[TVツッコミ道場]

若手の本までチェック! やっぱり殿たけしのお笑い愛はすごい

2011/10/05 08:00
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タケちゃんマンと同一人物です、念
のため。

 今回ツッコませていただくのは、9月28日に放送された『北野演芸館~たけしが本気で選んだ芸人大集結SP~』(TBS系)。

 オードリー、サンドウィッチマン、インパルス、中川家、友近、ナイツ、ダイノジ、TKO、東京03、笑い飯、ダチョウ倶楽部などの顔ぶれで、申し訳ないけど、『キングオブコント』や『M-1』などのお笑いコンテストより断然面白い! わが家の小学生の娘などは、その豪華さに「正月が来たみたい!」とつぶやいてしまっていた。

 だが、たけしがスゴイのは、もちろんお笑いに関する「選球眼」や、豪華な顔ぶれを集められる力ばかりではない。たとえば、矢野・兵動がいやに短い漫才をやったかと思えば、もう一つ「やすし・きよし」の激似漫才を披露。実は発注段階で、たけしは「ソックリの”やすきよ”を」というリクエストをしたのだが、「他のものをやらせてほしい」という本人たちの要望により、2本立てになったらしい裏事情が明かされていた。

 つまり、たけしは「芸人」だけでなく、部分的に「あの芸人のあのネタ」レベルまでリクエストしているらしい。本当にテレビをよく見ているし、芸人やお笑いに、驚くほど詳しいのだ。

 そうした流れで、友近と中川家には「即興コント」を指示。サンドウィッチマンの漫才の後には、ぽつりと「サンドウィッチマンはネタ、変えてきた?」という質問をしていた。実際、サンドウィッチマンは当初予定していたネタを他の出演者との「打順」などの関係から、急きょ差し替えたということだった。サンドウィッチマンの”強気”もさることながら、それに気付くたけしの細かさには、ただただ脱帽だ。

 さらに、たけしが「久しぶりに漫才が見たい」とリクエストしたオードリーへの寸評は、

「アイツ(春日俊彰)、だんだん能動的になってきたな」

 確かに、昔の春日は若林正恭の台本通りに動き、大きく胸を張り、「トゥース」をするばかりの印象だった人も多いだろう。だが、最近の春日は、自ら積極的に笑いをとりにいく。そんな芸人の変化に気付く、芸人をひとつの「点」でなく、「線」や「面」で追っているなんて、大御所なのに、まるで暇人テレビウォッチャーのようではないですか。

 そして、いちばん衝撃的だったのは、インパルスに対して、サラッと放った言葉。

「堤下(敦)の相方のアイツ(板倉俊之)は、根性悪いトコがいいんだよなあ。アイツの本読んでも、(根性が)ひん曲がってるもん(笑)」

 なんと若手の本までチェックしている、「殿」たけし! こんなにもお笑いを好きな人、お笑いに貪欲な人は他にいるだろうか。

 そんな「正月番組みたいに豪華な番組」に「殿に選ばれて」やってきた芸人たち。たけしの前でガチガチになっているかと思いきや、人見知りのインパルス板倉・オードリー若林までも存外リラックスした様子なのが印象的だった。

 しかも、事務所も越え、関東勢・関西勢入り乱れて、座敷にあぐらをかいて笑っている姿は、本当に正月番組みたい。

 若手を緊張させず、自ら積極的に楽しませ、そして、誰よりもお笑いに詳しい大御所。やっぱり若手がかなうはずもない、さすがの「殿」でした。
(田幸和歌子)

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最終更新:2011/10/05 11:36
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