[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」10月22日号

「歯ブラシの柄で喉を突いた」、柳美里が「婦人公論」で息子との”付き合い”を激白

2010/10/10 17:00
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「婦人公論」10月22日号(中央公論新社)

 江原啓之の連載「セックスよろず相談室」が始まってからというもの、「婦人公論」を手に取るとまっさきにそのページを探してしまいます。連載コラムを毎回このレビューで取り上げても仕方がないのでやめようと思うのですが、語らずにいられないので語らせてください。

 今回のテーマは、47歳の主婦からの相談「夫の絶倫ぶりに困っています」。夫が40歳を過ぎたころから風俗にのめり込み性生活が激減。夫の気持ちを取り戻そうと、自分から誘ったり玩具を渡したりしていると、今度は夫が若い時以上に精力的になり、毎日求めてくるように……。「近頃では、時間も長く内容も濃くて、正直、困っています」というお悩みです。ノロケかよ、とツッコミたくなる相談ですが、当人は深刻なんでしょうね。

 で、それに対する江原の答えは、「夫婦でじっくり話し合え」。……アレ、前回もそんな回答だったよね? もしかしてそれって、北方謙三の人生相談コーナーにおける決め台詞「ソープに行け」みたいなもん? まー、いいんですけど。回答はつまらないけれど、質問内容で2度、3度発情できるおもしろコーナーです。ぜひご一読を。と、前置きが長くなりましたが、中身を見て見ましょう。

<トピック>
◎特集 40代からの女の病気 こう防ぐ、こう治す
◎虐待 なぜ母は一線を越えたのか
◎押尾学裁判、このガッカリ感はなんだ!?

■玄米食を極めると、鶏の霊が入ってくるらしい

 特集「40代からの女の病気 こう防ぐ、こう治す」。子宮の病気や甲状腺疾患、糖尿病、脳卒中と、よく耳にする病気の治療法やセルフチェック術が細かく書かれています。インタビューページでは、池波志乃や伍代夏子が大病との壮絶な闘いを告白。興味深かったのは、横森理香。子宮筋腫を切らずに治すため、代替治療にハマっていった経緯を詳細に語っています。

 まず鍼灸治療と玄米食。それから温泉巡りに世界各地のパワースポット巡り。アーユルヴェーダに、ハンドパワーで治療するレイキ治療、ヒプノセラピー(催眠療法)、ホメオパシー……。何か一つに傾倒するならまだしも、次々にマユツバ医療を乗り換えている上、着実にマユツバ度が上がっていってるところが笑えます。しかし、それもこれも子宮筋腫を克服して妊娠するため。女性は妊娠出産がらみになると、あっち系に容易にワープしてしまう傾向がありますから、あんまり他人事と笑えません。

 玄米食も、極めるとてきめんに健康になり、朝から走り出したくなるほどの爽快感に包まれるようになりました。感覚が研ぎ澄まされ、たとえば外食で鶏肉を口にすると、殺された鶏の気持ちが入ってきて哀しくなっちゃう。

 哀しくなっちゃうってアンタ、さすがにここまでくると、健康を通り越して別の分泌物が脳から湧いていますね。一時は旦那さんとの性交渉もなくなり、出家した僧のようになったそうです。子どもをあきらめかけた頃、38歳で無事妊娠。その後、つわりの影響でジャンクフードを食べたり、妊娠後期には焼肉を食べたりと、すっかり俗世に戻ってきたとのこと。全体としては代替医療を批判するでもなく賞賛するでもなく、ごくニュートラルな視点で”ハマった時”の感覚を語っており、たいへん面白い記事でした。

■気持ちを代弁してくれるママタレ、集まれ~!

 4回にわたる緊急連載「虐待 なぜ母は一線を越えたのか」が始まりました。1回目は柳美里が自身の息子との付き合い方について語っています。柳美里は、かつて「息子を殴った」とブログに書いたために、2ちゃんで”祭り”になり、児童相談所に通報された経験があります。今回のインタビューでも、「『子どもは生まれた瞬間から無条件に可愛い』というけれど、私にはそんな神話的な母性愛は湧いてきませんでした」「(歯磨きのとき)なかなか口を開けないので、歯ブラシの柄で喉を突いてオエッとなっている間に磨いたり。無茶苦茶なことをやっているとは思うのです」などと、炎上大好きネットユーザーが喜んで油を注ぎそうな告白をしています。

 でも、こういう告白って、案外育児経験者からしてみれば救われるものなのかもしれません。というのも、以前、幼児2人を置き去りにして殺した若いシングルマザーの事件で、「彼女ばかりを責められない」という意見がネットでわき上がったことがあったのです。一見よろしくやってそうなママブロガーが容疑者に寄り添う意見を書くと、金魚のフンみたいに同調するコメントがズラズラっとつけられたりして、ああ、みんなおおっぴらに言えないけど、本当はそういう”本音”を誰かに代弁してほしいんだな、と思ったものでした。無論、どんな理由があろうと虐待は許されません。でも、フタをしているだけでは解決できません。と考えると、これはドロドロのフタを開けるのがお得意の「婦人公論」ならではのテーマ。今後に期待しています。

■地獄の入り口から戻ってきたお子ちゃま

「とてもまっとうな大人には見えなかった」
「反省する心はゼロだと、あの場にいれば誰もが感じたでしょう」
「『謝罪したくない』というよりは、そもそもそういうことができない人間」
「精神的に『幼い子ども』」
「幼稚さとエゴに支配された頭に、『まずは人命第一だ。すぐに119番しろ』という理性の声が届かなかったとしても、何の不思議もない」

 以上はすべて押尾学裁判を傍聴したあるジャーナリストの押尾評です。「押尾学裁判、このガッカリ感はなんだ!?」という記事から抜粋しました。これを読むと、押尾学は本当に極悪非道で自己中心的で虫けらのように思えます。裁判レポートとしてはいささか主観に過ぎるような……。まるでこの女性誌速攻レビューみたいな裁判速攻レビューでした(笑)。

 最後に、次号の案内を見てみたら、「セックスよろず相談室」の次回テーマがすでに出ていました。「40歳で処女が恥ずかしいです」とのこと。いいとこついてくるなぁ~。これは江原先生、どう答えるのでしょうか。このテーマじゃ「夫婦で話し合え」は使えません。やっぱり「ソープに行け」ですかね。楽しみにしています。
(亀井百合子)

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最終更新:2010/10/10 17:00
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