共依存かもしれない

小指を骨折、下着姿でベランダに……『きみが心に棲みついた』より壮絶な束縛とDV被害

2018/02/13 15:00

店長の意外な行動

「店長は理央に『慰謝料を払うから、被害届は出さないでほしい』と言ったんです。さらに『仕事も辞めていい。けがの責任を取って結婚するから、一緒に住もう』と。理央の元に店長の母親もやってきて、頭を下げられたそうです」

 店長の言葉を信じ、理央さんは被害届を出すこともやめて退店した。Aさんは続ける。

「理央が辞めて自由になった店長は、店の女の子相手に浮気を繰り返すようになりました。私の元には理央から、店長が浮気しているんじゃないか? と、毎日のように電話がかかってきました。私は理央がまた店長とけんかをしてDVを受けるんじゃないかと思って、知らないフリをしていました」

 Aさんは隠していたが、ついに理央さんは店長の浮気の証拠をつかんでしまう。

「理央が店長の携帯を見て、浮気が発覚したそうです。問い詰めると、店長は逆ギレして理央を殴ったそうです。その時に携帯を壊されたみたいで、それ以来、理央と連絡が取れなくなりました。店を辞めさせたのも親に紹介したのも、すべては理央を見張って、警察に被害届を出させないようにするためだったのです」

 現在、理央さんの状況を知るには、店で店長に話を聞くしか方法がないという。

「今でも2人は別れておらず、日常的にDVは行われているようです。この前、店長が『けんかしたから、下着のままベランダに出してやった』と、笑いながら店のキャストに話しているのを聞きました。ほかにも『実は店の〇〇と付き合っている』などと理央に言って、精神的にも追い詰めているようです。理央は実家から家出同然で飛び出してきたので、両親とも連絡を取ってないと思います。もしかしたら、店長は理央に私との接触を避けさせているのかもしれません。私も、なんとかしてあげたい気持ちはあるんですが……」

 Aさんは、そう言って言葉を詰まらせた。DV被害に遭っている女性を一時的に避難させるDVシェルターも、本人が相談センターに行かない限り、入居は難しいという。特に理央さんのように洗脳されているかもしれないケースだとなおさらだ。現実のDV被害は、ドラマよりも深刻なものなのかもしれない。
(カワノアユミ)

最終更新:2018/02/13 15:00
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