[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

あの一家の行方を見届けたい! 「ビッグダディ」ウォッチャーの苦しみ

2011/10/16 21:00
abikomarie111014.jpg
(C)安彦麻理絵

 先日、テレビをつけてたら画面にデカデカと「ビッグダディ離婚!!」の文字が。しかも「18歳年下の5人の子持ちと再婚!!」それだけでもビックリなのに、さらに追い打ちをかけるかのように「その年下妻は今、妊娠中!!」。ビッグダディ物語は、一体どこまでいくのだろうか?


 ……テレ朝の大家族番組『痛快!ビッグダディ』。最初に見たのはいつだったか覚えてないが、確か、一家が奄美に移住、とかいう所から見始めたと思う。嫁が子供を置いて出てっちゃったもんだから(要するに離婚)10人だったか12~3人だったかの子供を(なんだかもう覚えられない)男手ひとつで育てる、そんなドキュメンタリーである。大家族モノは、ナマナマしすぎて見てるとだんだん嫌な気持ちになってくるから、あまり好きではないんだけど、この番組に関しては、何故だか目が離せなかった。というのも、この別れた嫁があまりにもキョーレツなキャラだったからである。

 いつも何を考えてるのか分からない目をしていて、ボーッとしてる。なのに「妊娠力」というか、「繁殖力」が凄いんだもの。「動物的」「野性的」とでも言ったらいいんだろうか? ボーッとしてるのに、今まで10人くらい年子で産んでるのに、それでもまたさらに三つ子とか産んでる。で、ビッグダディ一家が移住した奄美に、三つ子を連れてヨリを戻すために押しかけてきて、そこでまた、ダディとの間にもう一人妊娠して出産。ボーッとした顔してんだけどねぇ。やらかす事が突飛すぎてる。

 「別れてんのに、なんでまたヤッてんだよ!!」とか、「ヤるのはまぁいいとして、でもなんで避妊しないんだよ!!」など、多分日本中の視聴者が叫んだであろう、そんな大家族。その後、この出産をきっかけにダディと嫁はまた再婚してたけど、それでも案の定、色々すったもんだあった。その後はどうなったんだろうと思ってたら、今回のこの、衝撃のテレビCMだったわけである。新しい登場人物(年下妻)が、ダディの子供妊娠中ってねぇ。しかも5人の子持ちの女である。

「いやだ、オレは絶対見ないからね!!」

 と、夫は激しく拒絶した。「分かる!! 見たくないって気持ちはよく分かる! でもさぁ新しい再婚相手がまた妊娠してるんだよ!」そう言って私は、新聞テレビ欄の見出しを読み上げ、「それ聞いただけでもう腹いっぱいだよ!!」と、またしても夫からNOを言い渡された。

「そんなに見たかったら、録画してひとりで見てくれ!」
「録画してまで見る番組かコレ!?」

 ……ビッグダディで夫婦喧嘩。このやりとり、案外日本中あちこちの家で繰り広げられたのではないだろうか?

 そんなわけで、土曜夜7時すぎ。今まで騒いで遊んでいた子どもらが、何故か急に「眠い」と言い出し、それならば、と、夫も一緒になって寝室に引っ込んでしまったのである。一旦は諦めかけてたビッグダディ。がぶり寄って見たところで、楽しい気分になる内容ではない事は百も承知、ああ、それなのに……顔を手で覆いながらも、指の隙間からのぞき見るかのように、その夜私はまたしても、ビッグダディ物語の観客になってしまったのであった……。

 で。言いたい事は山ほどあるが、しかし今さらもうそんな事。てゆうか、びっくりした。だって、新しい若嫁と激しく夫婦喧嘩してるシーンで終わってしまったのである。そして、来週の土曜日夜に「つづく」のである。来週もゴールデンタイムにビッグダディ。ああ、ここまできたらもう、「毒を食らわば皿まで」である。あの一家から目が離せない。なんだかんだ言いながら、懲りずにまた見てしまう「ビッグダディ・ウォッチャー」って、多分、日本中にいっぱいいるんだろう。

 ネットで「ビッグダディ」で検索したら、2ちゃんねるとかで激しく盛り上がってる。やっぱりそうか。仕事そっちのけで、パソコンからもう目が離せない状態になってる所へ夫が帰宅。「ライターさんから量子力学について、延々聞かされてきた」と、少々お疲れの様子である。が。帰宅早々、今度は私から「ビッグダディについてのさまざまな新ネタ(けっこうグロい)」を、口角泡飛ばさんばかりの勢いで語られる羽目に。さらに疲労の色を濃くする夫なのであった……。

 それにつけてもなぁ。「カヒミ・カリィとかは、絶対、ビッグダディなんて見ないんだろうなぁ……」と、ポツリと思う私なのであった。

最終更新:2019/05/21 16:31
アクセスランキング