仁科友里の「女のためのテレビ深読み隔週報」

「ブスが嫌い」と語る毒舌家・坂上忍が、それでも女に嫌われない理由

2013/12/26 21:00
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WEB&メールマガジン‐ちょくマガ公式サイトより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「(間取り図を見て)これ、興奮する!」坂上忍
『有吉ゼミ』(12月16日放送、日本テレビ系)より

 まぁ、坂上忍、バラエティにでずっぱり、である。

 俳優を本業とする坂上だが、バラエティにおいては毒舌担当である。愛される毒舌について考える時、女心の複雑さは無視できない。現在のテレビ界で、毒舌役はオネエタレントの担当である。彼らがなぜ女性に人気があるかといえば、純粋に面白いことに加え、結婚も出産もしない彼らに人生の先を越される心配がないという意味で安心だからだ。女の嫉妬心を刺激しないのが人気の一因というわけである。

 それでは、「ブスが嫌い」と公言する坂上はなぜ女の敵とならずに、躍進を続けるのだろうか。

 女性なら誰しも、ある程度生きていれば、「男はブスが嫌い」ということはわかるだろう。しかし本音をそのままぶつけられると、それは毒舌ではなく、「言葉の暴力」と感じてしまうものだ。ところが坂上は、このあたりのさじ加減を熟知している。

 坂上は「ブスは嫌い」というが、特定の誰かを名指ししてブスとは言わない。ブス役を担う女芸人と絡む際、嫌な顔をするなど悪役を演じる一方で、名前をちゃん付けで呼び、時折褒めたり笑顔を見せたりと、1人の女性として扱う。世の中には口には出さないが、美人と不美人で露骨に態度を変える男性が一定数いることを考えると、坂上のほうがよっぽど良心的である。

『偽悪のすすめ 嫌われることが怖くなくなる生き方(講談社 α新書)』
たまに見せる笑顔にホッとする人はもうハマってるってこと?
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