今宵も一杯、やりましょうか

酒好き女に注意報!! 医師に聞いた、塩分過剰にならない「つまみと酒のいい関係とは?」

2015/05/31 16:00
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 健康診断を受けるたび、問診票の「一日の飲酒量」を偽証し、腎臓・肝臓の検査結果に一喜一憂している、全国のアルコール大好き女性のみなさん。4月から食事摂取基準の塩分摂取値が引き下がったことをご存じでしょうか。これ、酒好き女にはかなり重大なトピックなんだとか。塩分摂取値が飲酒ライフにどう関係するのか? 東京女子医科大学内科教授で減塩協力委員、『血圧を測るだけ!!で長生きする38の理由』(毎日新聞出版)など著書も多数の渡辺尚彦先生に聞いてきました!

――4月から食事摂取基準が改定されたとニュースで知りました。一般的な20~40代女性が一日に摂取している塩分量はどのくらいですか?

渡辺尚彦氏(以下、渡辺) 国民栄養調査によると、20~40代女性の平均塩分摂取量は1日8.6~8.9gです。1日7gが成人女性の食塩摂取基準となっているので、過剰摂取といえる数値ですね。具体的な食事に置き換えると、しょうゆラーメン1杯で7.1g(※1)、和風の朝食(白米、梅干し、漬物、納豆、味噌汁、ヨーグルト)で14.5g、洋風の朝食(トースト、目玉焼き、サラダ、ヨーグルト、紅茶)で4.2gです。世界的にみても日本人は塩分摂取量が多く、そもそも和食が塩分の多いメニューなんです。

――漬物、梅干しは確かに塩分がすごそうです。ちなみに、焼酎に梅干しを入れて飲むのが好きなんですが、それも塩分的に問題でしょうか。塩辛や炙った明太子なんかをつまみにしてるのですが。

渡辺 たくさん召し上がれば過剰摂取になります。イカ・塩辛赤造り20gで塩分1.4g。タラコ1/2腹(50g)で塩分2.3g、塩ザケ・甘口(80g)で塩分2.2gと多いですね。ですから、おつまみでも塩分を減らすよう、冷奴には醤油をかけず、枝豆やそら豆は塩なしで茹でて食べたりと工夫しましょう。醤油、塩、ソースを、かけずにつけるだけでも、減塩の効果が出ます。

――そう考えると、焼酎、日本酒党は塩分過剰摂取になりやすいんですね。塩分の過剰摂取は、どのような疾病のリスクとなりますか? 女性に多い疾病や症状もあるんでしょうか。

渡辺 塩分を多く取ると高血圧になる人が多いです。今や国民の3人に1人が高血圧といわれており、その6~7割は塩分の取りすぎが原因といわれています。また、高血圧が続くと動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞、胃がん、大動脈瘤、慢性腎臓病、さらに認知症などのリスクも高まります。

――飲兵衛だった父が脳卒中で倒れたので、いよいよ身が縮こまる思いです……。簡単に減塩食生活を実践する方法はありますか?

渡辺 減塩の第一歩は、自分の塩分摂取量を知ることからです。非常に簡単に言うと、外食をすごくおいしく感じている人は、1日あたり14gくらいの塩分を摂取している可能性があります。急な減塩食生活は長く続きません。無理なく続けられるようにすることが大切です。私は、「反復一週間減塩法」といって、1週間減塩をしたら、翌週は今までの元の食事に戻す、これを繰り返す方法を薦めています。こうすることで、塩分摂取量にメリハリがついて、塩の味がわかるようになり、徐々に減塩食に慣れるようになってきます。

――なるほど。それより簡単な方法があれば、取り入れてみたいのですが……。

渡辺 無理なく減塩食生活ができるという点で、朝食をグラノーラに置き換える指導を私は患者さんにしています。例えば、バターもジャムもつけない6枚切りのトースト1枚でさえ0.8g(※1)の塩分量があり、梅干しはたった1つで約2g(※1)もの塩分量なのです。一方、グラノーラ50gとヨーグルト200gで食べた場合の塩分は0.4g。1日の摂取目安の、男性で約5%、女性で約6%です。このように朝食をグラノーラに置き換えるたけで、減塩が期待できます。

――間食にもよさそうですね。カリカリ梅やスルメのおやつをやめて、グラノーラに替えてみるとか。

渡辺 私の患者さんで、朝食をグラノーラに置き換えて減塩をしている人がいます。その50代女性は、1週間の血圧平均値が144/88mmHgだったのに対し、朝食にグラノーラを2週間食べたところ137/85mmHgに下がりました。昼食・夕食も減塩するよう心掛けたとのことです。健康に異常がないからと、無頓着な食生活や飲酒を続けているのは自身のためになりません。塩分と上手に付き合って、おいしい物を食べ続けられる体になれたらいいですね。

※1著書『たったこれだけ!面白いように血圧が下がる渡辺式降圧生活のすすめ』(ワニブックス)より

渡辺尚彦(わたなべ・よしひこ)
日本歯科大学病院の内科臨床教授。医学博士。1952年千葉県生まれ。東京女子医科大学内科教授。高血圧学会減塩協力委員。高血圧などの循環器病が専門。近著に『血圧を測るだけ!! で長生きする38の理由 見る間に下がる魔法の習慣』(毎日新聞出版)など。

最終更新:2015/05/31 16:00
『血圧を測るだけ!! で長生きする38の理由 見る間に下がる魔法の習慣』
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