[おちぶれ続けるアラフォー風俗嬢と男たち]

「さすが吉原」――デブのおばさん風俗嬢が、吉原で“ソープ嬢デビュー”して見えたこと

2017/04/23 21:00
yosiwara-shrine
吉原神社です

――男が、恋人や友人ではない、風俗嬢にしか見せない姿や感情はどんなものだろうか。セックスをした「他人」だけに見せる、男たちの情けなさ、みっともなさ、滑稽さ、そして優しさをアラフォー風俗嬢がつづります。

 出稼ぎ生活に終止符を打ち、東京でまた頑張るぞと心機一転、デブのおばさんでも働けるデリバリーヘルスのお店を探した。都会の変に風俗擦れしたお客さんの、勝手な想像によると、毎日毎日長時間の連続出勤をしている風俗嬢のまんこは汚いようで、そう思っている人の多さに笑える。

 毎日出勤している子は避けるんだよねーとか、まるで俺の研究結果とでもいうかのような人が意外と多い。お店を1カ所だけではなく、掛け持ちしている女の子が増えているだけなのに。なので、新潟の出稼ぎで鍛えた忍耐と経験力で、東京ではいくつか掛け持ちして、それぞれのお店で本指名客を捕まえる、そんな案でいこうと思った。

 ところがやっぱり太ったおばさんは、稼ぐ以前に指名が入りにくい。面接の時に体形的に厳しいと思うけれど、それでもよければ頑張ってみてと言われたり。それでも雇ってもらえるだけで有難いと、気がつけば人妻系のデリヘルとデブ専門店のホテヘル、併せて4カ所の掛け持ちを始めた。これで、1つのお店で鬼出勤をする、まんこが汚い風俗嬢には見えないだろう。うまく均等に回して出勤していれば、お茶を挽くこともなく安泰だろう、なんて思っていた。

 世の中そんなに甘くなかった。時期は夏の終わりのシルバーウィーク前後で、みんなお金がない時期。そこから秋の閑散期に突入。まぁ見事にお茶を挽きまくった。閑散期に本指名のお客さんを持っていないのは致命的。本指名のお客さんを持っている人は、お店を変えない方がいいというほど苦戦する。

 特にお茶を挽きまくったある人妻デリヘルは、ドライバーがいないお店で、お客さんと駅などで待ち合わせてから一緒にホテルに入る、待ち合わせ型のヘルス店。事務所に待機部屋などもないので、新宿や池袋などの大きな街や、ホテルがたくさんあるような五反田や鶯谷などの街のカフェなどで、各自待機する。お茶代は自腹。待機するためだけにカフェやファミレスに入り、何時間も滞在しお茶を挽けば赤字で帰る。

 こんな割りに合わない仕事はない。

 気が付けば、出勤日数の半分以上でお茶を挽き始め、のん気に毎日ファミレスでお金を使っている場合じゃない、今月の家賃支払いも危うい状況になってきた。このままじゃマズイ。そこで、Twitterで相談に乗ってくださった風俗嬢さんで、ヘルスとソープを掛け持ちしている方が、「ヘルスはお茶挽きがあるけれど、ソープはまだないから行ってみたら」と教えてくださった。ヘルスで私が働けるお店を探すのにもう疲れた。ヘルスは無料サービスに加え、どんどんプレイも過剰になってきているので、私ではできないことも多い。

図説 吉原事典 (朝日文庫)
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