『四巨頭会談』刊行インタビュー

男だった女・能町みね子が語る、セクシャリティーで異なるさまざま友情

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『四巨頭会談-男好きの男と女好きの
女と女だった男と男だった女』(ブッ
クマン社刊)

 漫画家のかずあきさん(ゲイ)、以前サイゾーウーマンでもご紹介した『くされ女子!』(ブックマン社)の著者・竹内佐千子さん(レズビアン)、女だった男(FtM)の漫画家・西野とおるさん、男だった女(MtF)の文筆家・能町みね子さん……。異なるセクシャリティーを持つ4人が集結した対談集『四巨頭会談-男好きの男と女好きの女と女だった男と男だった女』(ブックマン社刊)をご存じ? 本書では性や恋、身体機能についてまでそれはそれはディープに語られているわけだが、能町みね子さんの”男として男を観察できたのは楽しかった”という発言に、ビビッ! 男の園、女の園、両方のグループに属した経験のある能町さんに、それぞれの友情の違いを聞いちゃいました。やっぱり女はドロドロ、男は熱血なんでしょうか?

――『四巨頭会談』の中で、すごく興味深い箇所があったんです。能町さんは以前、男子として生活されていた頃、”男として男同士のコミュニティに所属”できたことが良い経験になったと書かれていましたよね。

能町みね子(以下、能町) そうですね。特に腐女子系の女友だちと話すと実感します。かなり役得なポジションにいたんだなって。腐女子って……まあ、私もそういう要素があるんですけど、男同士が仲良く戯れている様を見るのが好きじゃないですか? 腐女子ってさらに、あわよくば中に入って同じように戯れたいっていう欲求も少なからずあると思うんです。でも”女子”として輪に入るとマドンナ的な扱いをされたり、ただの友だちでも男同士よりは一歩引いて見られちゃうと思うんです。やはり完全に男として輪に入らないと楽しめないんですよね。だから今思うと、奇跡的なことだったんだなあと、得したもんだなあと思うんですよね。

――羨ましい限りです!! 今は女子として、女子のコミュニティに属することが多いと思いますが、男子と女子、それぞれのコミュニティの違いってどんなところだと思いますか?

能町 ちょっと語弊があるかもしれませんが、男同士だとつまらない話はしないというか……。女同士のスイーツトークみたいな、”だから何?”と言いたくなるような話は絶対しないですね。そういう話をする人には、誰かが必ずツッコむ仕組みができているので。なんとなく自然にボケとツッコミみたいなものが生まれるんですよね。多少激しいツッコミを入れても、その場はちゃんと収まります。女同士って、結構気を遣いながら話すじゃないですか? ”これ以上はツッコめない”みたいな範囲が広いし。たとえば男子なら「デブ!」と罵っても笑い話にできますけど、女子には絶対言えませんよ。「ハゲ!」も女子にはムリですね。女子のほうが禁忌が多い(笑)。

――確かに……。女同士だと冗談でも言えないことが多いですね。

能町 異性の話でもそうですよね。男同士って、趣味があまり合わなくても、女の子の話でだいたい盛り上がれるんですよ。「●●の胸がイイ!」とか。大概の男は下ネタ好きだし。でも女同士だと、どんな相手とでも男の子の話で盛り上がれるかというと違う。男のほうが女よりも、性欲で異性を見ているからなんでしょうね。

――男の子たちは、女同士のそういうコミュニティをどう思ってるんでしょうか?

能町 特に何とも思ってないんじゃないかな?(笑) 男子はコミュニティ全体というよりも、女子個人しか見ていませんから。たとえ気になる女の子が、女子グループの中で嫌われていたり、多少女受けが悪かったりしても、そんなに気にしないと思います。

――そういうものなんですか! ところで、男同士でじゃれ合っている男子が好きな女子はご指摘の通り多いですが、女子が思い描いている、”信頼・友情・汗!”みたいなチーム男子感って本当に存在するんですか? 

