[女性誌速攻レビュー]「25ans」4月号

「25ans」のママ対談、“お金があるゆえの悩み”をより前面に出して!

2013/03/14 21:00
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「25ans」2013年4月号(ハースト婦
人画報社)

 今月号の「25ans」(ハースト婦人画報社)、大特集は「All About エレ女デビュー」です。「25ans」が押している「エレ女」になるためのファッションやらマナーやら小物選びやらお稽古ごとやら、情報が目白押し。綴じ込みとして「現在進行形! 2013年マナー読本」という別冊があったのですが、出だしからロングドレスの際の「ぬけ感」の重要性を解説したり、「皇室の方や要人も臨席するようなモストフォーマルな場面では~」とびっくり記述があったりと、改めて「25ans」ワールドの特殊性を実感しました。

 「中国料理では、器をテーブルから持ちあげない」「ホームパーティーにエプロンを持参し、積極的に台所を手伝うのはNG」などを見るにつけても、マナーは互いに共有していないと一方の自己満足に終ったり、逆に「あの人はなんて失礼なの!」と怒りのタネになることも実感。まあ「25ans」や「家庭画報」読者のいう“マナー”は、コミュニティへの入所試験のような意味合いがあるので、こういった“読本”があるわけなんですが。それを思うと、この別冊の冒頭にある「25ans」編集部からの「マナーや礼法は、堅苦しい決まりごとではありません。それは、人と人とがお互いを思いやり、円滑に交際するためのエッセンス」という口上が、虚しくこだましているような気がします……。

<トピック>
◎目指せ! 猫目&猫ボディ
◎連載「神田うののエレママ対談」
◎All About エレ女デビュー

大人の事情、マジすげえ!

 今月号のビューティー企画には「目指せ! 猫目&猫ボディ」というページがあり、“スウィート白猫系代表”として桐谷美玲、“セクシー黒猫系代表”として黒木メイサが登場しています。確かに猫系とも言えなくない2人なんですが、なぜこの2人? もしかして、「女版ジャニーズ」と名高い芸能事務所「スウィートパワー」所属だから? などとすぐに大人の事情を疑っては、幸せな人生を歩めません。ここはひとつ素直に、白猫系・黒猫系代表という設定で見てみようじゃないですか。

 「私もよく周囲から『猫っぽい』と言われますが、自分ではどちらかというと『豹』かなと思います(笑)」(黒木)、「第一印象では怖く見られたり、クールに思われたりすることも多いのですが。実際は細かいことは気にしませんし、男の子みたいな性格なんです」(桐谷)というインタビューを読んで鼻ちょうちんを膨らませていると、ビックリするのはインタビュー下部の2人のメイクに使ったアイテムを紹介するコーナー。想像に難くないと思いますが、黒木のアイテムは全部「KATE」、桐谷のアイテムはオール「ファシオ」です。完全にCM! 完全に大人の事情じゃないですか! 一瞬でも「25ans」を信じた私の心を返してよ!

 といっても「25ans」もよっぽどストレスがたまったのか、次ページから「夜&昼 エレな猫目になるメイク!」と題打って、ディオールやらジバンシィやらSK-IIやらゲランやら高級ラインをどっかんどっかん入れてきました。いや、KATEもファシオもいいんですよ。でもやっぱり、「皇室の方や要人も臨席するようなモストフォーマルな場面」に出くわすような「25ans」読者は、マツモトキヨシやミネドラッグで売っているようなコスメは買わないってこと! これもマナーだから!

「25ans」でママ企画を展開する意味

 連載「神田うののエレママ対談」、今月は萬田久子をゲストに迎えています。萬田といえば、妻子ある男性との間に子どもをもうけ、男性の離婚が成立した後も事実婚状態を貫き、一昨年そのパートナーを看取ったことは話題になりました。対談では、一人息子についてはもちろん、パートナーと前妻の子どもたちとの交流もちらほら話に出てくるのですが、全体的にボヤかされていたり、“子どもがいろんな人と自分をつなげてくれる”というキレイごとで終わらされていて、物足りない。

 「25ans」がママ読者を想定した企画をやることの1つに、“経済的に裕福な女性の子育て”という非常に少ない層における「問題の共有」があると思うんです。筆者を始めとしたパンピーはすぐに「お金があるならお金で解決すればいいじゃない」と思いがちですが、実際にこの層が悩んでいるのは「お金では解決できない悩み」なはず。お金で解決できることなら、言われる前にお金で解決しているんですよ。

 萬田も今回の対談で、出産後2カ月で子どもを置いてマイアミ旅行に行ったものの、搾乳して捨てている自分の姿を見て後悔した、と話していました。それは「子どもがいてもパートナーとの時間をたいせつにする欧米スタイルの生活を維持」したこととの板挟み。シッターがいたり、旅行するお金があったり、直接は書いてないけど“お金があるからこそ、女でいてほしい”というパートナーの希望があったりと、別な悩みも発生する。「25ans」には、そのあたりをもっとグイグイ攻めてほしいんですよね。お金がある人は、他の人に相談しても「お金であるならいいじゃん」と言われるだけで結局孤独だったりするもの。パンピーに見つかりやすいブログで、シャネルのバッグ(30万円)をマザーズバッグにするなんて宣言すると炎上しますが、ここは経済的に裕福な女性が集まる「25ans」。世間からイヤミに見えようが自慢に思われようが、“本人たちにとっては悩み”なんだからしょうがない。お金持ちゆえの子育ての悩み、もっとエグいのを待っています!

FOXYのカクカク感こそ「25ans」の制服

 さて今月号の大特集「All About エレ女デビュー」を見返してみると、「最愛ブランドのワンピ&小物セット」にはルイ・ヴィトン、ドルチェ&ガッバーナ、グッチ、ランバン、「いざというときの頼れるブランド3」にはタエアシダ、ルネ、コージアトリエ、「エレ女が認めるマスト・ハブ・ブランド」にはFOXYとハイクラスのブランドが並びます。にもかかわらず、「エレ女も気になるスペシャリティストア」には、現在のカジュアル旋風の火付け役ともいえる「ロン・ハーマン」がお目見えです。「ロン・ハーマン」といえば、梨花やら辺見えみりやらがブログで紹介するアレですよ。

 ギラギラ系モードとカッチリ系コンサバがメインの「25ans」も、いよいよカジュアル化!? というのは筆者の杞憂に終わりました。なんていったって、たかだか2ページのロン・ハーマン紹介が「25ans」には浮いてる、似合わない、異空間! 実際に手にとって見ていただきたいほどなんですが、2013年の今“月9”にかたせ梨乃&村井国夫主演のラブコメディが放送されるミスマッチ感というか、フランス語を操る吉幾三というミスマッチ感というか、美川憲一が実は女好きというミスマッチ感とか、あの辺のレベルです(全部テキトー)。

 女子高生は制服を着ているから「女子高生」と認識をされるのと同様に、今どきギラギラ系モードorカッチリ系コンサバに身を包んで我が道を行っているから「25ans」読者は「25ans」ワールドの住人でいられるのです。間違っても「カジュアル化」なんて迷い道を進まないよう、気を付けてほしいものです!
(小島かほり)

最終更新:2013/04/03 23:37
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