[TVツッコミ道場]

悪くはないけど……「一流アーティストによる名曲カバー」に漂う微妙な感情

2011/04/19 11:45
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『ライブハウスで抱きしめて』公式サイト

 今回ツッコませていただくのは、4月11日深夜に放送された『ライブハウスで抱きしめて』(日本テレビ系)という番組。メインMCがタカアンドトシ。ほかに矢口真里とローラが出演。ゲストを迎え、ゲストの思い出の曲についてのトークをしながら、その曲を聞いたりする番組だ。番組情報によると、「ここは、有名人が夜な夜なお忍びで訪れる人気のお店。その人気の理由は……『リクエストした曲をカバー演奏してくれる』ということ」という設定だが、いわゆる「ご本人」登場でもなく、「カバー」って一体。とはいえ、「歌ってくれるのは、超一線級のアーティストたち!」だそうで、「一流アーティストによる名曲カバー」そのものを見どころにしてそうな、やや欲張りな部分もある。

 この日のゲストは、塚本高史と木村多江。まず最初のゲスト、塚本の思い出の曲は、氣志團「One Night Carnival」と尾崎豊の「I LOVE YOU」、そして広瀬香美「ロマンスの神様」。それぞれの曲について、『木更津キャッツアイ』(TBS系)のころの思い出、奥さんとの思い出、お父さんとの思い出などが詰まっているといった、ちょっといい話をしつつ、いよいよ曲を聞く段になった。この3曲の中から1曲チョイスするわけで、塚本が選んだ曲は、尾崎の「I LOVE YOU」。

 そしてスタジオに現れたビッグアーティストは……夏川りみだ! ……それなりにビッグ! 実力派! でも、どうして夏川!? とか思ってるうちにイントロが流れ始める。

「♪アィラ~ビュ~」

 確かにうまい。だけど塚本さん、あんなに思い入れを語った曲、夏川版尾崎でよかったですか。

 こういう、特に思い入れが強い曲って、心に刻まれているのは、あくまでオリジナル曲なわけで。いくらうまい人が歌ってくれても、こういう場合は、別モノの曲かと思うのだが。たまに「ご本人」パターンでも、その名曲を歌い込みすぎて、独自のアレンジが加わって、微妙な感じになることもあるし。それならCDを流したり、ライブラリー映像を流したりする方が思い入れ度数の高まりはありそうなんだが。塚本本人は、

「いや~、気持ちがこもってますね」

 と感激していたが、何でも「大好きです」と言ってくれそうな矢口と、バラエティー的な盛り上げ要員としては最も旬だが、懐かしの曲そのものを知らないんじゃないかという懸念もありそうなローラという人選もまた、この手の企画を盛り上げるには微妙。思い入れたっぷりに語った後で、ローラに「うん、知らないね」とか言われたら、どうするつもりなのか。

 さて、2人目のゲスト。木村多江の思い出の曲、郷ひろみ「2億4千万の瞳」、加山雄三「君といつまでも」、エリック・クラプトン「TEARS IN HEAVEN」の3曲で、歌ってもらう曲は、クラプトンのものをチョイス。

 超一線級のアーティスト、ご登場! ……って、また夏川りみが! 夏川りみショーでも全然構わないのだが、番組でうたった「超一線級のアーティストたち」の”たち”とは一体……。単発番組っぽいのに。夏川りみがしっとりと歌うクラプトンのバラードも、確かに心に染みてよかったんですけどね。

 せっかく夏川りみが自分の前で生歌を披露してくれるんだったら、自分の好きだといった曲を歌ってくれるのもいいけれど、どうせなら「涙そうそう」も歌ってくれたらもっとうれしいのに……、という思いがずっと付きまとってしまったのだけど、どうなんでしょうか。
(太田サトル)

『夏川りみ SINGLE COLLECTION Vol.1』

りみさんは何も悪くないよ

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最終更新:2011/04/19 11:45
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