角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第51回

気合で発奮させる! 角川家はアニマル式教育法でお受験を乗り越えます

2013/10/06 16:00
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いつも保育園ではTシャツ短パンのため、受験服への慣れが必要です。11月からはお教室で親子ともに受験服の着用が求められています。「ガリガリくん、当たったよ!」

 まさにお受験直前! 感染症に超敏感になりながら、我が子ともども保育園生活を送っています。詳しいお話はお受験が終わってから、いろいろ書いてみたいと思っています(自粛中)。

 先日、保育園のすぐ近くのカフェで、胸が痛くなる場面に遭遇しました。3歳くらいの男の子が、母親と一緒に食事をしていました。男の子は少しふざけていて、体を動かした勢いで飲みものをザーッとこぼしてしまいました。よくある光景ですよね。ですが、母親の対応がすごかった! 「なにをやっているの!」と声をあげて、男の子の太ももをバチンと叩いたのです。男の子は泣きながら「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も言ったのですが、母親の機嫌が直らず(子どもっぽい母親ですね)、周囲の目が気になったのか店を出て行きました。

 おせっかいと知りつつも、行き過ぎた虐待に発展したら止めなければと思い、親子の後をつけました(虐待死は周囲が気づけば止められると思っています)。その後も母親は男の子をなじり、何度も「ごめんなさい、ごめんなさい、許して」という男の子の声が聞こえました。その声から、日常的に母親が度を越えて叱っていることが見てとれ、泣きそうになりました。子どもに、そんなこと言わせてはだめ。叱ったことを引きずってはだめです。よくこの男の子は耐えていますよ。逃げ道のない男の子を抱きしめたくなりました。

 そして、親子は高級分譲マンションに消えていきました。母親は育児で疲れているのでしょうか。母親には妻という顔もあり、夫との関係、実の両親、夫の両親、健康の心配、経済の心配……爆発しそうになっているのはよくわかります。でも、子どもには絶対手をあげてはいけないのです。未就学児に手をあげたら捕まるような法律にならないかなと、個人的には思いますが……。

■手をあげても成績が上がるわけではありません

 仲のいいお母さんで、子どもがお受験用のペーパーができないので、イライラして手をあげた人がいます。そのお母さん自身「手をあげず冷静に指導できる夫が教えた方ができるようになった」と言っていました。手をあげたから、なにかができるようになるわけではないんです。以前、幼児教室の中に子どもに手をあげる父親がいましたが、春の時点で思ったより成績が伸びず、志望校を変更したそうです。手をあげてなにかが解決できるとは思えませんし、萎縮して逆効果になるのでは? と思います。

 現代は「褒めて伸ばす」という教育方針が主流ですが、角川家はちょっと変わった教育法を行っています。私は大学と大学院で臨床心理を専攻していて、児童心理はあんまり強くないですが、心理学自体は得意です。例えば受験に関することで、できることをやらなかった場合。「お金もったいないから、塾をやめようか。これだと受けても合格しないからさ」「ごめんね、受験をさせようとして。○○ちゃんには無理だったよね。普通の小学校に行こうね」と、あえて優しい言い方をします。すると子どもの方から、「やれる、やれるってば! 受験させてください! 絶対受かるもん」と泣きながら懇願されました。それからは、できることは全力で取り組む子になりましたね(笑)。

 また、うちはアニマル浜口式なので、お教室に行く直前や模試の直前は「やれんのか!(うん)やれんのか!(うん)やれんのか!(うん)」といった、X JAPANを彷彿とさせる合いの手が入った儀式を行っています(婿担当)。最近は本人から「お父さん、気合入れて」と言ってきます。いいのか悪いのか、よくわかりませんが、最難関校の模試成績がC判定→A判定になり、勝気な娘には合っていたようです。「褒めて伸ばす」教育方針とは確実に違っている角川家ですが、普段はマンガ『おぼっちゃまくん』(小学館)のお父さんのような、愛し方ですよ(笑)。家庭によって教育方法は自由でいいですが、戸塚ヨットスクール式は反対です。本番どうなるかわかりませんが、とにかく元気で受験の日を迎えてくれればいいなと思っています!

角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。2011年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では5歳の愛娘の子育てに奮闘中。

最終更新:2013/10/06 16:00
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