[連載]アナタ、今夜こそ抱いてください

夫の”ニョイ棒”が天竺へ! 中国式指圧で燃えた夫婦の夜

2011/03/06 17:00

「性交は男から迫ってくるもの。男は常に女のカラダを狙っている。とにかく自分の身を守れ」という性教育には「結婚相手とする性交だけが、唯一清らかで正しい性交である」という暗示が含まれている。それを信じて生きてきた女たちにとっての「結婚」とは、「性の大解放」の季節である。しかし、鼻息荒くウエディングドレスを脱いだ時、夫の妻に対しての欲情は激減しているのだ。何故? おかしい、こんなハズじゃない……。女はその時初めて知るのである。セックスをさせてもらおうと奮闘する事態が、(女の)自分にも訪れるという現実を――。

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「結婚してから、ひとりエッチの回数が増えましたよ」

 不服そうに訴えるのは恵梨(仮名)さん34歳。結婚したのは3年前。10代からの趣味であるヒップホップダンスを今も続けている。引き締まった体と快活な笑顔からは、ヤリたくて悶々とする様子は伺えないが……。

恵梨さん(以下、恵梨)「悶々としまくりですよ。結婚前は、テレビ見てる夫の股間に顔をうずめて『ティン、ティ~ン!!』って叫べば、セックスできたのに」

――ちょっと待ってください、どういう状況ですか? 

恵梨「飼ってる犬とか、可愛くて名前呼びながら頬ずりしたりするでしょ、ああいう感じ」

――なるほど。そうすると、旦那さんのドッグはホットドッグになる?

恵梨「呆れながら、仕方ないな~ってちょっとうれしそうにズボン脱ぐ、みたいな感じで始まってたね」

――二人の間では、愛の合図となっていたんですね。

 他にも「ティンティン? ……ティンティン?!」と尋ねるバージョン、「ティ~ンティンティ~ン」とムツゴロウさんの「よ~しよしよ~し」バージョンなど、バリエーションも豊富だったという。ところが……。

恵梨「結婚を機に夫は合図に応じなくなっちゃった。悶々する日々の始まり」

 決して、不仲になったわけではない。夫は恵梨さんが疲れて「ティンティン合図」をしない日に限って、一戦を交えようと挑んでくる。妻からの色気のない合図を敢えて無視することで、妻への性的欲求を存続させ、奮い立たせようとする、夫なりの心がけだったのかもしれない。だが少しずつぎこちなくなっていく二人の関係。そして恵梨さんは「ティンティン合図」の封印に踏み切る。

恵梨「こうやって夫婦って冷めていくのかなって、思った」
 
 諦めかけていたその頃、時は2008年、メディアで流れた一つのスクープが、恵梨さんをアシストすることになる。卓球の福原愛ちゃんが恋人であるテニス選手とデートで「イランイランオイル」を買っていた、という特ダネだ。イランイランオイルは官能的な気分になる香りと謳われるアロマオイル。希釈すればマッサージオイルとしても使用できる。

恵梨「こんなのがあるんだ! 使ってみたい! と思ったけど、イランイランを買う勇気はなくて、スキンケアショップでマッサージオイルを買ったんだ」

――ダンスをやってるから、エロティックな手つきのマッサージ、上手そうですね。

恵梨「違うの。エロくやっちゃ、ダメなの」

――!?

恵梨「本格的にマッサージするの。プロの手つきはエロ皆無でしょ? これが秘訣」

――でも、目的はセックスなんですよね? とある女性誌の「夫をドキドキさせるちょいエッチマッサージ」特集によると、セクシーなスリップ姿で夫の隣に座り、上腕二頭筋をソフトにプッシュしながら、耳元で「逞しいわね」とささやくと良い、って書いてありましたけど。

恵梨「男って意外とそういうの不気味がるんだよ。キャバクラでやられたら嬉しいかもしれないけど……。指圧に興味が出てきたから揉ませてって無表情で言うほうが手っ取り早い」

――無表情ですか?

恵梨「中国式指圧で施術してくれた白衣姿の中国人のオバサン、孫さんをイメージするとやりやすいんだよね」

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※イメージ画像

 恵梨さんは、指圧師の孫さんになりきった。特別な感情は持たず、指先でツボの位置を探すことだけに集中した。まずは肩や首をオイルマッサージ。オイルで汚れるから、という理由で夫の衣服は自然と脱ぎ捨てられた。ここからもまだ、焦ってはいけない。

恵梨「全身くまなく。丹念にね。股間には触れないで。笑顔を見せたり、ふざけたりしない。プロの指圧師がお客様に極上の時間を提供しているんだから」

 パンツ一丁で夫はもうとろけている。様子を見ながら、パンツの脇から手を入れ、足の付け根のリンパを優しくなでるようにほぐしていく。足を開かせてタマの両脇も揉み込む。そして徐々に、触れるか触れないかのソフトタッチをタマ全体へ繰り広げていく。顔は孫さんのままで。

恵梨「勃ってきたら、タマからうっかり手が滑った事故を装って、チン棒を軽く握って上へスライド。でも、またリンパ付近に戻ってみて。あくまで事故だから」

 事故を装いながら徐々に夫の棒への接触を増やしていき、球と棒、いわゆる男の野球グッズを揉み込んでいく。次第に高まる二人の息。夫のニョイ棒が最大の膨張を見せ、天竺へ届いたら、孫さん解除。いよいよ合体である。 

恵梨「夫の体はトロトロになってチンチンだけが我慢できない! って状態。その時は久しぶりにめちゃ燃えたな。夫もしたい時はオイルマッサージしてくれるようになって、その時の前戯はたっぷり。結婚前より仲良くなったよ」

夫の股間を物理的に起立させることに成功した恵梨さんは、先週とうとう購入したイランイランオイルを今夜、試すそうだ。もちろん、はじめは孫さん、で。

田房永子(たぶさ・えいこ)
1978年、東京生まれ。漫画家、ライター。01年「マンガF」にて漫画家デビュー。05年 エロ本の漫画業開始。ハプニングバーなどの過激スポットへ潜入したルポ漫画を描きながら、男性の望む「女のエロ」を描き、違和感が蓄積。08年からノンフィクションレポートシリーズ「むだにびっくり」を自主制作・出版。
ブログ「むだにびっくり

『VHSビデオ 楊秀峰先生の家庭で出来るツボ推拿法(すいなほう)[前編・後編]』

やるならとことん!

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最終更新:2013/05/14 14:33
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