[女性誌速攻レビュー]「美STORY」8月号

「美STORY」の集団読者ヌード、うっとり陶酔顔をどう受け止めればいいんだ!

2011/06/23 16:00
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「美STORY」8月号/光文社

 先月号で登場した新キャラ「ホルモンヌちゃん」が、今月号でマンガとして連載化されていました。ホルモンヌちゃんは子宮と卵巣がモチーフになっています。かわいいかどうか判断つきかねるところですが、連載化するってことは好評だったんでしょう。内臓のキャラ化とはかなり新機軸であることは確かです。アンチエイジングのお守り的な存在としてグッズ化するのもアリかもしれません。ホルモンヌちゃんが枕元に置かれているときは「YES」で、ないときは「NO」とか、夫婦円満に役立ちそうです。

<トピック>
◎続・人生変える読者ヌードです!
◎大特集 ケチこそ美得! 「素敵な奥ちゃん」美容
◎この夏は『クール美ズ』でいこう!

■その勇気を別のことに使ってほしい

 今月最大の見せ場は、「続・人生変える読者ヌードです!」にほかなりません。ページを開いた瞬間に「しまった!」と閉じたくなるような、タルタルのお腹、アドレナリンが出まくってる陶酔顔が11人もズラリと並んで登場! もう気持ち悪いったらありゃしない。ええ、はっきり言いますよ、気持ち悪いです! 百歩譲って、これが「私たちの考える美です!」と主張するなら、それはそれでいいんです。何を「美」とするかなんて好みの問題ですからね。タルタルの腹がイイって人も案外いるみたいですし。

 じゃ何が最も気持ち悪いかと言うと、ヌードと妙な精神論を結びつけているところです。モデルたちがそれぞれこの企画への応募動機を語っているのですが、

「撮影を終えて、何でも考えすぎず挑戦することの大切さを教わりました」
「自分へのけじめとして、何かを変えたくて応募しました」
「自分に自信を持って前向きに生きて欲しい。社会人のスタートを切る娘へ、母からのエールでした」
「『再スタートはいつでもできる』という前向きなエールになれば、嬉しいです」

 と、そろいもそろって大仰な動機を語っているんです。そんなわけないですよねェ~? 本当は単純に「私けっこうイケてると思うから見て見て」と思ってるんですよねェ~? そうじゃなきゃ脱げませんし、逆にそうでないなら最初から脱ぐなって話ですよ。

 そりゃ誰だってきれいに着飾ったら「私のこと見て見て」と多少は思うもの。女性としてごく自然な心情だと思います。それがこの人たちの場合は、「ドレスやアクセサリーがなくても美しい私を見て見て」と思っている。しかし、その一方で、「でも、年だし、自分で思っているほど他人は美しいと思ってくれない……かも」とちょっぴり心配もしている。そんな自己顕示欲とコンプレックスの狭間で揺れる熟女心を、「挑戦」「けじめ」「エール」といった通りのいい言葉で装飾して、批判を逃れようとしているわけです。その小ずるさが鳥肌が立つほどイヤ。で、貴女方がスッポンポンになる葛藤とマイ・レボリューションを、読者はどう受け止めればいいんですか? 「みなさんのハダカに元気と勇気をもらいました!」って言えばいいのかな? あー恩着せがましい! ほんとに気持ち悪いです。でもネタとしては大好きです。だから、これからも続けてほしい。それが最終的な結論です、エヘヘ。
  
■トイレットペーパーの芯だけに「巻きガミ」ってか

 大特集は「ケチこそ美得! 『素敵な奥ちゃん』美容」。ライター・奥原京子さんが提唱する節約美容法の特集です。はっきり言ってこの特集、細かすぎて読むのがメンドクサイです。いや、読みましたけどね。トイレットペーパーの芯に割り箸を付けて中にカイロを入れてホットカーラーにするとか、ダンボールをくりぬいて型にして寒天を流し込んでジェリーパックにするとか、節約具合が現実離れしていてあまり参考になりませんでした。節約することよりも、自分であれこれ工夫して美容アイテムを生み出すことが主な目的のようですが、それってDIY系の美容マニアかよほどヒマなご身分の方以外は時間対効果がなさすぎ。100円ショップを探してどうにかしたほうがいいです、絶対。

■白くてさわやかなペー&パーに注目!

 けなしてばかりも失礼なので、良企画をご紹介します。「この夏は『クール美ズ』でいこう!」です。まず、イメージキャラクターの林家ペー&パー子夫妻が暑苦しくてイイ! でもって、ドラッグストアなどで手に入るクールアイテムがたくさん紹介されていて実用的。ひんやりコスメの効果のほどをサーモグラフィで比較して分かりやすい。ペー・パーのビジュアルインパクトと実がともなったよい企画でした。

 いやー、しかし読者ヌードがあまりに強烈で、他のページが薄味に感じられてしまった今月号の「美STORY」。結局、この雑誌に期待しているものは美容情報よりも前に、”女の生き様”なんですよね。美魔女なりなんなりがどういう経緯をへてこんなことになってしまったか、それが一番知りたい。その「経緯」の中の一要素として美容が含まれているわけです。だから、今月号の大特集のように、モノばかりにクローズアップした企画はイマイチ乗り切れませんでした。小企画程度ならいいんですけど。次号はどんな奇怪な……いやいや妖艶な魔女が登場するか、楽しみにしております!
(亀井百合子)

「美STORY」

光文社のババア雑誌自体がどれもうっとり陶酔顔だわ

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最終更新:2011/06/23 16:00
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