[官能小説レビュー]

上階から聞こえる女の喘ぎ声で、“人生変わった”有名大卒・対人恐怖症の男

rarapipo
『ララピポ』(幻冬舎)

 セックスは人を狂わせる。心を和ませたり癒やすことと同じくらい、猟奇的になったり暴力的になったりという、負の感情を湧き起こすことがある。それが原因で警察沙汰になることも少なくない。

 今回ご紹介する『ララピポ』(幻冬舎)は、映画化もされた、「人生の負け組」が主役の作品である。風俗専門のスカウトマン、純文学小説家になりたかった官能小説家、デブ専裏DVD女優などの話がオムニバス形式で構成されていて、各ストーリーの主人公たちが東京の街で微妙に重なりあう。中でもご紹介したいのが巻頭の作品「WHAT A FOOL BELIEVES」だ。

 主人公の博は32歳の売れないフリーライターである。30歳を過ぎた頃から対人恐怖症になり、人と会わずに仕事が進められる、月に2回発行の雑誌の仕事だけで細々と食いつないでいる。有名大学を卒業した博だが、新卒で入社した会社は性に合わずに1年で退職してしまった。その後、元同級生のツテを経てフリーライターとなって、現在に至る。

 その日の博も、いつものように原稿を執筆していたが、ふと「とある音」が気になった。博が住むアパートは音漏れが激しく、上の住人の足音がドスドスと響くほどだ。その夜も上の部屋から、さまざまな音が聞こえて来る——規則的にコツコツと鳴り響く音の中で、かすかに女の喘ぎ声が聞こえてきたのである。数年間セックスから遠ざかっていた博は、上の階の男が毎晩繰り広げるセックスの音に聞き耳を立て、自慰をすることが習慣となった。

 ホスト風の上の階の住人は「栗野」といい、ほぼ毎日違う女とセックスをしていた。彼が引っ越してきてから、退屈な博の人生に光が差したように生き生きとしてゆく。対人恐怖症で、限られた人としか会話をしなかった博は、秋葉原へ行き、コンクリート・マイク(壁に直接マイクを当てて隣室の会話を聞くマイク)を購入して、栗野のセックスを聞くようになったし、性感ヘルスへも行った。博は心の中で栗野に感謝をしていた。

 ある日、いつものように図書館で新聞の求人欄を見ていると、ひとりの女と目が合う。たびたび見かけるデブで冴えない女だが、たっぷりと豊満な胸が博を欲情させる。彼女の名前は「小百合」といった。博は小百合に声をかけられ、彼女のアパートへ行き、数年ぶりのセックスをするのだが……。

 セックスへの執着によって、静かに坂道を転げ落ちていた博。物語のラストでは自分の生き様を振り返り、小百合を抱きながら涙を流す。セックスは、体も心も裸にする唯一無二の行為である。だからこそ人はセックスに惹かれ、翻弄されるのではないだろうか。
(いしいのりえ)

しぃちゃん



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