介護をめぐる家族・人間模様【第11話】

「とことん身勝手な義姉」姑の介護を通して憤る長男の嫁

2013/05/19 19:00
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Photo by IAN Chen Flickr

嫁姑の確執話は枚挙にいとまがない。そして嫁姑の陰に隠れてあまり公にはならないが、実は嫁と小姑との確執も少なくない。それでも、親が生きているうちは、そう深刻ではない。親を介することで、最低限の接触で済ませられるから。しかし、親の介護や死に直面すると、とたんにあらわになるのだ。兄弟は他人の始まり。嫁小姑は、はなから他人だ。

<登場人物プロフィール>
川畑 伸子(52) 九州在住。夫と社会人の娘との3人暮らし
川畑 浩司(53) 伸子の夫。
江口 享子(55) 浩司の姉。隣県に家族4人で暮らす

■「姉は昔からそういうヤツ」義姉に違和感が募っていた

 川畑伸子さんはこの10年以上、近くに住む夫の両親の介護に追われてきた。

「私たちは結婚してからずっと、主人の両親の家から徒歩10分ほどのマンションで暮らしていました。文字通り、スープの冷めない距離でした」

 嫁姑の関係は適度な距離感がよかったのか、互いに踏み込むこともなく、つかず離れずの良好な関係だったという。

「義母も義父も優しい人で、嫌な思いをしたことがありません。ただ、義姉にはずっと違和感がありました」

 義姉は結婚して隣県に住んでいたこともあり、そう頻繁に会うわけではなかった。しかし、「義姉は勝手というか、わがままというか、自分が一番な人。弟である主人や私のことは眼中にないんですよ」と川畑さんは言う。義父母も娘には甘かったようだ。

「たまに実家へ遊びに来ても、友達と約束があるとか、コンサートに行くとか、自分の予定優先。子どもを義父母に預けて1人で出かけて、用事が終わるとさっさと帰ってしまう。義姉がいない間、私たちも義姉の子をどこかに連れていってあげたり、義父母の家で一緒にご飯を食べたりしていたんですが、義姉からお礼を言われたこともありません」

 義姉のマイペースぶりは、義父が病気がちになって入退院を繰り返すようになっても変わらなかった。

「義母も、義姉には甘いんですよ。義父の病院への付き添いや、身の回りの世話で大変なのに、相変わらず義姉の子どもを預かったり、ごちそうを作ったりして。帰る時に義姉は、いただきものとかを目ざとく見つけて『お母さん、これもらっていくわね』って、ごっそり持って帰る。義母も高齢になって、義姉親子が帰った後、布団を干したり、片づけしたりするのが大変になっているのに、義姉は気づかない。結局は、見かねて私が手伝うことになるんです。嫁が口を出すのもおかしいと思って黙ってましたが、主人も『姉ちゃんは昔からそういうヤツだから』って何も言わない。義父母が元気なうちはそれでいいかもしれないですが、さすがにいつまでもそれはないんじゃないと、悶々としてました」

 義父はだんだん弱っていき、最後はほとんど寝たきりになって、施設で亡くなった。義母の体調がおかしいことに気付いたのは、ちょうどその頃だったという。

「義父のことで忙しくて、義母も自分の体調は後回しにしていたようです。義父の四十九日が終わり、ちょっと落ち着いたかなという時に、義母のがんが見つかったんです」

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