[女性誌速攻レビュー]「日経ウーマン」4月号

「結婚しないかもしれない」独女症候群の”不安”のお値段に「日経ウーマン」が迫る!

2010/04/08 16:15
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「日経ウーマン」5月号/日経BP社

 働く女性の仕事と暮らしを応援する「日経ウーマン」5月号。今月は、Excelの便利な使い方を解説した小冊子「仕事に役立つエクセル辞典」が特別付録として付いています。ブランドとコラボしたポーチなどを付けるチャラチャラとしたファッション誌とは一線を画す、この不器用なほどに生真面目な感じ……好きです! では、中身を見ていきましょう。

<トピックス>
◎貯まる生活♪ はじめよう
◎お仕事バッグ&中身大集合!
◎この春、ゴルフデビューする!

■アラサー女子と金の関係を包み隠さず特集!

 46ページにも渡る大特集「貯まる生活♪ はじめよう」では、貯蓄のコツをあの手この手で大解剖。「手取り月収20万~25万円のひとり暮らしの人は、3万~6万円の貯蓄が目安」「月3万円貯蓄したら、100万円が貯まるのは2年10カ月後」といった具体的な貯蓄HOW TOをはじめ、「年金の予想額の出し方」「65歳から85歳までに必要な生活費の導き出し方」といった老後に関する記事まで、この一冊あれば、一生涯のお金の疑問をカバーできます。しかし、どこを読んでも貯蓄、給与、年金、投資、保険、外貨預金……と、超真面目なマネープランの話しか出てきませんので、思わず雑誌を床に叩きつけて「ええじゃないか♪」と江戸時代末期さながらに踊り出したくなりますが、そこはグッと我慢。「日経ウーマン」の愛読者になったからには、どんなに現実を突き付けられても、「私ってこんなに暗い気持ちになれるんだ~。新しい私見っけ♪」と、己のどんより感をエンジョイするくらいの気持ちで読み進めましょう。

 そして特集内の「貯金1000万円以上ウーマンの秘密、教えます」では、”節約の鬼”と化し、年収300万円台にも関わらず、貯金額が1,000万円を優に超えるアラサー女性が何人も登場。日常的に実行している節約術を教えてくれるのですが、その内容は「ジムで入浴し、家の風呂は月に1回しか使わない」「化粧品はサンプルや懸賞で無料でゲット」「早めの入浴で髪は自然乾燥する」「手紙のやりとりで携帯料金をカット」など、驚く程のチリツモ! この鬼たち、もとい達人たちに共通するのは、「この先、結婚するかもしれないし、しないかもしれない」とぼんやりとした不安感。一見ただのドケチに見えるこれらの節約術ですが、アラサー独女のワビサビがここに集約されているわけです。

■「銀座のママ」のバッグの中身は最強だった!

 第二特集「お仕事バッグ&中身大集合!」では、ニュースキャスターや政治家、企業広報など、20名の働く女性がバッグの中身を大公開。財布、携帯電話、名刺入れ、手帳、ハンカチ、ティッシュ、化粧ポーチ……と、どなたもさほど目を引く物が入っていない上に、ファッション誌の同企画と比べ、そのセンスもわりと地味です。なので、あまり特筆すべきこともないのですが、唯一目を奪われたのが、銀座で2軒のクラブを経営する敏腕ママのバッグの中身。

 『ハンカチは「手を拭く用」「人に貸す用」「膝に広げる用」の3枚』『人に差し上げる為の飴やチョコが入ったティファニーの小銭入れ』『裁縫セット』『目が乾燥するお客様に差し上げる小分け目薬』など、流石としか言いようのない「気遣いグッズ」が大きなバッグから出るわ出るわ。仕事上の嗜みとはいえ、この精神は勉強したいものです。ちなみに20名中、「日経新聞」が入っていたのは、このクラブママのみ。この記事を受け、社会人的にも、女子力的にも、「銀座のママ最強説」を高らかに唱えたいと思います。

■「日経ウーマン」の二面性、明るいタイアップ

 お金の大特集でグッタリした心を払拭してくれるのが、後半の12ページ特集「この春、ゴルフデビューする!」。フジテレビの女子アナ4名による、やけにキャッキャッとしたゴルフ座談会や、ゴルフウェアに身を包んだモデルのSHIHOのインタビューなどを交えながら、女子だけでラウンドを回る「女子打ち」を推奨しています。それまでの真面目な記事とのギャップに違和感を感じていたら、ゴルフ関連グッズの広告や、タイアップ記事が特集内の至るところに挟まっていることに気付きました。なるほど、前号から感じていましたが、「日経ウーマン」って、広告が絡むと突然明るい雰囲気の記事が構成されるのですね。そんな二部構成のような明らさま感にも注目して読んでみると、この雑誌がさらに面白くなるかもしれません。

 というわけで、金の話(それもMAXに現実的)だらけだった「日経ウーマン」5月号。「いろんなこと我慢してお金貯めたって、明日死ぬかもしれないしぃー」などと思っちゃってるお嬢さん、決して「日経ウーマン」は、「つまらない大人養成雑誌」ではないんですよ。ただ、大人が夢を見ることを許してくれないだけなんです。そんな堅実な雑誌「日経ウーマン」を、これからも追いかけていきます。
(林タモツ)

『日経 WOMAN ( ウーマン ) 2010年 05月号』

参考書として買ったものの、一生読まない系

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最終更新:2010/04/08 16:16
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