[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」5月22日号

アソコがハレツしそう! オーガズム体験を赤裸裸に語る「婦人公論」

2011/05/09 21:00
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「婦人公論」5月22日号(中央公論
新社)

 「婦人公論」今号の巻頭特集は、「40代から始めよう 豊かな人生は老いない心と体がつくる」。アンチエイジング特集なのですが、89歳の瀬戸内寂聴インタビューあり、47歳の南果歩インタビューあり、ダイエットあり認知症予防ありとごった煮状態。何号かに1度はこうした何が言いたいのかわからない散漫な特集がありますね。ということで、今回は特集についての紹介はスルーさせていただきます。では、それ以外のページを見てみましょう。

<トピック>
◎特集 40代から始めよう 豊かな人生は老いない心と体がつくる
◎官能特集 ほんとうのオーガズムを味わいたい
◎野田聖子 ハンディをもって生まれたのは息子の運命 私は押しつぶされない

■パブリシティーに震災の話題は必要?

 前号のレビューで、香取慎吾と中島美嘉がインタビューで似たような震災体験を語っていたことを指摘しましたが、今回も表紙の松坂慶子とグラビアの稲垣吾郎がインタビューで震災について触れています。もちろん震災そのものについては継続して報道するべきだと思いますが、ドラマや舞台のパブリシティで出てきた芸能人にいちいち「震災後の今、この仕事をする意味」のような言い訳じみたことを語らせる必要があるのでしょうか。宣伝と震災という組み合わせがどうしてもなじめません。シリーズ企画「地震大国日本に生きる」内でインタビューに応えている伊集院静(仙台在住)も、「この地から、中央の報道が伝えない現状、そして被災者となった人々の姿を自分なりに言葉に留め、伝えていくことが自分の役目」とカッコいいことを言いながら、半分以上は4月に刊行した小説の話でした。なんのために出てきたんだろう。ガッカリしました。
 
■「イク」ってこういうことなのね!

 気を取り直しておまちかねの官能特集「ほんとうのオーガズムを味わいたい」。目玉はなんといっても読者の赤裸裸な体験談のページ、「読者の告白 私の扉を開いた忘れられない絶頂感」です。手記5本が掲載されているのですが、どれもヤバいっす。筆者はけっこうコーフンしましたよ。ぜひ「婦人公論」をご購入の上、ご自身の下半身でお試しいただきたいと思いますが、ちょっとだけご紹介しますね。

 「イク」という感覚を知ったのは2年前だという59歳。ご主人とマンネリ化したセックスのあと、ウォシュレットでビデで洗っていると……。

「いきなりビクッと体が跳ねました。クリトリスのあたりがビリビリしびれています。そのしびれが猛烈に甘い感じで、それに誘惑され、再度そこに水を当ててみたのです。(中略)われを忘れたように、水勢に強弱をつけてみたり、自分で腰を動かして微妙に水の当たる位置を調節したり。みるみる強まる快感に頭が真っ白になり、手足に力が入ります。やがて身ぶるいするほどの大きな快感が走り、声をあげてしまいました」

 20代の終わり頃、出会い系サイトで飼い犬そっくりの男性とホテルに行った女性は、彼に懇願され自慰を見せることに……。

「快感に声をもらすたびに『気持ちいい? 気持ちいいの?』『もっと広げてみせて』『ああケイレンしてる、すごいよ』と彼がつぶやき、それにつられて指の動きもどんどんヒートアップ。興奮した彼の実況中継を聞きながら小波をかき集め、大きなうねりに変わった瞬間、全身がしびれ、アソコがハレツしたかと思うほど強烈にイキました」

 上記は一部を引用しただけなのでうまく伝わらないかもしれませんが、みなさん絶頂に至るまでのシチュエーションもけっこう凝っていて細かい。そして、どの告白も「イク」描写が秀逸なんです! 「しびれが猛烈に甘い」とか、「アソコがハレツ」って(笑)。

 筆者は以前、雑誌のおたよりコーナーで、読者の投稿を書き直す仕事をしたことがあります。たいていの投稿は、申し訳ないのですがそのまま掲載するのは難しいんです。「婦人公論」に掲載される投稿は、毎度毎度クオリティがハンパなく高いのですが、それはリライトするライターさんの腕がいいのか、文才のある読者が多いのかどちらなんでしょうか。どっちにしてもこういう質の高い告白手記を読むと、書くことに興味がある読者は、「我こそは」と力が入るでしょうね。ネタづくりのために、夜のご奉仕や婚外恋愛にも力が入るでしょうし。質の高い投稿が、さらに質の高い投稿を集めるわけです。まさにエロは友を呼ぶ、セックス琢磨。それがこうした老舗の正統派熟女誌で堂々と行われているって、すごいですよ!!

 今号ではほかに、米国で卵子提供を受け50歳で出産した野田聖子が、息子のハンディについて語ったインタビュー記事や、第三者の精子提供を受け子供を持った家族の苦悩を追ったルポなども読み応えがありました。生殖医療は30代から40代の女性にはかなり興味のあるところだと思います。壮絶な生と性が同列に、しかもキレイごとではなく本音が語られるのは「婦人公論」ならでは。「婦人公論」を読むと、「女っておもしれー!」とつくづく思う次第です。
(亀井百合子)

「婦人公論」

飼い犬にそっくりな男としたいの?

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最終更新:2011/05/11 10:15
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