弁護士が解決! テレビの疑問法律相談所

泰葉が元夫のDVを告発! 10年前の被害を訴えることは可能?

2017/05/06 15:00
yasuha-blog
泰葉公式ブログより

「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。

<今回の番組>
『ワイドナショー』(フジテレビ系/4月30日10時〜)ほか

<今回の疑問>
10年以上前のDV被害を訴えられるのか?

 タレントの泰葉が、4月24日に更新したブログで、元夫の春風亭小朝から過去の結婚生活でDV被害を受けていたことを発表し、『ワイドナショー』(フジテレビ系)で松本人志が泰葉に苦言を呈すなど、話題を呼んでいる。泰葉はブログを通し、「長かった髪を引きづり回され水風呂に投げ込まれました」「階段から突き落とされ肋骨にヒビが入る怪我をした」「三木助と楽しく話をして電話を切ったら嫉妬した小朝が私をかけ布団でぐるぐる巻きにして二階から突き落としました」「私の双極性障害の原因はこの虐待によるもの」と、DVの内容を訴えている。

 泰葉と小朝は2007年に離婚が成立しているが、そもそも過去のDV被害について、数年後に提訴することは可能なのだろうか? アディーレ法律事務所の鳴海裕子弁護士に聞いた。

「まず、泰葉さんのブログの内容から、『暴行・傷害罪』ということを前提にお話しします。ブログのタイトルが『告発』であることから、小朝さんから受けたとされているDVについて、刑事責任を問うべく告訴・告発(刑法208条、204条、刑訴法230条、239条)できるのかという点ですが、DVの典型例である暴行罪の公訴時効期間は3年(刑訴法250条2項6号)、傷害罪は10年です(同条2項3号)ので、この期間内に告訴・告発しなければ刑事責任を問うことはできません。なお、暴行罪や傷害罪は親告罪ではありませんので、告訴がなくても起訴される可能性はあります」

 なお、暴行罪の公訴時効については、「基本的に暴行を受けた時、怪我をした時から進行する」と鳴海弁護士は述べる。

「泰葉さんは、小朝さんのDVのせいで双極性障害という鬱病を発症した(DVによる傷害)と訴えていますが、小朝さんのDVと双極性障害の発症の因果関係が極めて不確かで、証明するのは難しいので、やはり、実際の暴行を受けた時からとなるでしょう。すると、離婚したのが07年ですでに10年前であり、DVは離婚より前に行われていたものと考えるのが自然であるため、すでに公訴時効が完成している、もしくはギリギリ、といえます」

 もし、泰葉が提訴した場合、損害賠償請求(慰謝料請求)は可能なのだろうか?

「泰葉さんが小朝さんから受けたDV被害は、不法行為(民法709条)に該当し、その消滅時効は、損害(怪我)と加害者を知った時から3年とされています(民法724条前段)ので、これも実際の暴行を受けた時から3年で消滅時効が完成してしまいます。よって、泰葉さんは慰謝料も請求できない(正確にいえば、請求しても消滅時効を主張されて消えてしまう)ということになります」

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