実録! 水商売成り上がり物語

『黒革の手帖』が現実に!? 客への復讐として “月収400万円”ホステスとなった女性

2017/08/24 21:30

大衆店に移り、客の男性と電撃結婚

 それ以来、ミユキさんは抗うつ剤が手放せなくなった。実家に戻ることも考えたが、ある大衆キャバクラから誘いを受けた。

「今までの店とは違い派閥もなく働きやすいと聞き、しばらく休んだ後に、お手伝いとして働かせてもらうことになりました。以前のお客さんはほとんど切って、抗うつ剤でお酒は飲めないから、時給は3,000円からのスタートでした」

 給料はそれまでの3分の1以下になったが店の居心地は良かった。そんな中、同業の経営者という客に出会う。

「話が合って楽しい人というのが最初の印象です。この仕事を理解してくれて『お付き合いしてください』と言われたのですが、過去の経験からまた傷つくのが嫌だったので、全て話してお断りしようと思いました」

 ミユキさんが彼に全てを話した後、彼の返事は意外なものだった。

「『過去もすべて受け入れる。一緒に住む家も用意して、婚姻届を出したら信用してくれる?』と言われました。しばらく考えて、『この人なら信じられるかも』と思ったんです。そこから彼の宣言通りに話が進み、仕事をあがることになりました。店を辞めるときの貯金は100万円くらい。まさに電撃結婚ですね」

 現在は夫と2人暮らし。パニック障害の症状も落ち着き、好きだったアパレルのネットショップも始めた。水商売の世界に入り、数々の裏切りを経験し、パニック障害を発症したミユキさん。彼女は今、水商売について何を思うのだろうか?

「その世界でしか出会えない人たちにもたくさん出会えましたし、今はホステスの仕事をして良かったと思います。お金は、人が生きていく上で必要不可欠だけど、人を惑わす悲しい道具だとも思います。夜の世界は大金を簡単に稼げるけれど、出ていくのも簡単です。お金が湯水のように溢れ出るものと勘違いすると、痛い目に遭う。水商売は欲に流されず、目指すものや、やるべきことがある人が輝ける場所だと思いますね」
(カワノアユミ)

最終更新:2017/08/24 21:30
黒革の手帖〈下〉 (新潮文庫)
時給の乱高下がジェットコースター並み
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