仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

田村淳、「青学受験」宣言に見るズル賢さ――まるでOLのような芸能人としての歩み

2017/09/28 21:00

淳の卓越した印象操作術

 それだけでなく、印象操作がうまいのも淳の特徴である。淳は自身の結婚を『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で発表したが、夫人は“家事手伝いの一般人女性”で、「淳が浮気したら、自分も一緒に反省する」と答えるなど、出川哲朗ら番組ゲストに“デキた女性”として絶賛されていた。しかし、「週刊文春」(文藝春秋社)によると、夫人は元「ViVi」(講談社)モデルで、売れっ子キャバクラ嬢だったという。家事手伝いの一般人女性で、浮気されても一緒に反省をすると聞かされると、世間知らずで、資産家家庭の子女であることを連想するだろう。しかし、夫人の実際の履歴、元芸能人で、人気キャバクラ嬢であったことから考えると、「それくらいで動じない」「オトコの性を知り尽くしている」という正反対の見方をすることもできる。明らかな嘘はつかないまでも、どう表現したら良いイメージになるかの計算が、淳はうまいのだ。

 淳のように「ウソではないが、本当でもない」という印象操作を得意とするOLがいる。彼氏がいないことを明言はしないものの、匂わせる発言をしていた人が、いきなり「結婚する」と言い出すことは珍しくない(彼氏はいないが、婚約者はいるという理屈だろう)。他人のプライベートにやたら干渉してくる人や、社内恋愛の場合は自衛手段ともいえるが、破談になっても詮索されないというメリットもある。逃げ道を確保するための印象操作である。

 9月23日のAbemaTV特別番組で、淳は「青山学院大学への合格を目指します」と宣言した。学生時代、まったく勉強をしてこなかった淳が、名門大学を受験するのはチャレンジングだが、ここを乗り切ればヒーローとなって仕事が増えることも期待される。政治家としての道が拓かれる可能性もある。当たれば大きい賭けではあるものの、ここでまた淳の「明らかなウソでないが、真実とも言えない」趣向は発揮されている。

 淳は「44歳になって、勉強したいという意欲がわいてきた」と言っているが、受験する学部については明言していない。一部なのか二部なのか、現役高校生と同じ学力試験を受けるのか、社会人入試なのか。学部や試験方式によって難易度は違う。そのあたりを明言せず、権威としての“青山学院大学”だけ掲げるあたりが、ズルうまいのである。

 淳が青山学院に入れても入れなくても、愛娘のお受験の口実になることは想像に難くない。例えば、入学できた場合は「この素晴らしい環境で、幼い頃から学ばせたい」と言えるし、もし無理だった場合でも「自分にはかなわなかったが、娘には小さい頃から学ぶ楽しさを感じてほしい」といった具合だ。不倫バッシングが続く昨今、既婚者の淳はもう恋愛で稼ぐことはできない。そんな中、“受験”にシフトするとは、淳の抜け目のなさには、敬服するしかない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2017/09/28 21:00
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