[TVツッコミ道場]

野際×浅野×光浦、日曜朝7時に濃すぎる顔ぶれの「恋バナ」番組

2010/05/22 11:45
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「ミツウラの鳴らない電話」/文藝春秋

 「女3人寄ればかしましい」とは言うけれど、野際陽子と浅野ゆう子と光浦靖子――この3人が集まったら?

 今回ツッコませていただくのは、この意外な組み合わせの3人が集った5月16日放送分『ボクらの時代』(フジテレビ系)。

 3人はNHKドラマで共演したことがある仲だそうだが、それぞれ年齢は異なるものの、三人のうち一人(野際)が離婚歴を持ち、他の二人は未婚という「独身」三人組の話題は、自然と恋バナになっていく。

 でも、『グータンヌーボ』(関西テレビ系)みたいなフワフワした番組を想像してしまったら、大怪我をする危険な番組だった。

 たとえば、浅野ゆう子のトレンディドラマ時代の恋人について、「テレビ見ながら、当時、あの人とあの人、絶対付き合ってるんだろうなーと思った。思いきったところで言っていいですか? 浅野さんと布施(博)さん!」と光浦が言えば、浅野は「ちょっ、カンベンして!」と本気で顔をしかめる。

「結婚しようと思ったことはない。なりゆきですね」と過去の千葉真一との結婚について野際が語れば、光浦は自らの恋愛について「一方的に好きになって、”当たり屋”みたいなもん」と表現する。

「『ごはん作りすぎちゃった♪』なんての、20年以上やってて、ホントは作りすぎるわけないんですよ、私が。『食べに来ます?』なんて誘ったりしましたよ。来ましたよ、食べて帰りましたよ。『食堂か!』って(怒)」(光浦)

 真剣に「オトコ遊びしたいなー」と漏らす光浦靖子。それに対して、かなり真剣に問いかける浅野ゆう子がまた、スゴイ。

「年下の男の子好きなの? 最近の男の子をどうしたいの?」

 バブルというものを境に、光浦と浅野の「年齢差」「世代差」は実際の数字以上の隔たりがあるようで、「ババアがさあ、若い男に必死だと思われるんじゃないかとかさあ」と光浦が不安を漏らすと、浅野は悟った様子で言いきった。

「それは、年齢。いき遅れが焦ってるんじゃないかと思われるのが嫌で、私も若い男に近づかない年齢があった。でも、40歳を越えたら気にならなくなるから。『ご飯行こう』って言っても『行く!』って。もう全然警戒されない」

 だが、野際の「それはそれで寂しいような……」という呟きで、一同、沈黙……。

 それでいて、バブルの象徴として生きてきた浅野は「貧乏ダメ。第一条件」と今なおしきりに繰り返し、こんなファンタジー的発言を放っていた。

「だって、アラブの石油王を夢に生きたいよ~!!」

 一方、光浦はといえば、「全然気にしないで、若い男の子に声かけていいから!」と浅野に背中を押されても、腰の低さを変えられない。オトコに対する声かけとして、即座に放たれた一言は、「なんか欲しいもんある?」というほどだ。

 そういえば、5月17日放送の『やりすぎコージー』(テレビ東京)「女芸人カーニバル」の放送でも、「お金を持ってると思われて、外国人窃盗団に狙われる」という被害妄想を語っていた光浦。あのときも、真昼間からオシャレなレストランで「オトコ遊び」についてと同時に「老後のための貯蓄」などを真剣に語るなど、高度な笑いを提供してくれていたけれど……。

 40歳手前、50歳手前、70歳手前の独身女性3人が語る恋バナは、女芸人会よりも、さらにぶっちゃけで、刺激的で、重たすぎる。

 しかも、3人の組み合わせの異様さもさることながら、何よりも異様なのは、これが朝7時から放送されていた番組だということ。世代もカルチャーも異なる3人の「3次会の朝帰りトーク」のような番組は、偶然見るにしてはキョウレツすぎて、深夜番組にしては重すぎて、朝という放送時間さえも大きな企みのように見えてしまうのでした。
(田幸和歌子)

『ミツウラの鳴らない電話 (文春文庫PLUS) (文庫)』

浅野姐さんの進化がパねえ……

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最終更新:2010/05/22 11:45
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