【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由

不倫のきっかけは「妊娠した同僚への嫉妬」――母ではなく女として求められようとした、妻の後悔

2017/05/03 19:00
murasaki0501
(C)いしいのりえ

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。どちらの呼び名にも大差はない。パートナーがいるのにほかの男とセックスする、それを仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃない? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。

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 昔から“不倫”がテーマのドラマや映画は多く発表されているが、3年前に放送された上戸彩主演のドラマ『昼顔』(フジテレビ系)の大ヒット以降、特に“不倫モノ”の勢いが増しているように感じる。『昼顔』は来月映画が公開、また今クールも、波瑠が主演を務めるドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)が話題である。

 これまで不倫や婚外恋愛などは遠い存在であったが、あらゆるメディアで取り上げられるため、身近に感じる既婚女性も増加しているのではないだろうか。

 今回お話を聞かせていただいた真理子さん(仮名)も、そう感じていた1人である。

■きっかけは不妊治療のストレス

「もちろん私には無関係な話だと思っていましたよ。でも、いざやってみたら、案外簡単に相手が見つかることに驚きました。ああ、こんなに気軽に不倫ってできちゃうんだ、って」

 30代後半の真理子さんは、結婚して10数年。学生時代に知り合ったご主人との間に子どもはおらず、正社員としてフルタイムで働きながら、現在不妊治療中だ。

「不倫をするまで、夫以外の男の人はほとんど知りませんでした。でも、だからといって特に不満もなかったですね。夫とは学生時代からの友人で、とても気が合いますし、もともと私はそれほど恋愛体質ではありませんから」

 ご主人も、恋愛に対してあっさりしているといい、とてもウマが合ったのだそう。順調に交際を重ねて、結婚適齢期に差しかかった20代の頃に同棲を始め、結婚をした。

「主人とは同じ年ですけど、たとえるなら兄妹。性格も合うし、生活していてまったく窮屈なところがないんです。だから、主人と2人の生活が楽で、つい子作りが先送りになってしまいました」

 お互いの仕事も落ち着き、新居を構えたところで、ご主人から「そろそろ子どもを作らないか」と提案されたという。

「私もちょうどいい時期だと思って賛成しましたが、想像以上にうまくいかなくて……年齢が近い同僚が、立て続けに妊娠した時にはキツかったですね。彼女たちと私の何が違うんだろうって、正直とても嫉妬しました……そんな彼女たちへの嫉妬心が、不倫に走ったきっかけだったと思います。私はもともと物事にあまり執着がないので、自分より美人でスタイルのいい人を羨ましいと感じたり、仕事ができる人にあこがれたり、っていう気持ちが薄くて。人を羨ましく感じることがなく育ったので、こういう気持ちを抱いたのは生まれて初めてです」

 これまで何の不満もなかった真理子さんの生活に「不妊治療」というひとつの強いストレスが生まれた。

「彼女たちにできなくて、私ができることは何だろう……と考えて、その結果が“男遊び”でした」

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「不倫してみてよかった」ということもある
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