【ジャニーズ研究会レポート】

KinKi Kids堂本剛はなぜ、“個人名”で商標登録申請を行った? 「事務所との考え方の相違では」と弁護士談

2018/04/05 08:30
堂本剛
剛さんがのびのび活動できるなら、オタは安心だよ……

 3月下旬、KinKi Kids堂本剛が自身のソロプロジェクト「ENDRECHERI」で使用しているロゴやイラストデザインを商標登録申請していたことが、ファンの間で話題になった。商標登録をすること自体は珍しいことではないが、特許・実用新案、意匠、商標について調べることができるサイト「特許情報プラットフォーム」で確認すると、2月下旬に「ENDRECHERI」のロゴ2種とイラストデザイン1種の出願をしたのは、ジャニーズ事務所ではなく、剛本人であったのだ。

 「株式会社ジャニーズ事務所」が商標登録を行っている内容を見てみると、現在デビューしている全グループのグループ名や、「勇気100%」「トゥエンティ・トゥエンティ」「プレゾン」など、ジャニーズファンならば聞いたことがある単語が商標登録されている。また、関ジャニ∞や「Marching J」のロゴマークが登録されているのも確認できる。しかし、ジャニーズ事務所に所属するタレントが、“個人名”で商標登録を行う例は剛が初めてのようで、驚くファンは多い。

 剛のソロプロジェクトとはいえ、出願者をジャニーズ事務所にせず、剛個人の名前にするのは、一体どのような理由が考えられるのだろうか。弁護士法人「ALG&Associates」の児玉政己弁護士に話を聞いた。

――そもそも「商標登録」とは、誰が・何のためにするものなのでしょうか。

 「商標登録」とは、特定の商品やサービスにつけたロゴやマークが有する、“信頼性”や“識別力”を保護するためのもので、「商標登録」されたロゴやマークの使用をコントロールしたい人・会社が登録する制度となっています。

 商品やサービスに付けられたロゴやマークには、自社の商品やサービスを、他社の商品やサービスと区別し、その商品やサービスへの信頼を高めるという機能があります。ロゴやマークが「商標」として登録された場合、そのロゴやマークは、商標権者以外の者による自由な使用を禁止する効力が、法的に認められることになります。

――現在、KinKi Kids堂本剛さんが個人名で出願を行っているのは「ENDRECHERI」のロゴ2種とイラストデザイン1種ですが、2007年には株式会社ジャニーズ事務所が「ENDRECHERI」のロゴ・モチーフを商標登録しています。剛さん個人が出願を行ったものと極めて似たロゴ・モチーフですが、異なる人物が商標権者として登録されることはありうるのでしょうか。

 「商標権」は、特定のロゴやマークを、特定の商品やサービスを指定したうえで出願し、登録されることで発生する権利です。消費者が特定のロゴ・マークを見たときに、商品販売やサービス提供の主体を間違えたり、混乱させたりしないかという観点から、“類似性”の判断がされています。パッと見では同一のロゴやマークであっても、既存の商標権者と異なる人物が、既指定の商品やサービスと類似しない商品やサービスを指定して出願した場合や、当該ロゴやマークの重要な部分が類似していないという場合には、登録が認められる可能性があります。

 逆に、「類似性がある」と判断されれば、登録が認められないことになりますが、今回、剛さんが代理人として商標(知的財産)の専門家である弁理士をつけて出願しているのを見ると、07年に株式会社ジャニーズ事務所が登録した商標と同一、または類似の商標にはあたらず、登録が認められる可能性があると判断し、出願したのではないかと推察されます。

――今回、剛さんがソロ活動の際に使用する名義やロゴ、モチーフの商標登録を“個人名”で行いましたが、ジャニーズ事務所ではなく、剛さん個人が登録を行う理由として考えられることはありますか。

 法的に考えれば、出願したロゴやモチーフの使用について、剛さん個人として「コントロールを及ぼしたい」とのご意向によると考えられます。逆に言えば、ロゴやモチーフの使用について、剛さんが「事務所の考えに従う」あるいは「事務所の考えと一致している」ということであれば、別個に権利化する必要はないのではないかと考えられます。登録されたロゴやモチーフの使用に関し、剛さん個人の考えと事務所の考えは、必ずしも一致していないのかもしれません。

――「ENDRECHERI」は今年2月、アパレルブランド「アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)」とのコラボレーションを行ったことで話題になっていました。もしジャニーズ事務所が「ENDRECHERI」の商標登録をしていた場合、このようなコラボレーションを行うことは難しいと思われますか。

 まず、商標権者が誰であっても、権利内容自体が変わるものではありません。その上で、商標登録されたロゴやモチーフの使用を、商標権者として認められるか・否か、という点に尽きると考えられます。

 この点、芸能事務所としては「所属芸能人のイメージを損なう」などの理由で、認めることができない商標の使用態様であっても、所属芸能人個人の判断であれば、使用が認められることがあるかもしれません。反対に、所属事務所が使用を認めても、所属芸能人個人が認めたくない、という考え方があることも否定できません。今回、剛さんが個人としての商標出願を行った理由として、このような事務所との考え方の相違があったのであれば、法的には、不自然なことではないと考えられます。

――この度、剛さんのソロプロジェクト「ENDRECHERI」がCDをリリースすると発表しました。剛さん個人が商標登録したロゴやモチーフがCD本体や特典グッズなどに使われる可能性があると思われますが、CD売り上げで得た収益は、「個人で商標登録を行った場合」と「個人で商標登録を行わなかった場合」で変化があるのでしょうか。

 商標権はあくまで、登録されたロゴやマークの使用に対して“コントロールを及ぼすことができる権利”(例えば、登録されたロゴやマークが他人のCDジャケット等に無許諾で使用されている場合、その廃棄等を求めるもの)であり、直接的に金銭の獲得を求めるための権利とは言い難い側面があります。

 またCDの売り上げは、主として、商標権とは別の権利である、楽曲の「著作権」等について生じるものであり、本件で出願されたロゴやモチーフについて、仮に剛さん個人に権利が発生したとしても、CDの売り上げに対して何らかの権利主張を行うことは難しいものと考えられます。そのため、ご指摘のCDの発売及びその収益との関係において、本件の商標出願がなにか関係があるかと問われると、法的には、直接的なつながりを推認することは難しいものと考えられます。

 法的に考えれば、剛個人が「商標登録」を行うことは不自然なことではないようだが、ロゴ・モチーフの使用について、事務所と考えの相違が起こっている可能性があるとなれば、ファンとしては心配なポイントだろう。今後の動きを注視していく必要がありそうだ。

最終更新:2018/04/05 08:30

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