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「ヴィンテージマンションをリノベ」と「築浅物件」どちらがお得? 見極めるための必須チェックポイント

2016/09/12 20:00

 家を購入する際に、築浅にこだわるかどうかは大きなポイント。概して築浅は割高ですし、立地のよい家がなかなか見つからないこともあります。最近では築年数の経ったマンションの部屋を、おしゃれにリノベーションして住まうことがひとつのトレンドにもなっていますよね。

 今回は、ヴィンテージマンションのリノベーションに憧れていたにも関わらず、結局築浅物件を購入した田畑さんにお話をうかがいます。彼女は物件選びをするなかで考えが変わったといいますが、どんな原因があったのでしょうか。

◎メーカー勤務の田畑さん(40歳)の場合

【田畑さん&お部屋のプロフィール】
田畑さん:メーカー勤務。購入時は35歳、独身。現在は子どもと2人暮らし。九州出身。マンションは実家の沿線。当時の年収は300万円程。

所在地:福岡市中央区 天神駅徒歩12分
専有面積:約57㎡
築年数:6年(購入時)
間取り:2LDK(例:間取りは15帖のLDK、7帖と5帖にトイレとバスルーム)
価格:2,150万円
管理費:5,200円
修繕積立金:6,000円
月々のローン返済:月々約6万円 30年ローン

ーー当時は独身で、ご実家も現在の住居から近いのですね。マンションを購入されたきっかけはあったのですか?

田畑「もともとインテリアが好きで、内装に自分の希望を反映して作りなおす、いわゆる”リノベーション”に興味を持ち、築30年くらいのマンションを安く購入して好きなように改造しようと思ったのがきっかけです。今のマンションを買う前は賃貸物件に住んでいたのですが、それが62㎡のリノベーション物件でした。その物件の外観と部屋のギャップが気に入ったんです。当時新築マンションには手が届かないと思っていましたが、内装を一度すべてサラにしてからのリノベーションなら値段も安く、しかも新築同様に自分の思い通りの部屋に住めるのではないかと思いました」

ーーリノベーション物件、流行っていますよね。どんなお部屋が好みなんですか?

田畑「北欧風といいますか、ナチュラルなテイストでベースは白色、木の暖かみのあるシンプルな感じが好きです。インテリアショップでいうと、アクタスやウニコの提案している雰囲気です」

ーーいいですよねー。北欧風のお家。元々北欧には古いものを大事に使う考え方が根付いているので、リノベーション物件と北欧インテリアはよく合うんですよね。でも結果的に築浅物件を購入されたのは、なぜでしょう。

田畑「購入する物件は、立地や広さも重視していました。駅近など立地のよいところで60㎡ぐらいの物件だと、築30年くらいのものでも1,000万円くらいするんです。そういう物件を自分の満足いくようにリノベーションすると600万円はかかります。合計1,600万円かかるとなると、もう少しお金を足せば築浅物件が買えるんですよね。それなら築浅を買った方がいいのではないかという気になったんです」

 以前は築30年以上経った物件には価値がないと言われていましたが、近年はリノベーション物件の価値が見直されています。なかには築年数の経った中古マンションでも、新築と変わらないような価格の物件もあるのです。

◎ヴィンテージ物件でかさむ費用

 その理由のひとつは立地。単純な話ですが、早く建てた方が先によい場所を押さえられるもの。古くから人気がある街の一等地は、バブル期までにすでにマンションが建てられています。田畑さんが望んだような好立地の物件は、高価なヴィンテージマンションで占められていたのかもしれません。

――ヴィンテージ物件でも価格が高いものは、立地がとてもよいとか、つくりがしっかりとしているなどの美点があることもありますが、それでも築浅物件の方がよいと思われたんですね。

田畑「自分が所有する視点で見ると、やはり築年数が古い物件は気になる点も多くありました。そういったマンションは修繕積立金が新築に比べて高額です。また配管などの見えない部分の老朽化も気になりました。実際、購入を考えていた中古物件では配管が古くて赤サビが出たり、上階から水漏れした過去があったりしたのです」

――なぜ分かったのですか? 配管のような内部の損傷はなかなか分からないもの。購入前に調べる方法が知りたいです。

田畑「付近に詳しい知人に聞く、不動産屋や管理人と仲よくなる、などの方法で情報を得ました。そのときに『赤サビって出ますか』とズバリ聞くとか、同じマンションに住む人のことや周囲の環境についてたずねるとか……。朝、昼、夜、現地に行ってマンションや周辺の雰囲気を確認するのは必須ですよ」

――わー! 周辺環境も聞き込みするとは。そこまでやるんですね。

田畑「大きな買い物なので、当然だと思いますよ。実際、買おうとしたマンションにその筋の方の事務所があったこともありました。物件のことを知人に話したら、『そこのマンションで以前に発砲事件があった記憶がある』と言われたのです。不動産屋に聴いても誰も知りませんでしたが、物件を見にいったときに上階へ上がったらマンションの扉に看板が掲げてあり、間違いないと思と思ったんです。他の物件でも、見に行ったときにヤクザ風の人と出くわして、ネットで検索したら、事務所があったこともありました」

◎買ってからでは、遅い。

――マンション内で発砲事件がある環境、怖すぎます。それじゃ、オートロックでも意味がないじゃないですか……! その筋の事務所が多いのは土地柄にもよるのかもしれませんが、他にもご近所トラブルはいろいろありますものね。やっぱりできればマンションを買う前に、聞き込みや張り込みをした方がいいようです。

田畑「買ってからでは遅いのですから、できるだけの調査はしておくべきです。私は徹底的に調べたいタイプなので、実際の購入まで2年もかかりました」

――じっくり調べた結果、築浅がよいと思われたんですね。当初希望だった中古物件のリノベーションには興味を失ったのでしょうか。

田畑「リノベーションをして思い通りの住まいをつくることには、今でも興味があります。でも将来転売する可能性を考えると今後築40年、50年と年数を重ねていく物件に手を出して、さらにリノベーション費用をかける決断はできませんでした。資産価値という点で不安が大きいので、ギリギリの収入で購入するものではないですよね。私が望む物件は予算オーバーのものばかりだったので、せめて将来転売したときの価値が読める築浅物件にしようと思ったのです。でも、今でもお金に余裕ができたら、リノベーション用の物件を購入して、自分の好きなようにアレンジしてみたいですよ」

 田畑さんのお話をうかがってもわかるように、昨今は”中古物件=安い”とは、一概にいえません。重視すべき条件は、立地なのか、インテリアの自由度なのか、将来的な資産価値なのか? 優先順位を決めて、物件を選ぶ必要があるでしょう。

(蜂谷智子)

最終更新:2016/09/12 20:27
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