角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第25回

保育園出身者は不利!? 現代の小学校お受験事情の実態は……

2012/09/01 17:00
受験も大事だけど、父の教育方針は
「メシ食って、糞が出て、ちゃんと寝
ているか」でした。健康がすべてです。
同感。

 オープンしてちょうど1年、保育園は軌道に乗っていますが、仕事を完璧にこなしながら娘の小学校受験対策をするという日々がとうとう始まってしまいました。小学校受験は専業主婦でも大変なことです。雇われて働いているワーキングマザーならもっと大変、究極のサービス業ともいえる保育事業を自分で経営しながらでは、さらに大変なのです(泣)。現在は第1希望である名門校に合わせたグループレッスンを週1で受けさせていてます。新年長(今年の11月)になったら、絵画のマンツーマンレッスンを週1で受ける予定です。

 志望校を決めるにあたり、誓ったことがありました。それは「父が理事をやっていた有名校は受験しないこと」です。娘が受かって入学した時、しっかりお教室に通って家でも保育園でもがんばったのに、実力で合格したと思われず、「角川さん、コネなんじゃない?」と言われて、娘が傷つく日が来てしまうんじゃないかという恐怖からです。なので、そこ以外で娘に合う学校を夫婦で決めました。ちなみに父が理事をしていた学校とは、現在「有名校でいじめ」が問題になっているアノ学校です。主犯格とされる大女優の娘は3日間の停学だけで、ほかの生徒は退学になったと週刊誌やスポーツ紙で騒がれた超人気校です……。

 年中の間に志望校を決め、学校見学、説明会、文化祭、体育祭、小学校体験授業などの行事を、4校受けるとすれば、それぞれ4回しないといけないんですよ(学校によっては非公開の行事あり)。なので、私の髪色は現在真っ黒です。受験ママが愛読していると言われている「VERY」(光文社)の読者モデルの髪色だと、実際には明るすぎて、学校でやたらと目立ってしまいます。髪色を変えず説明会に行ったら完全に浮いてしまったので、黒く染めましたよ(笑)。婿も地味なチャコールグレーのスーツをバーニーズニューヨークで購入し、髪も切り、髭も剃りました。あくまでも主役は子どもなんですよね。目立ってはいけないのです。

保育園出身者はお受験に不利?

 駒沢の森こども園でも、娘が受験することを子ども伝いに知った園児の保護者が、「お教室はどこまで行っているんですか?」とか、「指示行動が4つまでしか覚えられなくて……」など受験の話をしてくれるようになりました。今まで、保育園をやっているから公立思考だと思われていたのか、受験話はまったく出なかったのに、“そっち側(=受験する)の人”とわかり、安心されたのかも。

 「お教室はどこまで行っているんですか?」という質問は、場所で通っている教室がだいたいわかるので、露骨に教室名を聞くよりマイルドとされています(笑)。自由が丘だと伸芽会、四谷だとジャック、原宿だとアンテナ・プレスクール。また、支店のあるお教室の場合、「田園調布のジャックだと田園調布雙葉を受験するんだな」と志望校の推測までされるという恐ろしさ! でも、隠していても子ども伝いに何でも保護者に伝わってしまうんですよね。保育園でも子ども同士で受験の話が出ていて、「どこ受けるの?」とか「慶應に受かったら、ママが犬を買ってくれるって」「マミー(=自由が丘にあるおもちゃ屋)ごと買ってくれるって」など、いろんな話が聞こえてきます。年少の子でさえ、受験の自覚はしっかりあるのだなと感心しています。

 学校(特に名門女子校)によっては、やっぱり保育園出身は受験に不利という現実があります。共働きでも女医とか歯科医ならともかく、普通の仕事だとちょっとね。昔と違い、子どもの能力が高ければ問題ないとされていますが、同評価の子どもが2人いた場合、女子校は専業主婦の子どもが受かり、資金面に不安のある学校は共働きの子どもが受かるそうです。リーマンショック後、確かに倍率がどこの学校も下がっていて、入りやすくはなっています。娘がもし名門に受かれば、「保育園でも名門に受かる」という実例ができるので、保育園経営に有利になるはず。そのためにも親子で乗り切りますよ!

 娘を通して受験にノウハウができてくるので、その後の「角川の森こども園」に反映させるつもりです。すでに、お教室でやったことを「空手」や「自己表現」「絵画」のアクティビティに取り入れていて、ほかのお母さんにも「取り入れてほしいことがあれば言ってください」と伝えています。幼稚園受験の場合は、よほどの名門でなければプレスクールにでも入れておけば合格しますが、小学校受験は難易度が高いので、「お教室の先生」「アクティビティの先生」「保育士&幼稚園教諭」「両親」「お祖母ちゃん」など何人もの大人の力がないと、突破できない壁なんですよ!

角川慶子(かどかわ・けいこ) 1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バン ギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。2011年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では4歳の愛娘の子育てに奮闘中。

最終更新:2012/09/01 17:00
『角川春樹句会手帖』
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