オンナのセックス観はどう変わった?

エロメン、性器美容、春画――2010年代、オンナたちの“セックスカルチャー”5大トピック

2015/12/30 16:00
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『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)

 メディアではいまだ女性の性について、やれ開放的になっただの、やれ自分たちの欲望に忠実になってきただのといわれますが、これ、いつまでいい続けるのでしょうか。女性に性欲があると明言したキンゼイ・レポートが最初に発表されたのは1940年代で、雑誌「an・an」(マガジンハウス)でセックス特集が組まれるようになったのは1989年。女性たちはとっくの前から性に対してアクティブです。そうであってほしくないと思っているのは男性だけ。そんな寝言につき合ってはいられません。

 しかし、ここ数年で女性の性に対する感覚が変わってきたのも、また事実。2010年頃からのスマートフォン普及により、女性が気軽にアダルトコンテンツや性にまつわる情報にアクセスできなかったという、それまでの状況が一変しました。「an・an」セックス特集ですら買うのが恥ずかしいといっていた人たちも、スマホというきわめてパーソナルな武器を手に入れてしまえば、その心配は過去のもの。もっと過激なものも簡単に閲覧、視聴できます。それまで知らなかったことに開眼し、セックスライフや体に関する悩みを共有できるようになった女性たちが次に求めるのは、より自分たちの心身に添ったセックスカルチャーでした。

 そんな2010年以降に起きた<女性の性を変えた出来事>5大トピックに注目し、セックス観やセックスライフにどのような影響を与えたかをご紹介します。

■『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』発売(2010年)
~性を正面から語る女性オピニオンリーダーの台頭~

 それまでにもセックス指南本はあまた出版されていましたが、多くは男性が書いたもの、または男性のファンタジーを増幅することを目的として女性に書かせたものでした。そんなところに、医学的裏付けを示しながら、女性の体、快感の仕組みを解き明かす宋美玄さんが登場したものだから、女性が支持するのはとても自然な流れ。ベストセラーとなったのも、当然だったのです。たとえば、とある男性セックスカウンセラーが提唱している女性の快感スポットを、「そこには神経が通っていないので感じるはずがない」と一刀両断。男性の一方的なファンタジーが打ち砕かれ、女性が膝を打つ瞬間でした。

 これを受けて、女性発信者が女性に向けてストレートに性を語る土壌も生まれました。女性の本音をあっけらかんと明かす峰なゆかさんをはじめ、性のオピニオンリーダーが続々と現れ、さらに女性向けホンネ系webメディア が次々とオープンし、セックスに関する記事が日々発信されるようになりました。男性からの押し付けでない、女性のリアリティに則した語りは、今度も増殖していくでしょう。一方で、中にはトンデモを発信する輩も多いため、情報を受ける側の性にまつわるリテラシーも問われています。

■「SILK LABO」エロメンの本格的ブームが到来(2012年頃)
~女性が男性の身体性を楽しく鑑賞できる時代に~

 女性向けAVメーカー「SILK LABO」に登場するイケメンAV男優=エロメンの人気は、いまやアイドル級に。一徹さん、月野帯人さんらを中心に写真集を出したり劇団を起ち上げて旗揚げ公演を行ったり、活動の場が増え、現在進行形でファン層の裾野を広げています。なんの脈絡もなくセックスが始まる男性向けAVと異なり、恋愛ドラマ仕立てで心のふれ合いを重視する女性向けAVゆえに、見ている方は、ドラマや映画で人気のイケメン俳優を好きになるのと同じ感覚でエロメンを応援できますが、持ち味はやはり濡れ場やギリギリのセクシーショット。ボディラインや肌、行為中の表情、息遣いといった男性の身体性を、エンタテインメントとして享受できる女性が増えたということです。さらにシミケンや森林原人など、男性向けAVでキャリアを積んできた男優にも注目が集まり始めています。ルックスよりもキャラの濃さ、知識量、発信力で支持される彼らが今後、男女のセックス観をつなぐ存在へとなってくれることを期待します。

『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』
「そこには神経が通っていない」に救われた女は大勢いる
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