エロというより色気と官能、女性こそ観てほしい「ロマンポルノ」

2017/05/02 20:00

1976年、フランスで生まれの女性写真家、ソフィ・エブラード。イギリス・ロンドン・オランダ・アムステルダムと幅広く活動している彼女が、日本で初の個展『It’s Just Love』を京都で開催中です(5/7まで)。「ポルノ業界における個人の人間性に光を当てる」をテーマに、ポルノ撮影の前後の出演者たちの談笑する姿、アイロンをかける姿など、自然な風景を切り取った写真が並んでいます。

「ポルノの美しさ 敬意を伝えたい」撮影現場に密着する女性写真家、タブーへの挑戦

 彼女が表現する「ポルノ現場」は、日本でいうところの「AV撮影現場」。海外のAVも鑑賞したことがある私としては、非常に興味深い個展でもあります。

◎日活ロマンポルノ

 「ポルノ」と聞いて思い出したのは昨年、生誕45周年を迎えた成人映画レーベル「日活ロマンポルノ」。1970年から17年間に約1100本の作品が生み出されたそうです。多くの作品を製作していた日活ロマンポルノも、AV市場の拡大に押され1988年に一旦製作終了となってしまったのです。が、昨年、「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」と題して、28年ぶりに再起動! <総尺80分前後・10分に1度の濡れ場・製作費は全作品で一律・1週間の撮影期間・完全オリジナル脚・ロマンポルノ初監督>という6つのルールで製作。有名監督5名が作品を創ったことで再度注目を浴びました。※5作品が5/2~5/6のGW中にBSスカパー! で連日放送するそうですよ!

「エロい」目線で見てたらケガをする
私自身「ポルノ」のイメージは、「AVほど露骨ではないけど、エロいんでしょ? どうせだったらAV観るわぁ~」という認識で、観たことがありませんでした。ただ、先日はじめて日活ロマンポルノの作品を鑑賞して……オデコに痣ができるほど土下座して謝罪したい所存であります。アッパーを食らうほど衝撃を受けたのですよ。

◆『(秘)色情めす市場』

 数ある作品の中でチョイスしたのは、“ロマンポルノの傑作”と称えられているされた、作品『㊙色情めす市場』(1974年公開)。舞台は大阪の旧赤線地帯。売春婦の母の元に生まれ、障害を抱える弟の面倒を見る19歳のトメ(芹明香)が主人公。娼婦・愛人・ヒモ・私生児・指名手配犯など、“ワケあり”だらけの人間が集まる街が生々しく描写され、そんな人間の中でカラダを張ってしたたかに生き抜く女性の姿が描かれています。

 開始1時間ほどはモノクロなんですが、モノクロでも溢れ出るトメの色気は女の私が観てもたまらんのです。悲哀に満ちた表情、弟といる時にだけ見せる穏やかな表情も際立ちます。終盤からパートカラーになると同時に、展開も急変するんですが……。ラストは衝撃的で、観賞後はなんとも表現しがたい複雑な気持ちが残りました。カラーを使ったシーンには一切裸のシーンがないんですが(ロマンポルノのカラー制約のため)、それが無性に官能的! ただ「エロ」という視点だけではなく、心を揺さぶる作品でございました。

 好きなワンシーンがあります。名器「ミミズ千匹」であることをアピールし、客引きをするトメ。挿入中、男性客に「ミミズっていうより、ドジョウやな」と言われた彼女が「ミミズもドジョウもいつの間にか逃げてもうたわ。もう、ただの穴ぼこや!」って言うんですよ。これ、字面だと何だか笑えますけどね、このシーンこそが、ものすごく胸を掴まれました。

 その他の作品を鑑賞していないので、一概には言えないですが「ロマンポルノ」作品は、女性にこそ響くものがあるかもしれません。GWに是非観ていただきたい!

最終更新:2017/05/02 20:00
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