志尊淳の「寝顔」が、酒井若菜&緒川たまきの熱演を食った『下北沢ダイハード』

2017/08/18 18:40

一瞬の寝顔で「かわいい」が飛び交う

 下北沢の、かつて小田急の踏切があった場所で、このアラフォーの2人が対峙したシーンが味わい深かった。類の「照ちゃんの幸せ邪魔してごめん」という謝罪から、照美の「こういう時はあってほしかったね。遮断機。そしたらさ、仕方がないねって思えたじゃん。目の前を小田急が通過して、2人はお互いの姿を見失うんだ」という返しに、下北沢の街が変わってしまったことと、彼女らが過ごした20年間が終わる切なさが伝わってきた。

 しかし、そんな熱演の女優たちよりネット上で話題だったのは、深大寺を演じた、戦隊モノ出身のイケメン俳優・志尊淳。彼の寝顔が一瞬流れただけで、ネット上に「かわいい」というコメントが飛び交った。今回の役は、何にも考えてなさそうな「ゆとり世代の若手俳優」。あまりの空気の読めなさ加減に、普通ならイラッとするところも、志尊の持つ根っからの明るいキャラが「こいつはそんな奴か」と見る者を納得させ、嫌な感情を抱かせない。20歳も年上の類のことを好きという設定も、現実にはあり得ないとしらけるところだが、志尊の、いかにも年上のお姉様に可愛がられそうな雰囲気がリアリティを生み、こんな子犬みたいな男子から好意を持たれてみたいと、年上女性の心をくすぐってくる。

 ネット上では、今まで4話放送された『下北沢ダイハード』の中で、今回が一番面白かったという意見も。評価が分かれるのは、脚本家によるところが大きいのだろう。今回の脚本を担当したのは、劇団ブルドッキングヘッドロックを主催する喜安浩平。劇団の作品だけではなく映画をはじめとする外部作品にも積極的に参加し、『桐島、部活やめるってよ』で、第36回日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。ももいろクローバーZ主演の青春群像劇『幕が上がる』なども執筆し、今回もアラフォー女性の青春をほろ苦く描いた。

 第5話は、現在ぶっちゃけキャラでノっている夏菜を主演に迎え、「最高のSEXをする女」を放送。バンドマンの彼氏である幸治のため、自身のバンド活動を辞め、就職して支え続けた麻子。彼のバンドの曲がドラマのエンディングテーマに抜擢され、「ついに売れた」「いよいよ結婚」と浮かれる麻子のもとに、SNS上で幸治の浮気を決定づける情報が……。脚本は福原充則(ピチチ5)が担当する。

 金曜日の深夜、一週間の疲れを忘れるのにちょうどいい、「人の不幸な一日」の話。柄本明が下北沢で自転車をこいでいる後ろ姿だけが流れ続けるエンディングの癒やし効果も抜群だ。
(円城寺小春)

最終更新:2017/08/18 18:45
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