能町 あると思いますよ。少なくとも私は体験しました。バンドをやっていたことがあるんですけど、何か問題が起これば本音をぶつけ合って解決するとか、リードする子がいて、みんなを引っ張っていくみたいな雰囲気はありましたよ。男同士の場合は割りと思ったことははっきり言っちゃうから、面倒臭くないですね。

――逆に女同士だと気を使い合うぶん、ネチっとしたものをはらんできますもんね……。

能町 そうそう、女の子3~4人で何かひとつのことをやろうとすると、コワいんですよ。男みたいなに何でもかんでも言っちゃうと、ギスギスしそうで言えないし。物事をみんなでやり遂げようとするときって、どうしても人にああしろこうしろみたいな注文が出るでしょ? 「ここ、もうちょっと直して」とか。でも女子って基本的には “共感”と”仲の良さ”で関係を維持しようとする傾向が強いから、なかなか注文が言えないんですよね。挙句、段々みんなに不満が溜まってきて、爆発して収集がつかなくなるんです。だから女の子のアイドルユニットとか、あんなの絶対仲がいいはずないと思いますよ。でも、SMAPとか嵐だと、普通に仲よさそうな気がする。多少のいがみ合いがあっても、女子ほどの本気度を感じないというか。

――嵐みたいな、ああいうチーム男子の輪に入ってみたいんですよ!! 本当に無理なんでしょうか? 女子臭を消してあの輪に溶け込むのは……。

能町 完全に無理ではないかもしれないけど、かなり難しいと思いますよ……。女の登場は臨時イベントですから。チーム男子の中の誰かと付き合っちゃったらもうダメですからね。完全にチームが壊れますから。少なくともちゃんと別に彼氏がいるとか、結婚してるとか、恋愛対象にならないポジションにいないと絶対ダメです。

――溶け込んでるお手本みたいな女子って、誰かいないですかね?

能町 男子の中にいて、ちゃんと仲間として認められるキャラの人はいます。小池栄子さんです。以前放送していた『爆笑問題の検索ちゃん』(テレビ朝日系)での司会っぷりを見て、すごいと思いました。男子のチーム感をまったく邪魔しない存在感を持っているんですよ。彼女はグラマーだけど、そのへんのグラビアアイドルみたいに、番組の中でみんなが狙うアイドルみたいなポジションには敢えていかないんですよね。場を仕切れるし、ツッコミも入れられるし、笑って場を盛り上げるし。小池栄子の女性性のコントロールはすごい。上手すぎます。女性にもそんなに嫌われてないですし。

――小池栄子を目指します! ところで、MtFの方たちのコミュニティはどんなノリなんですか? 

能町 私はあんまり深くコミュニティにかかわったことがないのでちょっと偏見もありますが、なんとなく”ママさんの集まり”って感じがしますね。なぜか、ちょっと服装やしゃべり方が古風というか。中にはMtFだけで群れて傷をなめ合うような、すごく狭い世界で固まっちゃってる人もいるから、そういうのは勿体ないなあと思います。

――なるほど。当たり前ですが、男女を超えたセクシャリティーにもさまざまなコミュニティがあるんですね。『四巨頭会談』で勉強します!

能町みね子(のうまち・みねこ)
エッセイスト。イラストレーター。2005年、ブログ「オカマだけどOLやってます。」をスタートし、戸籍上・身体上の性別が男性だったことを隠して女性としてOL生活を送る様子を描き、注目を浴びる。主な著書は、『オカマだけどOLやってます。』(文春文庫)、『くすぶれ! モテない系』(ブックマン社刊)、『お家賃ですけど』(東京書籍刊)など。ブックマン社の公式サイトにて、「モテない系とドリカム層」を連載中。

『四巨頭会談―男好きの男と女好きの女と女だった男と男だった女』
ゲイ、レズビアン、FtM、MtF……ちがうセクシャリティをもつ四人が集まって、性やら恋やら身体について、のんべんだらりと語った対談集。「ふつう」に生きる彼らの、ラフでわかりやすいセクシャリティの話。まんが、イラスト満載で読みやすい1冊。
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