『花のち晴れ』視聴率は7.4%惨敗でも、キンプリ平野紫耀のヘタレ王子ぶりは神がかっていた!

2018/04/18 20:00

 4月17日に放送開始した新連続ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)の初回平均視聴率は、7.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。『花より男子』(同)でスーパーヒーロー道明寺司を演じた嵐の松本潤が道明寺司役で出演したことも話題となり、TwitterなどSNSでは盛り上がったが、数字の面では合格ラインを下回ってしまった。

 しかし、数字は低かったとはいえ、『花のち晴れ~花男 Next Season~』のドラマとしての出来が悪いというわけでは決してなかった。まず杉咲花が演じるヒロイン・江戸川音(えどがわ・おと)は非常に魅力的な人物として描かれていたし、ダブル主演のKing&Prince・平野紫耀が演じる超大金持ちの神楽木晴(かぐらぎ・はると)のヘタレ王子ぶりも悪くない。演出やストーリー構成に矛盾もなくこれから始まる青春ラブストーリーへのワクワク感を十分に高める内容だった。注目の第一話を振り返ってみたい。

平野紫耀が適役すぎる…!
 『花のち晴れ~花男 Next Season~』の舞台は、F4卒業から2年後、凋落の一途を辿っている英徳学園の高等部。音は化粧品会社の社長令嬢で、高校入学までは大変裕福な暮らしを送っていたが、会社の倒産により一転、貧乏生活に。父(反町隆史)は遠洋漁業に出て行き(伏線の可能性アリ)、生まれながらのお嬢様である母(菊池桃子)は貧乏生活に馴染めず、音が家事を担い週5でコンビニバイトもしながら家計を支えている状況だ。

 英徳学園ではC5(コレクトファイブ)なるトップ集団による“庶民狩り”が横行しており、庶民に転落したことがバレたら否応ナシに退学させられるため、音は身を縮めて学園生活を送り続けている。学費も相当高いのだろうし退学すればいいのにと思ってしまうが、許婚の馳天馬(はせ・てんま)との結婚の約束はなぜか「音がちゃんと英徳学園を卒業できたら」という条件つきのため、こそこそしつつも学園生活を継続しているのだった(この条件は闘病の末亡くなった天馬の実母の遺言なのだが)。

 さてC5のリーダーに君臨するのが、道明寺と並ぶ日本三代財閥のひとつ神楽木ホールディングスの御曹司である神楽木晴。平野紫耀は高めのハスキーボイスかつ、やや舌足らずな喋りなので、本物の超イケメン役を演じたら違和感が強かっただろうが、晴は顔こそイケメンでスーパー金持ちであるものの、喧嘩は弱いし見栄っ張りだしヘタレなお坊ちゃまなので、幼稚さを感じさせる平野ボイスが見事にマッチしており、魅力的なキャラクターに仕上がっている。視聴者のヘタレBOY萌えがはかどることは間違いない。

 そんな晴のヘタレぶりを知っているのは、一部の使用人たちと、C5の男子メンバーだけ(紅一点の不動産王令嬢は知らない)。晴が「『ありがとう』しか喋れないくせに七カ国語をしゃべれると豪語したり」「弱いくせに喧嘩が強いという嘘を流したり」「あやしげな開運グッズをすぐ信じて買い漁ったり」することを知っていて「努力の方向が間違ってるんだよお前は」と呆れる様子のC5、仲のよさがうかがえて微笑ましい。

 しかし晴のヘタレぶりが、C5の外に漏れてしまった。こっそり通販で注文していた<カリスマ性に磨きがかかる火星の石>なるスピグッズをコンビニに受け取りに行ったところで、バイト中の音に遭遇してしまうのだ。音は「庶民だってことがC5にバレた! どうしよう退学になっちゃう!」と焦り、晴は「消えてなくなりてえ、ウワァ~~~~! 今すぐ人を殺せる吹き矢が欲しい!」と狼狽する。さてどうなるか。ここからが面白かった。

