[女性誌速攻レビュー]「美STORY」1月号

杉田かおるのTバックを前に完敗した、「美STORY」の”ぷりっ尻”企画

2010/11/22 19:00
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「美STORY」2011年1月号(光文社)

 中年女性が「自己の老い」や「若い女」という敵となりふり構わず戦う姿を見せてくれる「美STORY」。今月もまた数々の無謀な戦いを繰り広げているのですが、それは後に譲るとして……さあて今月の齋藤薫センセーの連載は、表紙に登場している小雪がテーマ。齋藤センセーは小雪のファンだそうで、彼女のことを「地球の自然にも似た美しさ」と評しています。いわく「この人を見ていると、深森の中にある透明な湖の存在を思い出す。あるいは青く澄んだ山々のシルエットが幾重にも重なる壮大な景色を思い出す」そうなんですが……すみません、正直「ポカーン」ですよ。執筆直前に村上春樹でも読んじゃったのかな? これを読む限り、「タッキー、マジ神」「キムタクってやっぱイケメン」という類の言葉の方が、本質的な意味を表現していると思えるから不思議。今月も薫センセーの御託宣を承ったところで、早速中身に突入です。

<トピック>
◎サハラで泣いて、私は生まれ変わった!
◎眠れる美女は、シ・ゲ・キで目覚める!
◎”40代からのぷりっ尻”講座

■子宮がんとサハラ砂漠を一緒くたに……

 先日、子宮がん罹患&結婚報告をして世間を驚かせた原千晶。来月号からスタートする新連載の前に、今月号では2度の子宮がん闘病と、結婚、家族の支えを告白しています。「透明でさらさらの、水のような、異様なおりもの」が出たことでがん再発を実感したというリアルな記述、医師から子宮摘出を薦められたことなど、読者にとっても何かしら感じることが多いインタビュー。

 しかし、その余韻もなく、ページをめくると目に飛び込んでくるのが、梅宮アンナによる「サハラで泣いて、私は生まれ変わった!」という連載の特別枠。近年、「モテぽにょ」体形から見事筋肉美人に生まれ変わったアンナが、エジプト・サハラ砂漠を踏破するサハラレースを体験。1週間分の荷物を持って、40℃以上の砂漠の中を歩くのは大変だと思うのですが、子宮がんの後にこれは……。「生まれ変わった!」という言葉を使われては、極限状態に陥り自然に流れたというアンナの涙にも、「抗がん剤の影響で坊主になった原千晶の前で泣いてみろよー」と意地悪を言いたくなる始末。途中リタイアするわ、カイロの街を歩いては飯食ったり、ラクダに乗ったり、高級ホテルに泊まったりしているんだもの。ダメだこりゃ。

■『ドラゴンボール』よりも激しい、無限ループがここにあり

 今月の大特集は「眠れる美女は、シ・ゲ・キで目覚める!」です。「シゲキ」をキーワードにした、小ネタ集といった内容で、美顔器を使った裏技にマッサージ、きれいになれる「ドMサロン」などが散りばめられています。宅配便ドライバーと妄想恋愛をくり広げたり、年下夫からの褒め言葉などをピックアップしたり、”いつもの悪ふざけ”も健在ですが、特筆すべきは「美魔コン前夜の”イメチェン”劇場」というコーナーです。

 オネエ系ファッションプロデューサー・植松晃士が、「美STORY」が張り切って主催している「美魔女コンテスト」ファイナリストをぶった斬りし、ヘア&メイクのイメチェンを促しています。そこでの植松さんのコメントが「美STORY」世代の特徴を的確に掴んでいて、それこそ「シ・ゲ・キ」的。名古屋の派手メイクでキメキメな美魔女には「盆と正月がいっぺんに来たみたい」、黒髪ロングをずーっと保っている美魔女には「あら? オカルティ!?」。ほかにも、「一見可愛い昭和のモテ子」「プラスティックみたい」「可愛いけどなんか重ーい」などなど。それを言われた、美魔女たちは本当に凄まじいイメージチェンジをするのですが、完成した写真を見て愕然。顔の部分だけ隠せば、20代そのもの(たまに頭皮やキューティクルの関係で40代のままもいますが)。リバース巻きとか、ふんわりボブとか、40代でもそこにいきますか……。そして、タイトル通り「美魔コン前夜」に一流美容師によって劇的に変化させられて、それを次の日には華々しく表彰しちゃったりするんでしょう? 「若づくり産業の無限ループ」を見せられちゃって、本当にゲンナリ。もう「美魔コン」やらなくても、脳内想像できるんで、来月号の記事は短めでお願いします。

■杉田かおるの尻に、すべてが散った夜

 先月号にもご案内した通り、「美STORY」は「おっぱい美魔女」なるものも推奨しています。そのアイコン的存在なのが、モデルでエステティシャンの原志保さん。で、彼女がおっぱいよりも自信があると言ったことから始まったというのが、「”40代からのぷりっ尻”講座」。原さんたら、冒頭からTバックとガーターストッキングを着用し、美しいお尻を強調。そして、美尻をつくるTバックやガードルの紹介、エクササイズやマッサージなどを紹介して、このコーナーは終了。ちなみに原さんはブログで、この企画が編集部発であること、息子さんに「今月のママすごいでしょ~?」とお尻ページを見せたら、「食事中にそんな気持ち悪いの見せないで」と言われたことを綴っています。息子さんがちゃんとした感覚をお持ちでよかった~。

 そして、ページをめくると、来月写真集を発売する、杉田かおるのセミヌードがドーン!! 背面から撮ったTバックショットが掲載されているのですが、そのケツのデカさとたるみっぷりったら♪ 今回の写真集の撮影にあたり、加圧トレーニングなどで10Kgのダイエットに成功したそう。ですが、酒を浴びるように飲み続けた生活が作り出したデカ尻やむっちりとした太ももは、退廃的なエロスを醸しだしていますよ。美尻の原さんにはない、熟れた体の魅力。”ぷりっ尻”からのこの流れは、「若さと張り合わなくていいんだよ」という「美STORY」編集部の提言、との希望的観測で受け止めたいと思います。

 今月号は巻末に珍しく、手相占いまで掲載されています。年末企画ということなんでしょうが、杉田かおるのヌードで、美の方向性に迷った読者を受け止める役割を果たしているのかもしれません。ええ、完全なる深読み&思い込みなんですが。「若さ」と「美」を前のめりで追求する読者にも、占いのテキトーな言葉で癒されたい夜もあるんだと発見できた、今月号でした。
(小島かほり)

「美STORY」

地球規模の美しさだったんですね

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最終更新:2010/11/22 19:00
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