真の『デス妻』最終シーズン

主演女優4人も証言台に! 『デスパレートな妻たち』訴訟はドラマよりドロ沼!?

2012/03/01 17:00

　人気海外ドラマ『デスパレートな妻たち』で最もビッチなキャラクター、イーディ役を演じていたニコレット・シェリダンが、「暴行を受け、不当に解雇された」として、番組クリエイターのマーク・チェリーを相手取り訴訟を起こしたのは2010年4月のこと。この2年間、「ぶたれた」「ぶってない」で大揉めし、睨み合いの状態が続いていたが、とうとう今週、陪審員裁判開廷までこぎ着けた。

　裁判には、エヴァ・ロンゴリアやテリー・ハッチャー、マーシア・クロスにフェリシティ・ハフマンら、華麗なる『デス妻』の主演女優たちがずらりと出廷することになっており、ドラマ以上に派手なやり取りが見られるのではないかと注目されている。

　2009年5月に放送されたシーズン5第23話のエピソードで、『デスパレートな妻たち』を降板したニコレット。交通事故を起こした直後に感電死するというショッキングな去り方は、ファンに大きな衝撃を与えたが、当初は「円満降板」だとアピールしていた。

　しかし、2010年4月に彼女が裁判所に提出した起訴状によると「2008年9月、リハーサル中に脚本に書かれていた台詞をめぐりマークと議論した際、人目のない離れたところに連れられ、顔面と頭部を平手で力いっぱい叩かれた」「この暴力行為を放送局であるABCに訴えたところ、かばうどころか、解雇を突きつけられた」とのこと。裏舞台でも、とんでもないドラマが起こっていたというのだ。

　ニコレットは、マークは番組の雇用者に対して極端に暴力的で攻撃的な態度を取っていると主張し、容認している制作会社と放送局も同罪だと強く批難。マークとABC、制作会社のタッチストーンTVを相手取り、2,000万ドル(約16億円)の損害賠償を求めていた。

　これに対して、マークの弁護士は「非常識だ」とし、「ニコレットは生意気で気難しく、台詞さえきちんと覚えられないようなダメな女優だった」と反論。「TVドラマで登場人物が死ぬことは珍しいことではない」「演じているキャラクターが死んでしまったら、役者は仕事を失う。そういう業界なんだ」と言い捨てた。

　その後、ニコレットは、被害証拠がほとんど残っていないこと、『デス妻』の出演者たちもマークをかばう発言をしていること、身体・精神鑑定の結果を裁判所に提出しなければならないことから、精神的苦痛を与えられたことに関する訴えを取り下げた。しかし、不当な解雇、報復行為を受けたことについては引き続き争うと宣言。

　そして、昨年7月、新たに「マークが私をクビにしたのは、私が女性だったから」という訴訟を起こした。新しい起訴状には、「主要キャラクターを演じている女優たちのことは称賛するくせに、私のことは中傷する」「女優が脚本について意見することを極端に嫌う」という恨みつらみが綴られていた。

　通常、このような訴訟が起きた場合、水面下で交渉が行われ和解に至ることが多い。しかし、このケースでは、両者共に一歩も引かず、とうとう陪審員裁判まできてしまったのだ。陪審の選任は2月27日に開始し、今後、それぞれの冒頭陳述が行われた後、主尋問、反対尋問、最終弁論が行われる予定となっている。ニコレットの弁護士は、彼女を8時間ほど証言台に立たせ、これまでのことを全て語らせると明かしており、裁判は11日間あまり続くとみられている。

　裁判では、マークも証言台に立ち反論することになっており、彼に忠実な『デス妻』の主演女優たちエヴァ、テリー、マーシアにフェリシティも、それぞれ30分あまり証言台に立つことになっている。4人のほかにも25人を証言台に招いているとのことで、華やかな裁判になりそうだとメディアを喜ばせている。

　対するニコレットも、ABCの元社長、ABCスタジオの元エグゼクティブ、番組の元プロデューサーらを証人として招く予定であり、スターVS元業界の上層部の争いが繰り広げられるのではないか、マークが感情的にヒステリックに取り乱す場面も出てくるのではないか、と期待する声も出ている。

　なお、ニコレットは、もし彼女が最終シーズンまで出演していたら得ていた2,000万ドルを支払うよう求めているが、陪審員が彼女の主張を認め勝訴したとしても、最高で1年間の出演料、400万ドル（約3億2,000万円）しか手に入れることができないことが決められている。

　2008年8月に運命の男性マイケル・ボルトンと婚約破棄し、番組をクビになってからは、テレビ映画やショートフィルムにちょこちょことしか出ておらず、公私共に低迷しているニコレット。”プライドの高いイギリス女”イメージそのままの意地をかけた裁判は、今、最高潮を迎えようとしている。