日本摂食障害協会副理事長・鈴木裕也医師インタビュー

「高学歴女子は患者数65倍」「ダイエットとは別物」専門医師が語る、摂食障害の原因

2017/11/09 15:00
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日本摂食障害協会副理事長・鈴木裕也医師

 元AKB48の光宗薫が摂食障害や心身の不調を告白し、10月から芸能活動を休止中だ。また、アイドルグループBiSのプー・ルイがダイエット企画にて減量に失敗。マネジャーから「ブタ!」とののられる動画が話題となり、「摂食障害を引き起こす恐れがある」と警鐘を鳴らす専門家の声も見受けられた。こうした現状に対して、一般社団法人日本摂食障害協会副理事長の鈴木裕也医師は、「いわゆる一般のダイエットと摂食障害(拒食症、過食症)は別物」と、きっぱり指摘する。鈴木医師に、摂食障害とダイエットの違いや、世間に広まっている摂食障害への誤解について教えてもらった。

■芸能界は男女のトラブルが起こりがちで、摂食障害が多い

――最近、アイドルの摂食障害や過剰なダイエットに関するニュースが話題です。

鈴木裕也医師(以下、鈴木) 芸能人の摂食障害は、昔から多いんですよ。有名な女優や歌手も、恋愛の心の傷から摂食障害を患いました。惚れた男性から優しくされていた最中にポイッと捨てられたときの、女性の心の傷はとても深い。美男美女の多い芸能界は、そのような男女のトラブルが極めて多い世界なんでしょうね。

 また、一般女子については、偏差値の高い学校の女子に摂食障害の発生が多く、私の病院の外来に来た患者さんの学歴を調べたところ、一番偏差値の低い37~41の高校出身の患者さんの数を1としたとき、偏差値73の高校出身の患者数は65倍だったんです。

 この結果から、摂食障害を患いやすい人の特徴は、頭が良く、親のしつけがしっかりしていて真面目な子であることだといえます。学校の先生など教育者の子どもにも多く、進学を目指して勉強ばかりしていると、遊びや多様な人と付き合う機会が少なくなるからではないかと思います。

――フィギュアスケートの鈴木明子さんや、マラソンの原裕美子さんのように、スポーツ選手にも摂食障害は多い印象を受けます。

鈴木 スポーツ選手も多いですね。有能な選手なので期待されている。でも、練習がとてもつらい。二流・三流の選手ならサボったりやめたりできますが、日の丸を背負っているような一流選手は、やめるわけにはいかない。スポーツ選手の摂食障害は、選手のメンタルを考えず「やれ! やれ!」と、とにかくムチを打つようなコーチに責任があります。

 おそらく、一般の人は、真面目な頑張り屋さんが摂食障害になりやすいことを知りません。「ダイエットなんて馬鹿なことをして摂食障害になったんだろう」といった見方をしている人が多いでしょう。しかし、ダイエットと摂食障害は別物です。

拒食、過食のながいトンネルをぬけて
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