想像以上のカルトぶりでドン引き

女性に焼き印を入れ、指導者とのセックスを強要ーーセックスカルト集団はハリウッドに侵食していた

2018/04/26 19:00
NEW YORK, NY - APRIL 24: Actress Allison Mack leaves U.S. District Court for the Eastern District of New York after a bail hearing, April 24, 2018 in the Brooklyn borough of New York City. Mack was charged last Friday with sex trafficking for her involvement with a self-help organization for women that forced members into sexual acts with their leader. The group, called Nxivm, was led by founder Keith Raniere, who was arrested in March on sex-trafficking charges. She was released on bail at $5 million. (Photo by Drew Angerer/Getty Images)
保釈されたアリソン・マック

 海外ドラマ『ヤング・スーパーマン』(2001〜11)で若きクラーク・ケントに恋心を抱くクロエ役を演じ、人気を博したアリソン・マック(35)が、カルトまがいの集団「NXIVM」の教えに従い、女性の性的搾取に関与した容疑で逮捕・起訴された。信者から「先駆者」と崇められていたNXIVMのカリスマ的指導者キース・ラニエールは「エネルギーをシェアしてあげる」と女性信者とセックスを行っていたとのことで、アリソンはそんなキースに心酔していた。『シックス・センス』に出演していたサミア・ショエイブも彼女に勧誘されたことを告発し、明るみになった教団の異様な実態に全米が驚愕している。

 自己啓発セミナー団体NXIVMが「とんでもないカルト」だと大手メディアが報じたのは、昨年10月。教団の秘密グループに入り、焼き印を押されたカナダ人女優のサラ・エドモンソンと、娘が洗脳されひどい扱いを受けているベテラン女優のキャサリン・オクセンバーグの告発を、米大手紙ニューヨーク・タイムズが報じたのがきっかけだった。年末には、米ABCの報道番組『20/20』で特集され、「まるでセックスカルト」だと全米を震撼させた。

 NXIVMのプロモーションビデオによると、創設者でリーダーのキースは「1歳で完璧な文章で話し、2歳で読書ができ、13歳で柔道チャンピオン、コンサートレベルのピアニスト」とされ、人間離れした天才だという。しかし『20/20』では、ネズミ講まがいのビジネスで裁判沙汰になり廃業した過去を持ち、外見もパッとしないが巧みな話術を持つ人物で、ナンシー・サルズマンという女性とNXIVMを立ち上げたと説明された。信者はランク付けされ、5日間で3000ドル(約32万円)する招待制セミナー「インテンシブ」を受け、骨の髄まで洗脳される。サイエントロジーによく似た手法を使い、NXIVMは信者を増やしていったと暴露された。
 
 信者たちはキースを哲学の潮流におけるリーダーであるとして「先駆者」と呼び、ナンバーツーであるナンシーを敬意を込めて「長官」と呼び、服従していた。セミナー受講前には「機密契約書」に署名しなければならないため、その内容は外には漏れてこないが、『20/20』に出演したサラは、実践内容はチャンティング(マントラの詠唱)などカルトと大差なかったと語っている。

 教団には、カナダの大富豪エドガー・ブロンフマンの娘2人が上層メンバーとして所属している。過去にも「大金をだまし取られた」とNXIVMを訴えた元信者はいたが、姉妹がもたらす莫大なカネで雇われた弁護士や私立探偵たちにより徹底的に叩き潰され、大々的に報じられてこなかった。

 ブロンフマンをバックに持ち怖いものなしのNXIVMは、組織に花を添え、一気に信者を増やすためにハリウッドセレブも積極的に勧誘していた。昨年末に告発したサラもキャサリンも女優だが、今なお洗脳され教団にいるキャサリンの娘インディアも女優だ。『HAWAII FIVE-0』(10〜)のコノ役で知られるグレイス・パク、ドラマ『V』(09〜11)などに出演していた俳優のマーク・ヒルドレス、『ヤング・スーパーマン』でヒロインのラナ・ヤング役を演じていたクリスティン・クルックも過去に参加していたと伝えられている。そのセレブ信者の中で、最もキースに心酔し忠誠を誓ったのがアリソン・マックだった。

「カルト宗教」取材したらこうだった (宝島社新書)
世界でだいたい手法が似通ってるのはなぜだろうね
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