[女性誌速攻レビュー]「VERY」5月号

ボーダーを「モテ」とは別次元の価値観で着こなす、「VERY」の余裕

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「VERY」 2012年5月号/光文社

 今月の「VERY」は「『ゆるトラの母』がいる!」という、ダジャレタイトルで攻めてきましたので、発売後すぐにネットでも話題となっていたようです。ちなみに、「ゆるトラ」は「ゆるくて楽なトラッド」のことなんですって。「VERY」はこれまでにも、「母さん、夏の終わりに豹になる!」(2010年9月号)という特集をしたこともありますので、この手のテイストも好きなのでしょう。母を特集に持ってくるときに、どこか照れちゃうところがあって、ダジャレに走ってしまう部分があるのかと勘繰ってしまいますが……。それにしても、この「トラッド」という言葉は、「トラ」と略されるので、これまでにも「Domani」(小学館)で「ニッポンの夏、オンナの夏――いつも心に『寅さん』を!」(2011年9月号)なんて特集がありました。なんとなく「トラ」という言葉の罪深さを感じてなりません……。

<トピックス>
◎『ゆるトラの母』がいる!
◎コ・ジ・マ・メ・セ・ンのもしかしてVERY失格!?
◎可愛いパンツスタイルで懇親会デビュー

■ボーダーにそんなに意味を求めてやるなよ!

 第一特集の「『ゆるトラの母』がいる!」の中身を見てみましょう。2012年はトラッドが進化して、“ゆるいトラッド”が流行になるということです。「ボーダーTシャツは、今再び大流行中で『ボーダーを着る女は、95%モテない!』(マガジンハウス)という本が出るほどの社会現象」と書いてある部分があるのですが、それって良い例えなのだろうか? と思いつつ読み進めてみると、次のページに「トラッド風味な“いいお母さん”急増中」とありました。モテない=女の敵ではない=いいお母さん、という意味も含まれているのかもしれませんが、この特集からは普段の「VERY」にありがちな、女同士のヒエラルキーみたいなものはあまり見えてきません。もしかしたら、これがトラッドの持つ「人が良い」と思わせる感覚の要因なのかもしれません。

 モテないアイテムの代表格になりつつあるボーダーの着こなしのページでは、ある読者の方が「家族で過ごす時間が多い今、ファッションも3人のリンクを大切にします」と、子どもや旦那とのおそろいアイテムとして利用していました。ボーダーを「モテ」「モテない」と一段違ったステージで楽しんでいるところには既婚者の余裕を感じます。ただ、先ほどの読者の方はボーダーで家族がおそろいのコーディネートをすることを「ボーダーリンク」と名付けていましたが、その呼び方はちょっと無理やりではないでしょうかねえ。

■「選ばれた人間」になりたい人たち

 先月は震災から1年ということで特別版だった「コ・ジ・マ・メ・セ・ンのもしかしてVERY失格!?」ですが、今月は通常版に戻って小島さんはまたも飛ばしています。先月号は、入学シーズンでママたちのマウントの取り合い合戦が誌面から伝わってくるようでしたが、小島さんはそんなママたちの実情にメスを入れ、新しい環境での出会いを「誰もが好感度を気にして、にこやかで親切で、よく出来た母親であり、妻であることを精いっぱい演出する空間では、華やかな作り声と笑顔の陰で、名刺の交換一つですでに互いの値踏みが始まっています」と語ります。

 また、放送局のエレベーターの中で私学一貫教育の生え抜きであることを内輪の会話で披露して誇らしげな人のこと、シワの刻まれた中年になっても、まだ○○学園幼稚園に通っていたことを拠り所にしている人たちの滑稽さについても言及しています。

 そして、そんな人たちに新たに出会い、「仲間に入れてやらない」と言われたら「私は自由だ」と思えばいいという結論には納得です。

 ところが……。小島さんがこうしたコラムを書いている一方で、「VERY」は、そんな“選ばれた人間”であることを拠り所として生きる人や“選ばれた人間”としての生き方や振る舞い方を指南するためのページを主流としているところも面白い。

 今月は、「コンサバ幼稚園対応 一年中使える服」という2ページの小さな特集や、「可愛いパンツスタイルで懇親会デビュー」という特集もありました。小島さんが、そんな価値観なんてクソだ! といくら訴えても、懇親会では、「さりげなくかわいいティッシュケースを出して出来る感じ」を醸し出したり、「会費はお釣りのないようにぴったりの額を用意」したり、「名刺を渡す指先のネイルが行き届いて」いないと恥ずかしかったり、その仲間になることに必死。「園&学校生活の第一関門突破服を揃え」、コンサバ幼稚園で「目立ちすぎず、程よくオシャレに魅せてくれる」洋服が必要なのです。

 優越感に浸れる集団に属して、その場所での立ち位置を確立したい人と、そんなことはどうでもいい人、両者の意見が同時に見られるところが「VERY」を見るときの醍醐味になっているなと今月も思わされました。
(芦沢芳子)

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先日、生まれて初めてボーダーを買いました……

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