背後にギャングがいる2人!

ラッパーのゲーム、犬猿の仲の40グロックをリンチし動画を流出させる

2012/07/12 15:00
動画はこちら

 ニューヨークのクラブで乱闘騒ぎを起こしたクリス・ブラウンとドレイクのビーフ(争い)について、「ビーフの価値なし、休戦すべきだ」と提言し、成長したものだと株を上げたばかりのラッパーのゲームが、敵視しているGユニット・レコード所属ラッパーの40グロックをリンチしている動画を流出させた。12人ものアントラージュ(取り巻き)と共に40グロックを追い掛け回す動画は、あまりにも衝撃的だ。

 暴力的で薬物中毒だった両親を持ち、7歳から15歳まで里子に出されていたゲームは、190センチを超える恵まれた体格の持ち主で、ワシントン州立大学にバスケットボールの奨学金を得て進学。しかし、ドラッグを所持していることがバレて退学となり麻薬売人になったが、銃撃され昏睡状態に陥り、病床でラッパーとして人生をやり直そうと決心したという壮絶な人生を送っている。ギャングだらけのラップ界において、人一倍血の気が多いことでも知られており、50セントのレーベル、Gユニット・レコードのラッパーとしてデビューしたものの、2005年に50セントと対立するようになり決別。やたら銃撃戦の多い、ニューヨークのHipHop・R&B専門ラジオ局「Hot 97」の建物の外で、それぞれのアントラージュたちが銃撃戦を繰り広げる騒ぎにまで発展した。

 07年には、PV撮影中に親友を銃殺され、ビーフにこりごりしているジャマイカ系ラッパーのバスタ・ライムスが仲裁人になると名乗りを上げ、期待が寄せられたが結局実現せず。このままだと、どちらかが死ぬのではないかと懸念されるようになった。09年になって、ゲームはMTVのインタビューで、突然、終息宣言をし、「ビーフを終結させる時が来た」「50セント、(ドクター・)ドレー、エミネム、(ロイド・)バンクス、(トニー・)イエイヨー、(ヤング・)バックに謝る。オレは若造だったんだよ」と謝罪。業界を一安心させたのだが、その後も、「50セントはゲイ」とツイートするなど相変わらず挑発的な態度を取り続けている。

 とにかくGユニット・レコードが気に食わないゲームは、所属ラッパー全員を敵だと見なしているようで、40グロックとも06年と昨年にクラブで派手な口論を繰り広げている。ビーフは、ゲームのレーベル「ブラック・ウォール・ストリート」対40グロックのレーベル「ズー・ライフ」というレベルにまで発展。ゲームは、ロサンゼルスの凶暴なストリート・ギャング「ブラッズ」と関係があり、40グロックは、悪名高きロサンゼルスのギャング「ザ・コルトン・シティ・クリップス」と関係があることから、このビーフには2大ギャングも参戦しているとされ、終わりの見えない争いが続いている。

 このように、もともとビーフ関係にある2人なので、顔を合わせれば言い争いになるのは当たり前。だが今回は、ゲームが一方的に40グロックを殴ったり蹴ったりしている姿が動画で流れているため、批難を浴びているのだ。

 問題の動画は、8日早朝にロサンゼルスで撮影されたとのこと。マンションで開催されたパーティーに現れた40グロックをゲームが見つけ、アントラージュと共に一方的に暴力を振るったのだという。

 ゲームがわざわざ「40グロックを叩きのめした」というサイトを立ち上げて流出させた動画には、住宅街の通りでゲームが40グロックに対して、「うせろ! 散れ!」「ケツ穴パンク野郎!」と口汚く罵り、ボクサーのように40グロックをパンチする姿がはっきりと映っている。また、うずくまる40グロックをタコ殴りするゲームを撮影しているアントラージュの「イエ~イ」という声も入っているのだ。

 40グロックは目を泳がせ、苦笑いを浮かべながら足早にその場を立ち去ろうとするのだが、ゲームは追い掛け回し、パンチやキックを連発。ずり落ちそうになるズボンを押さえて、必死に逃げる40グロックの姿をゲームとカメラは執拗に追い、「やめろよ」「もういいよ、逃がしてやれよ」という声も入る。最後は「あのクソったれニガーが、警察を呼びやがった」と言いながら逃げるゲームの足元が映し出され、「オレ様の靴を血で汚しやがって」と言いながら血のついたスニーカーをアップにし、動画は終了する。

 2人はその後、争いの場をTwitter上に移動。“ハンサムなケツのニガー”というアカウントネームのゲームは「ファック、ニガー、マジでムカツクんだよ。密告者のニガー、マジでムカツクんだよ」「オレの左手にはiPhone…… 右手はメイウェザー級のニガーだぜ」とツイート。DV罪で刑務所入りしたばかりの伝説的ボクサー、フロイド・メイウェザーの名を持ち出す、ゲームらしい挑発文を掲載した。

 これに対して40グロックは、「割り込むのはよせよニガー。倒したわけでもねぇのによ! せいぜい用心しろよ!」「たった今、襲われたんだ。弱虫野郎たちをちょっと相手にしたら、このざまだ!  弱虫野郎は録画したんだってな。どんなふうに編集されたのか楽しみだぜ」「オレを襲うために、拳銃を引っぱり出すとはな!  これ以上女々しいことはねぇよ!」と応戦。

 40グロックは、この騒ぎを聞きつけた米「VladTV」のインタビューに応じ、自分は1人のところを大勢で襲われた、ゲームたちが拳銃を持ち出したため逃げたと主張。「相手がピストルを持ってたら逃げろ、だろ? 挑発に乗ってオレが飛びついてたら、今頃死んでるぜ」「目を蹴られたが充血しただけ」「奴らは大勢で襲ってきたが、オレは大したケガもしていない」とまくし立てた。その後もTwitterで、ゲームがネットに流した動画は編集したものだと強調。あのような屈辱的な姿を流されたことが、相当、頭にきているようである。

 なお、40グロックは「別にオレは構わねぇよ。告発するつもりもねぇよ」と言っているが、報復すると匂わす発言もしており、クリス・ブラウン対ドレイクと比較できないほど大事になりそうだと懸念する声が上がっている。が、その一方で、あまりにも度が過ぎる動画であること、主に背中や胸部を殴られていたとはいえ、一見して40グロックに目立った傷がないこと、そして、この直後から40グロックが自分の曲をプロモートしていることから、ヤラセだったのではという説も出ている。

 ちなみにゲームは、現在に至るまで、しつこく40グロックに対するビーフ・ツイートをアップし続けており、「40グロックを叩きのめした」サイトにも新しい動画を掲載。沸騰した血は、まだまだ冷えそうにない。

最終更新:2015/06/19 14:51
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