【短期連載】保活バトルロワイアル。育児ママのジレンマ

保活が終わっても地獄? 「タバコを吸ってる保護者がいる」との密告で窮地に立たされるママも

2018/01/14 17:00

ママ「園のそばでちょっと一服が命取りに」

 保育士が抱えるモンペママ問題とは反対に、保育園側がママたちにクレームを付けるケースもあるという。俗に“園ルール”と呼ばれる独自の決まり事があり、それに違反したママに注意が入るのだ。規律の厳しい園では、送迎時の親の寄り道は禁止のため、買い物袋を提げて迎えに行くのはNG。あくまで保育は、仕事などやむを得ない理由があって子どもを預かっているという建前のため、買い物などはもっての外だという。

 この園ルールは、入園前の説明会などでさらっと説明をして終わるだけの園もあるので、事前に、児童館や地域センターを利用し、地元で子育てを行うママ友ネットワークを駆使して、園の雰囲気を知ることが重要と言える。しかし、前情報を得ていたとしても、保育士だけでなく、“同じ園に通っているママさん”からルール違反を厳しくチェックされ、苦しむママが続出しているという。

「喫煙者なので、出社前に一服したいんです。最近は、禁煙の駅も多いので保育園の近くにあるタバコの販売所が喫煙所代わり。でも、送迎中のママさんに見られたみたいで“保育園を出たところでタバコを吸っている保護者がいます”と、園から配られるお知らせに書かれました」

 彼女は、受け入れ先の幅が広がる3歳を目安に、転園も考えている。

 モンペママの傾向に、「自分がルールを守っているのに、守っていない人がいるのが許せない」というのがあるようだ。ある保育園では、子どもが着ているものにまで、文句を言うママがいたという。4歳になる女児を持つ美穂さん(仮名)は「4歳になると、アニメやテレビの影響でスカートを穿きたがるんです。でも保育園のルールはズボンのみ。同じクラスに通う女の子で、スカートとパンツが一体型となった“スカッツ”を穿いている子がいたんですが、『本人や親に“スカートはルール違反ですよ”って言っても“これはスカートじゃなくてズボンだ”と言い張るので、園長から注意してもらった』と話していたママがいました。1人が許されると、全体がまねするからだそうです」と語る。

 まるで、厳しい公立中学の学区で起きた話のようだが、歴とした保育園に通うママ同士のトラブル。“保活”をしていると、子どもは、預け先が見つかるまでが地獄で、入ってしまえば天国のように錯覚してしまうが、そんなことはない。0歳児で入園すると、卒園までの6年間を過ごすことになる保育園では、なにごともなく、無事に卒園を迎えられるのは少数と言えるかもしれない。
(文=池守りぜね)

 

最終更新:2018/01/14 17:00
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