[TVツッコミ道場]

ザキヤマ、ホリケンが“ビジネス中学生ノリ”を発揮した『アメトーーク』

2013/11/03 14:30
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『アメトーークDVD6』(よしもとアール・アンド・シー)

 「中学生ぽい」とか「中学生ノリ」という表現を、時々聞く。中学生という、大人になりきれていない時期ならではの「ダメな」行動や言動を、いい大人になってもやってることを指す、というのでだいたい合ってるだろうか。

 でもコレ、「中身が中学生なんで、すみません」と自分発信で免罪符的に言っちゃった途端、ちょっとイタい感じになる気がするのだが、どうなのだろうか。「男ってバカだから、すみません」と「男」を免罪符にするノリにも、ちょっと似てる。

 10月24日放送の『アメトーーク』(テレビ朝日系)では、「ホントに大人? コイツら中学生芸人」として、その“中学生ノリ”を持つ芸人が集結した。

「やることなすこと子どもっぽい。証言とVTRで衝撃の実態が明らかになる」

 冒頭のナレーションで内容をこう紹介していたが、今回の企画は以前行われた若手芸人による企画プレゼン大会で、アームストロングの安村昇剛が提案した企画が採用されたものらしい。そんな「中学生芸人」は、その安村はじめ、アンタッチャブル・山崎弘也、ネプチューン・堀内健、宮川大輔、よゐこ・濱口優、FUJIWARA・藤本敏史という顔ぶれ。ほかに、「中学生ノリ」の被害者として、カンニング竹山と、ビビる大木も出演した。

 で、この“中学生”たち。登場とともに好き勝手な動きをしたり、いろんな声をあげたりをしばらく続けていたら、MCの雨上がり決死隊・宮迫博之が、「並べ!」と一喝。それで「並ぶ」わけだが、わざと縦に並んでしまう。そしてそのまま「Choo Choo TRAIN」の“グルグル”を始め、続けて千手観音ダンスに突入。今度は正面を向かずに横一列になる6人。再び横向きで千手観音。全然トークが始まらない。……これが、「中学生ぽさ」ということでいいのだろうか。

 そんな悪ふざけから始まった番組は、その後もずっとそんなノリで続く。ナレーションで、「人の迷惑顧みず、やりたいことやる、中学生芸人」と言っていたが、結局「中学生ぽさ」が何なのか、よくわからないままだった。しいて言えば、先生に怒られるために、悪ふざけをするようなノリなのか。

 それぞれの中学生的エピソードが披露されたが、ザキヤマの「悪ふざけ」、フジモンの「ガヤ」、ホリケンのからみづらい「暴走」、宮川の常識外れの「暴挙」エピソード。それぞれ、それはそれで面白いけれど、それが「中学生ぽいなぁ」と思ったり、「やったなぁ、こんなノリ」みたいな、「あるある」を感じたりはしない。フジモンのガヤも、ホリケンの暴走も、これまで散々見てきているわけだし、そんな今まで見てきたものが、「中学生的行動」というカテゴリーで、力技でくくられた感がどうしてもある。宮迫が、何度か「中学生やからな」と静かにつぶやくことで、「これが中学生ノリなんだ」と着地させるような感じ。

 面白エピソードとして紹介されていた「中学生的行動」、一応合意を得た上でのものかもしれないけれど、モノによってはダメなラインを越えているものもあるかもしれない。渋谷のTSUTAYAに紙ヒコーキを手にもったまま「ブーーン」とか言いながら突入とか、芸人仲間にハナクソを食べさせるとか。それをやんちゃな武勇伝としてオモシロトークにして披露する感じは、今年の夏に大きな話題になった、飲食店のアイスフリーザーに入ったコンビニバイト事件をはじめとした、SNS上のやんちゃ自慢にちょっと近いと感じた。

 番組としては、中学生的な行動は流行にもよるから、まずは定義を決めて、そこに当てはまる行動をとっている芸人に集まってもらった、という感じでしょうか。とりあえず今回、「中学生ぽいとは言われますね」とか「自分では大人だと思ってる」とか、自らの「中学生」ノリを免罪符として使いたがってそうな芸人はいなくて、趣旨をくんだ上での“ビジネス中学生芸人ぶり”を発揮してくれたわけだ。

 邪魔&迷惑、そして空気読めない行動を「中学生だから」ということで笑いにするには、やっぱり受け止めたりツッコんだりする立場の大人(先生?)が必要だ。大人いてこその、中学生。ということがわかっただけ、今回はよかったのかもしれない。
(太田サトル)

最終更新:2013/11/03 14:30
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