[女性誌速攻レビュー]「bis」プレ創刊号

「LARME」元編集長が「bis」復刊! キラキラ女子雑誌が「性と死」の匂いがするバイブルに大転換

2017/07/08 19:00

トレンドや実用性もあり

 ただこの雑誌の面白いのは、トレンドや実用性をがっつり重視したページもあるところ。「ヘルシーサマーなスイッチ着回し対決」では、ユニクロ、ザラ、FOREVER21、WEGOなど、人気プチプラブランドの奇抜でないトレンドアイテムが並びます。5~8月までの着回しが載っていることもあり、9月の創刊号発売までずっと参考にできそうですね。

 またコスメ特集も、プチプラコスメからデパコスまでまんべんなく登場しますが、どれもターゲット読者が届きそうな価格帯のアイテムになっています。塗り方なども詳しく解説されているため、非常に使えそうなページ。しかも、写真や情報が整然と並び、とても読みやすい誌面になっています。

 つまり、志田未来などの有名タレントが登場し、小説やショートストーリー、バカ高い服などが掲載され、好きな世界をのびのびと表現している「世界観重視」のページと、一般的なモデルが登場するプチプラアイテムの着回し特集やコスメ・ヘアメイク特集の「実用性重視」のページが、半々くらいで共存しているのが、この雑誌のようです。

 こうすることで、雑誌を写真集や小説感覚で読む――つまり、実用性を求めず、自分が「かわいい、美しい」「なにか気になる」と思うものにとにかく触れたいという読者の気持ちと、カタログやハウツー本感覚で読む――掲載されているアイテムやハウツーを真似したい、とことん参考にしたいと思う読者の気持ちの両方向にアプローチしているように思います。

 かつて「美しい誌面であれば、文字は読めなくてもいい」「着回しはやらない」などと編集長が主張していた「LARME」は、どちらかというと世界観重視に傾いたので、大きな変化なのではないでしょうか。これは、「雑誌として生き残るために実用性も重視した」というある種の編集側の妥協(もしくは戦略)のようにも、年齢的に「現実が見えてきた」けれど、「こうありたい自分」を捨てきれない20代前半の女性の葛藤に寄り添う姿勢にも思えます。

 ちなみにプレ創刊号の発売日には「bis」の公式webサイトもオープンし、毎日のようにコスメのリリース情報やトレンドニュースを配信しています。新鮮さが重要視される情報はあえて雑誌には載せず、ウェブに集約させるようですね。こういったウェブでの試みの反響を含め、9月の創刊号はどういったものになるのか。楽しみでしょうがないです。
(小麦こねる)

最終更新:2017/07/08 19:00
bis(ビス) (光文社女性ブックス VOL. 163)
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