 翌日、英徳学園の正門前に3人の不良男子が現れて暴れ出した。女子生徒が恫喝されているのに、ただ見ているしかできないどころか、立ち去ろうとする晴に、音は啖呵を切る。

「守ってくれないんですか? 英徳を守るって言ってたのに! いつも偉そうにふんぞりかえって、何がコレクト5よ! 正しき5人なんて名乗る資格、あなたにはない。そんなの買う暇があるなら心を磨けば? ほんとしょーもない人!」

 ここで晴が、幼少期に不良にカツアゲされている同級生を助けられず影で見ているだけの自分を救ってくれた道明寺司の思い出を回想(宇多田ヒカルのイメージソングとともに)。道明寺は余裕で3人の不良たちを蹴散らし、弱虫な晴を「しょーもない」と一喝、「強くなれ。大切なものを守るには強くなるんだ」と鼓舞したのだ。その思い出を胸に、道明寺のような強い男になるべく、晴は……スピグッズ等を買いまくっているのだった。うん、努力の方向性が違う。

 ともあれ、かつて道明寺に言われたのと同じ「しょーもない」という言葉を音からぶつけられ、「もう二度と、誰にも、しょーもないなんて言わせねえ」と勇気を奮い立たせた晴は、不良たちに向かっていく。ラッキーパンチが決まり、三人もの不良男子をKOした晴は賞賛を浴びてイイ気分に。さらにC5から「音がお前にホレてしまえば、火星の石のことで脅されたりはしないはず」とアドバイスを受けて、晴は音を自宅(尋常じゃないレベルの豪邸)のガーデンパーティーに招いた。

杉咲花が魅力的なヒロインに命を吹き込む
 晴の計画では、夢のようなセレブぶりに音はすぐメロメロになるはずだったのだが、晴があまりにナチュラルに“庶民”を見下し、それを悪いことと認識すらしていないことを露呈してしまったがために、音は激怒。「あんたってほんとしょーもない! 二度と話しかけないで。もうほっといて」と、二度めの「しょーもない」をぶつけて立ち去ってしまう。そもそも音は一年半前まで上流階級のお嬢様としてセレブ生活を堪能していたのだから、いくら金持ちぶりを披露してもさほど驚きはしない。

 何で音が怒っているのか理解できない晴。根っからの悪人というわけではなく、天然ヘタレBOYだから仕方ないのだが……。しかも晴は、自分に対してここまで率直に「しょーもない」と叱りつけてきた相手は、道明寺と音だけということで、早くも音へのリスペクトが芽生えそうな様子だ。

 高慢ちきな王子様ぶりと、その純朴っぷりを同時に表現できるうえ顔面が超イケメンという若手役者、今は平野紫耀以外に考えられない。まさに適役だ。かねてより若手演技派との評価が高い杉咲花も、その評価に違わぬ堂々とした存在感があり、ヒロインにふさわしかった。彼女の演技によって、ヒロインが凛として品のある、魅力的な少女として描き出されている。『花より男子』の井上真央もそうだったが、ハイスペイケメンに取り合いされるほど魅力的な庶民ヒロインの役に説得力を持たせられる女優はそうそういない。杉咲もまた、適役だと思う。

 第一話のラストは、音に婚約者がいること、その婚約者がライバル・桃園学園の生徒会長でIT企業の御曹司・馳天馬(中川大志)であることを、晴が知るシーンだった。これから晴は音にガチ恋し、“音をめぐる三角関係”と、ライバル学園同士の抗争が展開していくのだろうが、ますます面白くなっていく予感しかない。若手アイドルのプロモーションドラマだと予想して敬遠した視聴者もいるかもしれないが、まったくそんなことはなく、レベルの高いコンテンツだと断言できる。

(清水美早紀)

最終更新:2018/04/18 20:00
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