「あの言葉が入ってない」と騒然

「流行語大賞」松居一代の「バイアグラ100ml男」はなぜ選外? 選考委員・やくみつる氏に聞いた!

2017/12/01 17:30

言葉より映像の強さが勝った

 なぜ、「バイアグラ100ml男」は、流行語に入らなかったのか? 同賞の選考委員を務める漫画家のやくみつる氏に、選考の舞台裏を聞いた。

「まず事務局から、選考対象となる何十もの言葉が記載されたリストが上がってきます。選考委員は『この言葉も入れてほしい』と言うことができるので、実際にはさらに多くの言葉が対象となるのですが、委員の顔ぶれの中で、恐らく一番ワイドショーを見ているであろう私ですら、『バイアグラ100ml男』はまったく候補に入れていませんでした。もちろんその言葉自体も、松居さんの一件が一時世間を騒がせていたことも知っているのですが、“言葉”としてはそれほど重視せず、むしろ松居さんの突出した“映像”の方に注目していました」(やく氏、以下同)

 確かに、松居の告発動画は衝撃的だった。黒い衣服に身を包み、鬼気迫る口調で、船越の不貞を暴いていく様は、ネット上で「まるでホラー映画のよう」と評されたほどだ。やく氏は、その映像の方に着目していたようで、「そんなに“言葉”がウケているの? という印象でした」と語る。

「皆さんは、『バイアグラ100ml男』という言葉の“ヘタさ”や“グダグダさ”を面白がっている気がします。洗練されていない、未整理なままの発言だからこそ、“逆に面白い”というか。ただ、流行語として言葉を拾う作業において、自分の中では引っかかってこなかったですね。やっぱり、言葉より画の方が強かったと思います」

 「バイアグラ100ml男」が、言葉として注視されていることに、やく氏は「驚いている次第です」とのこと。ネット上では、選外になったのは「授賞式に松居が乗り込んでくるのを恐れたからではないか?」といった意地悪な意見もあるが、やく氏はこれを全否定する。

「仮にそういうことがあったとしたら、大いにウェルカム! 了見違いも甚だしいですよ。『あの人は、ちょっとややこしくて面倒くさいから』というのは、まったくありません。私としては松居さんに対して、憐憫の情を抱いていましたね。情熱の強きがゆえに、ああなってしまったのではないかと」

 ネット上では、豊田元議員と松居の存在を並べて語る者は少なくない。元秘書と夫という違いはあれど、インパクトのある言葉で相手を罵倒していたことに、共通点を見いだしているのだろう。豊田議員の「ちーがーうーだーろー!」は、やく氏の話を元にすると、“言葉”としてのインパクトが強かったのがノミネートされた要因と考えられるものの、であれば「ちーがーうーだーろー!」より「このハゲー!」の方が流行語としてふさわしい気がする。

「豊田元議員は、傷害・暴行の疑いで書類送検されています。『このハゲー!』はその書類送検の罪状に関わってくるだろうという理由で選ばれなかったんです。一方で、『ちーがーうーだーろー!』の方は、その範疇に入らないのではないかとして選ばれました」

 流行語大賞の選考過程では、一般人が想像する以上に綿密な話し合いが行われているようだ。

最終更新:2019/05/14 16:25
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