日本でも実施してほしい! 恐怖・不快・感触…ペニス付きの座席が伝えた強いメッセージ

2017/04/20 20:00

メキシコの首都・メキシコシティの電車車両にひとつ設置されているのは、ちんこ丸出しの男性の裸体を象った座席“ペニス付きシート”。これに対する乗客の反応(映像)が「Experimento Asiento(実験座席)」というタイトルで3月20日に公開され、2週間で170万回以上の再生数を記録し話題になっています。

◎ペニス付きの座席の座り心地って……

 隣にある“ペニス付きシート”を怪訝な顔で凝視する女性、友人同士でふざけて座らせようとする若者たち、遠くから空いてる座席を見つけて勢いよく座ったものの、お尻に感じる異物に飛び上がる男性、「お尻になにか敷けば大丈夫だろう」と座席とお尻の間にジャケットを挟むも違和感を感じ、座ることを諦める男性など。キツい下ネタのドッキリなのかと思ってしまいそうですが、この座席の足元にはメッセージが貼り付けてられています。<このシートは居心地悪いものですが、女性が毎日電車で経験している性的暴力とは比べ物になりません>

電車の座席にペニスをつけるという実験

 実はこれ、“ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関”「UNウィメン」とメキシコシティが連携し、“性的暴力を防止するため”今年1月の1カ月間実施していたキャンペーン。

※情報サービス企業トムソン・ロイター財団が16カ国で調査したランキング「女性にとってもっとも危険な公共交通機関のある都市」で、第1位のコロンビアの首都ボゴタに続いて、第2位となったのが、メキシコシティ。

 なんて迫力のあるキャンペーンなんでしょう! 正面から「性犯罪・性暴力反対!」と掲げ訴えることも、もちろんとても大事なことだし意義のあることだと思います。ただ、この映像を観たとき……被害者が感じる「恐怖」、不快な「感触」を身を持って経験することは、とても大きな発想の転換を促すのではないか、と強く感じました。

◎日本でも活動しているプロジェクト

 ちなみに「もっとも危険な公共交通機関」で、日本の首都・東京は15位(16カ国中)。治安が良く“安全”なイメージの強い国ではあるのでしょう。しかし痴漢被害に泣き寝入りしている人々が全員、その被害を申告したらランキングはどうなるか? コロンビアやメキシコを上回る可能性すらあると思いませんか。

 もちろん日本でも、痴漢加害が相次ぐ現状を変えようと、様々な団体が努力を重ねています。昨年10月、4つの支援団体で結成された「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」は、性暴力に対する見方を変え、みんなが前向きに生きられる社会を作るためのキャンペーン「Believe~わたしは知ってる~」を立ち上げています。109年ぶりの刑法改正の実現や、自身の体と性における意思を尊重する法律を目指し、今年の6月までに「明治時代から変わらない『刑法性犯罪』を改正し、暴行脅迫要件を無くす」「社会の意識に働きかけ、性と性暴力を取り巻くカルチャーを変える」と標榜。少しずつであっても、社会の意識を変えていくしかないのです。

 個人で何か行動を起こすことはなかなか勇気が要りますが、このように団体が実施しているキャンペーンやイベントに参加すれば何か変わるかもしれない。安心して交通機関を利用していけるものにしていきたいですね。

最終更新:2017/04/20 20:00
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