"噂の女"神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第142回】

宮崎あおい&岡田准一をヨイショするマスコミ、そして「セブン」の意味

2012/09/11 21:00
「女性セブン」9月20日号(小学館)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の”欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

第142回(9/7~11発売号より)

 民主党代表と自民党総裁が誰になるのか、維新の動向は? マスコミは連日こんな話題ばかり報じている。でもこんな政局に夢中になっているのは、永田町に巣くう評論家など一部だけ。世の中の多くは白けきっている。誰がなったって同じでしょ? 何か変るわけがない。結局は自分たちの利権合戦で、国民のことはどうでもいい。政権交代で期待した分、政治への絶望はより一層強くなった。さらに領土問題も加熱し、妙な空気が流れるニッポンである。

1位「宮崎あおい 前夫高岡蒼佑と別れても続くぬかるみ 『土地差し押さえ』『愛犬なすり合い』」(「女性セブン」9月20日号)
2位「GACKT『隠し子』『独立』騒動の真実“カネ”への異常な執着――」(「週刊女性」9月25日号)
3位「藤田紀子さん 白髪染め レオタード購入で迎えた誕生日。その夜、自宅に忍んだ男は…」(「女性自身」9月25日号)


 本当に日本の芸能マスコミやワイドショーは腐っている。改めてそう思わせてくれたのが、8月30日の映画『天地明察』の舞台挨拶だった。この舞台挨拶で宮崎は「本当に温かい現場で、とても嬉しい幸せな時間でした」とコメントし、岡田は事故にあった市川染五郎に触れ「一日も早い回復を祈っております」と優等生コメント。2人共に涼しそうな笑みを浮かべ、そのプロモーションを多くの情報番組が“宣伝”し“ヨイショ”したのだ。いや、宣伝するのはいい。しかし誰も “あの問題”に触れることはなかった。宮崎と岡田が揃えば芸能マスコミが聞きたいことはひとつである。

「お付き合いは順調ですか~?」

 いつもだったら主催者の制止を振り切り、こんな不規則発言をする記者が1人くらいはいるものだがそれも皆無。もちろん番組コメンテーターもそれに触ることは一切なかった。ジャニーズとヒラタオフィスが完全にコントロールした結果だ。芸能マスコミの敗北である。

 そんな中「セブン」が報じたのが宮崎の前夫・高岡蒼佑の“不祥事”だった。記事によれば婚姻中、宮崎と高岡が2億円で共同購入した土地と建物があった。建物は宮崎の単独所有だが、土地の30分1は高岡名義である。だが、この30分1の高岡所有分が渋谷区によって差し押さえられているのだという。「セブン」によれば、住民税の滞納と推測されるとのこと。あれだけ威勢のいいことを言っておきながら、日本国民としての義務は果たしていないらしい。しかも「セブン」の直撃に、「ちゃんと生活できています。差し押さえの事実はまったく知りませんでした」だって。事情があるならまだしも「ちゃんと生活できてる」なら税金払え。これまで散々日本人としてのアイデンティティを訴えていたのだから。しかも、返す刀で宮崎のネガティヴ情報を記者に “リーク”までしはじめた高岡。

 高岡によれば結婚時、家族同然という2匹のトイプードルを飼っていたらしい。2匹はもともと高岡の犬だったが、離婚の際に宮崎が連れて行った。2匹は宮崎ではなく事務所が預かっているという。さらに最近になって、宮崎は手元に置けないので犬の扱いをどうするのか、弁護士を通して高岡に問い合わせてきたのだという。「勝手な宮崎」を印象付ける話である。高岡は“宮崎に捨てられた”この犬を自分で引き取るらしい。税金を払えないのに犬の面倒まで見られるの? ここでも疑問が生じるが、それは置いておこう。というのも宮崎が犬を手放す理由についての「セブン」の見解が凄いからだ。

 「今や2匹の犬は彼女にとって、高岡を思い出す疎ましい存在なのかもしれない」だって! これはあくまで「セブン」の憶測であるが背筋が寒くなった。家族同然だった愛犬を「前夫を思い出す疎ましい存在」という理由から手放す? それって前夫とそっくりの子どもを疎ましく思って虐待したという、虐待親の身勝手な論理を聞いているようだから(実際そういった虐待事案があった)。「セブン」、凄いな……。このカップルに子どもがいなくてよかった、と思う。あくまで「セブン」の見解に乗って、であるが。さらに「セブン」にはもう一点不思議なことが。宮崎と岡田の関係について、どのメディアもほぼ無視している状態にもかかわらず、ほんの少しではあるが触れているのである。「『週刊文春』で宮崎と岡田の件が報じられて――」と。あの「セブン」が、だ。さらに表紙も宮崎と岡田の舞台挨拶ツーショット写真だ。妙なウラがあるのかも……。

 先週の「週刊文春」(文藝春秋)と「週刊新潮」(新潮社)に揃い踏みしたのがGACKTのスキャンダルだった。神秘的カリスマ性、セクシャリティさえも超越した妖艶さなどと形容されるGACKTだが、ウラを返せば国税から強制捜査され、隠し子も発覚、震災義援金の横領疑惑が大々的に報じられてしまったのだ。さらには、ひた隠しにしていた生い立ちやプロフィール、過去まで明かされてしまった。

 こうした報道を受け「週女」が後追いしたのが「カネへの執着」である。カネの執着について、高校時代の同級生にこう語らせる。「女性にはまったくモテなかった」「裕福な家庭でもなかったから、“成功して金持ちになってやる”という上昇志向は当時から強かった」。うわー、恥ずかしい。こうした境遇をバネに成り上がっていくことはみっともなくもなんともない。しかしこうした過去を隠し通そうとしたGACKTが恥ずかしいのだ。さらに「週女」は追い討ちをかける。「騒動のウラには、コンプレックスとナルシズムに揺れる本性があった」。おそらくGACKTが最も書かれたくない一文だろう。今回の一件で明るみに出たGACKTの本来の姿、おそらくGACKTが一番嫌うであろう、成りあがりストーリーだ。成りあがりで何が悪い、と開け直れない弱さ。

 さらにみっともないと思うのが女性に対する態度だ。自分の“必死に作り出したイメージ”を守るため、同棲していた女性が妊娠するや「認知しない」「日本から出て行く」という条件を出したというGACKT。生活費はGACKTが持っているらしいが、自分のプライドだか、イメージだかを守るだけに汲々とする自己中で無責任男ってことでしょ。昨日、松下忠洋金融・郵政民営化相が自殺したが、その背景にも女性スキャンダルがうわさされている。むやみにプライドが高く、だからこそ身勝手な行動を取る男たち。そんな男は往々にして権威を持った著名人や権力者である。

ピース・綾部祐二と年の差30歳愛を報じられた藤田紀子。タイトルで“さん”づけされていることからもわかるように、どういう扱いにするかマスコミも苦慮している模様だ(芸能人、著名人は“さん“という敬称はつけない)。

 それでも話題の人には違いない。「自身」は芸能マスコミ必殺、ネタのない時の「記念日張り込み」を紀子に対して決行した。しかも誕生日の“前日”から尾行するという力のいれよう。よっぽどネタがなかったらしい。もちろん綾部と密会を目論んだとしか思えないが、2人ともそんなバカではないだろう。案の定、誕生日当日に迎えに来たのは花田虎上、息子でした。ご苦労さま(という記事でした。ホントに)。

最終更新:2012/09/11 21:00
『成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集』
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