女性向け版『ときめきメモリアル~Girl’s Side~』を筆頭に、人気男性声優を集めたイベントが乱立しました。男性声優ファンとしては、もはや『ネオロマンス』イベントに固執する必要もなくなり、集客はだんだん落ち込んでいきました」(同)

 そして、初開催から13年を迎えた現在も、『ネオロマンス』イベントはパシフィコ横浜にて、頻頻に開催されている。当時、士気高く『ネオロマンス』普及に尽力していたイベントスタッフは現場を離れ、現在のスタッフは“オタ集団”と化しているという。

「打ち上げ会場は、コーエーのオタクスタッフとキャストとの懇親会のようなもの。キャストは必然的にスタッフのお気に入りで揃えられ、今やマンネリに陥っているように見えます」(前出ゲーム業界関係者)

 先日、2日間4公演で開催された『ネオロマンスアラモード・5 with 下天の華』では、新作『下天の華』のキャストを揃えたにもかかわらず、一階席の6割程度がようやく埋まるほどの始末。

「あまりの客入りの悪さに、黒字確保を最たる目的として、存続を保っているようです。このイベントからは、声優たちのマネジャーの弁当配給がなくなり、以前は楽屋名物となっていた周辺ホテルからの仕出し豪華オードブルも、近場のスーパーから調達しているんだとか。今回のイベントに用意されていたオードブルは、経費削減のため鮮度が悪かったのか、キャスト内では『もしかして、腐ってる?』とうわさされていたようですよ」(同)
 
 かつては男性声優イベントの先駆だった『ネオロマンス』イベント。初期の独走状態にあぐらをかいていたツケが回って来てしまったのだろうか?

最終更新:2013/04/08 04:07
『ライブビデオ ネオロマンス スターライト・クリスマス 2012』
オタが裏方につくとろくなことにならない
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