「元極妻」芳子姐さんのつぶやき

突然ですが「ヤクザ罪」ってご存じですか?――元極妻が明かす、ヤクザが逮捕されるワケ

2017/06/25 19:00
gokutsuma2
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 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

 6月16日、神戸山口組のトップ・井上邦雄組長がまた逮捕されましたね。その10日前には携帯電話が「30代知人女性」の名義だったとして詐欺容疑で逮捕されていますが、大親分を逮捕するには、どっちも昔ならあり得ない容疑です。「トップを拘留して組の動きを封じるためでは?」と見られているようですが、そんなに長い拘留はできないでしょうし、実際のところよくわかりません。

■ヤクザであること自体が「罪」

 そんな話をしていたら、編集者さんから聞かれました。

「ていうか、ほかの組員さんは、どうやって携帯電話を入手しているんですか?」

 おお、素朴ないい疑問ですね。実は、ちょっと前までは自分名義のケータイを持ってるヤクザのほうが珍しかったんですよ。いわゆる「トバシ」(わかんない人は検索してください)やプリペイドカードで使う携帯電話が多かったです。今は自分名義で使っている人が多いですし、彼女や「周辺者」(盃はあげてない若い衆)に買わせることもあります。

 とはいえ、同じことをしていても、全員が逮捕されているわけではないですよね。これはなぜなんでしょう。

 ぶっちゃけボーイフレンドに携帯電話を契約してもらって使っている女の子がいても、そもそも警察からマークされませんよね。また偽名でホテルに泊まっても、事務作業用のハサミやカッターナイフを文具ポーチに入れていても、普通は逮捕されません。でも、ヤクザだと「旅館業法違反」や「銃刀法違反」で逮捕されることもあるのです。これが、「ヤクザ罪」なんです。「ヤクザだから」逮捕するということです。

 私が知り合いの刑事さんから聞いたお話では、「自分名義のほうが盗聴しやすいから、たいていは使わせて泳がせている。それにオンナや若い者に買わせている件まで全員摘発したら、留置場がいっぱいになっちゃうから、やれるわけない」そうです。つまり逮捕しようと思えばできるけど、全員ではなくて、井上組長のような幹部さんだけを逮捕するようです。

 「それがイヤならヤクザをやめろ」とおっしゃる方の気持ちもわかります。同じ犯罪でも懲役は長めですし(これも「ヤクザ罪」のひとつ)、上下関係は厳しいし、ヤクザをしていても何もいいことありませんしね。でも、亡きオットや周辺の組員さんたちを見ていると、「ほかに行き場がないから、ヤクザとして生きていくしかない人たちなんだな」と実感します。ほとんどが育った環境に問題があって、不器用で寂しがり屋なんです。やりたくてヤクザをやっている人なんか、まずいませんよ。

 「ヤクザをやめろ」という前に受け皿を作ってあげないと、行き場がなくなって、ますます悪いことをすることになります。

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