[女性誌速攻レビュー]「プレジデント ファミリー」3月号

狂気に満ちた「プレジデント ファミリー」は、独身男女こそ読むべき!

2010/01/19 16:36
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「プレジデント ファミリー」/プレジデント社

 今年から子育て雑誌(教育雑誌)もラインナップに加わる、女性誌レビュー。世田谷区で一番売れているという教育雑誌、「プレジデント ファミリー」も満を持しての登場です。「子供を元気にする。親も元気になる」というキャッチコピーで、月刊化して早3年半。今までも「子供が将来、仕事に困らない大学」「母の叱り方 父の叱り方」「合格する子の新条件」など、子育てへの並々ならぬ執念を掲げた特集が多く、プレジデント的世界観を共有できない者への壁が立ちはだかっていましたが、今年はその壁を乗り越えて、”他人を蹴落とせ 子育て術”に迫りたいと思います。では早速トピックから。

<トピック>
◎学費が貯まる暮らし方
◎うちの息子は大丈夫? 結婚できる男子、できない男子
◎バーゲン品の値札の裏側、激安のカラクリ

■中産階級が一番タチが悪い

 まずは今月号の大特集「学費が貯まる暮らし方」を細かく見て行きましょう。大特集企画1つめは「給料ダウン 家族を救う16のアクション」です。経済ジャーナリストの荻原博子さんが、家計および教育費の危機に直面した家族の状況をヒアリング。その解決法を検証し、アドバイスを送るというありがた~い企画です。ただ、この悩みや危機というのが中産階級たるが故のエゴ丸出しで、中途半端なプライドが家計に悪影響を与えることを浮き彫りにしている恐ろしい内容に。

 例えば、建設会社を経営する夫婦の妻は、昔からブランド品などの買い物が大好きだったものの、折からの不景気で年収は半分にまで低下。それでも「思い切って買い物したいですね。女としてまだまだきれいでいたいし、みじめな感じにはなりたくありません」とのこと。ブランド品を着ることがだけが、現役感ではありませんよ!

 また「夫の年収が激減するものの、月20万円近くかかる息子のピアノのレッスン料は削れなかった。いよいよ家計がひっ迫し、義母に年100万円を支援してもらうことに。その後、義母が何かと孫の教育に口を挟むようになり、頭が上がらなくなった状況に対して後悔してる」という人も。お金だけもらって、サヨナラしたいなんて、そんな都合の良いことをするつもりだったのでしょうか。子供のためにお金がもらえるなら、歯を食いしばって我慢すべし。

 ほかにも「パート先がラブホテルで、近所で噂になってないか気になる」「フリーターの夫をしり目に、妻が正社員になったものの、夫が家事もしない」など、悩みにならない”悩み”が多数。この不景気の時代、衣食住が事足りることにまずは感謝して! と言いたくなるような贅沢病の数々。人間の欲望にはキリがない、ということをまざまざと見せつけてくれる企画でした。人間って怖いね♪

■もはや狂気のお受験出費

 まだまだ続く特集、続いては「湯水のようにお金を使った 中学受験ママの出費メモ、全部公開」です。愛知淑徳中学合格までの3年間に掛けた費用は507万円、しかも第一志望ではなかったらしく、結局、公立中学へ入学したそうです。だったら、どこかへ寄付してあげて! また南山中学合格へ302万円をかけた家族の内訳に驚愕。塾代、DS学習ソフト代なら想定内ですが、受験票の写真撮影代、お弁当代(国産の食品に限るそうです)、リュック代、文房具代と細かく書き留めているのが、もはや狂気。将来、子供が言うことを聞かなくなったときに、「アンタにこれだけお金かけてるのよ!」といって、”債権”を回収する姿が目に浮かびます。そもそも、受験という大義名分のもと、いろんな企業にお金をむしり取られていることに気がつかないのか、疑問を持たないのか、ということが気にかかりました。ま、気付く人は”お受験出費”を回避するんでしょうけど。

■「結婚できない男子」生産マシーンに届け!

 特集とは切り離された企画に、秀逸な企画がありましたので、紹介させてください。「うちの息子は大丈夫? 結婚できる男子、できない男子」です。タイトルだけ見ると「AERA」(朝日新聞出版)かと思うのですが、本人インタビューで構成されることの多い「AERA」が当事者目線なのに対し、「プレジデントファミリー」は結婚情報センターから最近の風潮を聞いた、一歩引いた目線。「結婚情報センターに会費を払っているのだから、結婚相手をあてがってくれて当然」と何も行動を起こさない人、お見合いパーティーでも話しかけずに人間観察に勤しむ「受け身くん」、相手の話を聞けずに自慢ばかりを話す「オレオレくん」などの結婚できない男子を数パターンの実例とともに紹介。

 そこで導き出した結論が、「親の過保護がコミュニケーションをとれない子にさせる」。もちろんこの結論は何度も繰り返し言われてきたことですが、雑誌の内容を見る限り、「プレジデント ファミリー」の読者層がまさに「結婚できない男子」を大量生産しているようですので、ぜひ愛読者には読んでほしい企画。「働く女の増加が晩婚化に繋がる」なんて、寝ぼけたこと言ってる人こそ、一字一句取りこぼさずに目に焼きつけてほしいですね。

 というわけで、読むだけで子育てへの執念(という名の狂気)を当てられて、ぐったりする「プレジデント ファミリー」。自分がいかにまともな家庭に育ったかを認識させられ、里心までつく始末。20、30代の独身のみなさん、「最近、実家に帰ってないな」と思ったら、「プレジデント ファミリー」を読んでみてはいかがでしょうか。そのまま、飛行機、新幹線に乗りたくなるような、望郷の念が沸々とたぎってきますよ!
(小島かほり)

『債権なにがなんでも回収法』

プレジデントファミリーの併読書

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最終更新:2010/01/19 19:27
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