【連載】別れた夫にわが子を会わせる?

「俺は利用された」ナルシストの元夫は子どもへの愛情がなく、親子の縁は切れてしまった

2018/03/27 15:00

親子の縁は、実質的には切れてしまった

――その後はどうですか?

 元夫から、完全に音沙汰がなくなりました。子どもはかわいそうに、しばらくは父親を恋しそうにしていました。

――慰謝料とか養育費はどうしましたか?

 彼がドケチだってことは常々感じていましたから、最初から諦めていました。絶対、慰謝料も養育費も無理だと。だから最初からもう何も言わなかったです。私がラッキーだったのは、多くのシングルマザーが直面する経済的な問題がなかったことです。

――彼は「子どもに会いたい」と言ってこないんですか?

 一度もない。むしろ、電話してもガチャ切りされるぐらいです。今や何の興味もないみたい。だから親権問題とか、残念ながら私は個人的にはまったく悩んだことがないし、彼から面会交流したいという要望すら一切ないんですよね。おそらく自分の子どもに対して愛情もないんだと思います。というか、ないとしか思えないです。親子の縁は、実質的には切れてしまってます。

――離婚を経て、いま彼に対してどう思いますか?

 不安感が募る妊娠中とか、子どもを産んだ直後の狂乱状態とかの大変な時期に、元夫を支えることは無理でした。だからその頃、「もうあなたとはやっていけない」と強く言って、彼をはじいてしまった。その点は後悔しているし、申し訳ないという気持ちが残っています。とはいえ、再婚すべく話し合いたいとは思わないですけどね。それとは別に、離婚後も、元夫と定期的に子どもを会わせたり、元夫としての彼との関係を築いたりということはしたかった。

――子どもに会わず、彼は何をしてるんですか?

 風のうわさによると、私と別れた後、結婚し、また離婚したみたいなんです。だからバツ3か4なのかな。前妻に加え、私のことも「妻からDVを受けた」って、付き合う女性たちに言ってるんでしょう。

――お子さんはお父さんに会いたがりますか? また小松さんが、お父さんのことをお子さんに伝えることはあるんですか?

 子どもはいま9歳で、「全然会いたいと思わない」って言ってます。もうちょっと成長して10代の後半とか20代とかになって、ちゃんと父親と話がしてみたいってことで本人がアプローチしたとしても私は止めません。そのとき子どもには「あなたに会ったら、パパは間違いなく涙を流すと思う。『パパは、ずっと会いたいと思ってた』って間違いなくやるから。だけど、それは演技だから」とは言っておくつもりです。そうじゃないと、騙されちゃいますから。

西牟田靖(にしむた やすし)
1970年大阪生まれ。神戸学院大学卒。旅行や近代史、蔵書に事件と守備範囲の広いフリーライター。近年は家族問題をテーマに活動中。著書に『僕の見た「大日本帝国」』(角川学芸出版)『誰も国境を知らない』(朝日新聞出版)『〈日本國〉から来た日本人』(春秋社)『本で床は抜けるのか』(本の雑誌社)など。最新刊は18人の父親に話を聞いた『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』(PHP研究所)。数年前に離婚を経験、わが子と離れて暮らす当事者でもある。

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最終更新:2018/03/27 15:00
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