[TVツッコミ道場]

ベッキーや安住アナでもコントロール不可! フリーダム過ぎる水木先生

2010/10/01 11:45
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『ゲゲゲの人生 わが道を行く』
(日本放送出版協会)

 今回ツッコませていただくのは、9月24日に放送された『中居正広の金曜日のスマたちへ』2時間スペシャル(TBS系)。

 この日の放送は、『水木しげる&布枝夫妻 「ゲゲゲの女房」大ヒットの真相』と銘打ち、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の大ヒットの秘密を、水木しげる夫妻との中継を挟みながら掘り下げていくというもの。

 この前週にも『ぴったんこカン★カン』(TBS系)で『ゲゲゲ』SPをやったのに、今週は『金スマ』。しかも、本編の最終回前夜。がっつくなぁ。中居も、「明日最終回。1チャン(NHK)バンザイですよ!」と言ったり、ラストにも「朝8時から。寝坊しないよう、皆さん見てね!」とまで言っていたが(同時間帯のTBSの番組は見なくていいということですか、ちなみにオセロの『知っとこ!』だが)、いつの間にNHKの広報を担当するようになったのか、TBS。

 ドラマの映像を使用するなどNHK公認番組のようだし、副読本的に、見ることでドラマがより楽しめるんだったら、それは大歓迎である。実際、水木しげるの生い立ちエピソードや、水木しげるロードが発展していく過程を見せていくところとか、面白いパートもあった。ただ、なんか、小さな「惜しい」の積み重ねで、大きく惜しい感じになってしまったような気はした。

 浮き世での面倒くさいアレコレを超越した存在である水木しげるに対し、浮き世のドロッとしたところでの人生を掘り下げることを得意とする『金スマ』、そもそもの食い合わせが悪すぎるのかもしれない。

 まず、夫婦秘話として紹介されるエピソード。お見合いからわずか5日後に結婚、くさりかけのバナナをよく食べた、貧乏すぎて逆に税務署が来たなどなど、ドラマでも描かれたエピソードがあれこれ紹介されたが、そこで「すごーい」とか「へぇ~」とか感心するリアクションって、スペシャルまで組んだわりに、「ドラマを見てません」って感じなのだが。

 そして、特番の目玉である水木プロとの中継パート。中継先で本来大活躍してほしいはずの安住紳一郎アナやベッキーが、フリーダムな水木オーラに飲み込まれているのか、全然機能していない。安住は丁寧な扱いをしすぎで、会話の交通整理に精を出す。いつもの図々しさは皆無。「水木プロは、大変潤沢な資金がございますので」と言ったあたりが、数少ない「らしさ」発言。

 ベッキーはといえば、耳元でものすごくでっかい声で、「マイクつけてもよろしいですか!」「今一番好きな食べ物は何ですか!」。接し方が完全に「長寿でお元気なおじいちゃん」。または、得意の動物のような扱いだ。ベッキー的にはいつも通りの前向き気配りなんだろうけれども、ポジティブは必ずしも効果的じゃないことだってあるかと。

 橋渡し的な立場の佐野史郎も、「気を使っちゃいけないから」と言っていたが、いつもと違うよそ行きのような気づかいは、確かに逆に失礼になることもある。そしてとどめに、大竹しのぶが言った、「(スタジオに)ぜひ遊びにきて、お会いしたいです」って。どこの立ち位置からの発言なんだ。大竹家か、ダメだこりゃ。「今日は私たち、うかがうことできなくてすみません。今度はぜひ、遊びにうかがわせてください」ってもんかと思うが、どうなんでしょうか。

 最後、まとめようまとめようとする中居の質問を鼻くそをほじりながら聞く水木先生が、なにより痛快でした。そして、そんな先生に、

「もうちょっとテレビだからちゃんとしたことを言わないと……」

 と、声をかける布枝夫人。その優しいトーンこそ、「ゲゲゲの女房」のあり方なのかと。
(太田サトル)

『ゲゲゲの人生 わが道を行く』

まさに!

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最終更新:2010/10/06 15:29
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