認可保育園「見学しない派」が、申し込みの希望順位を決めた基準とは?

2017/02/22 20:00

保活における情報収集作業で、大きなウエイトを占めるのは〈園の見学〉でしょう。保育士たちの子どもへの接し方や、在園児たちの雰囲気など、自分の目で確認しておくべきポイントはたくさん。ところがどれだけ入念に見学したところで、最終的には内定をもらえた園に行くよりほか、道はありません。そのせいか保活時には、〈見学する派〉と〈見学しない派〉にわかれます。私の場合は、〈極力しない派〉。認可保育園の〈一定基準はクリアしているという点を信用する〉と決めたことと、フリーランスなのである程度融通がきくとはいえ仕事時間を見学に削られるのは結構痛い、という2点が大きな理由です。かわりにネット上の情報と、ひたすら想像してみた子どもの園生活を合体させ、自分なりの判断基準を設定してみました。

我が家のポイントは「園庭」「クラス人数」「情報量」「口コミ情報」の4つ。考え方は各家庭によってそれぞれですから、あくまで〈こうやって決めた例もある〉というだけの雑談ではありますが、これから保活を始める方へ何かしらのご参考になれば幸いです。

また、最後には0歳児時点での保活で失敗した際に見かけた、預けるには結構な勇気がいる認可外保育園もいくつかご紹介したいと思います。

◎やっぱり「園庭アリ」は優先項目

待機児童解消に向けて認可保育園の規制が緩和されたことにより、園庭のない保育園でも付近の公園などを〈代替〉とすることで、認可として認められるようになりました。受け皿を増やすためにはいろいろな形が必要でしょうし、園庭がない分毎日いろいろな公園で遊べる楽しみや、集団で公道を移動する際のルールが身につきやすくなるなど、いい面もたくさんありそうです。

でもやはり園庭があれば、お天気が微妙な日などに短時間でもパッと外に出てリフレッシュできるというのは大きな魅力です。子どもによっては、外遊びできないとフラストレーションがたまりまくる! というタイプもそこそこいそう。プロの保育士たちが長年の経験と知識を持って対処してくれているでしょうからこう考えるのは申し訳ないとは思いつつも、園庭のない環境だと梅雨時なんかは室内が何だか荒れそう……という心配が。やや小心者っぽい雰囲気がチラホラ見受けられるようになってきたわが子が、部屋の隅で萎縮している姿も想像してしまい、園庭優先ということにしました。もしかしたら自分自身が、ものすご~く狭い(全校生徒が校庭に出るとみっちみちになり、体育館は地下!)都内の某小学校に通っていた反動かもしれません。

◎クラスの人数は、多すぎず少なすぎず

認可保育園はめったなことでは空きが出ませんから、小学校に上がるまでの平日の日中、ほぼ固定メンバーで過ごすことになるでしょう。お友達とは「誰とでも仲良く遊びましょう!」なんていっても、どうやってもお互い水が合わない相手が出てくるのは当たり前。そんなとき、一番無難な対策法は〈無理して仲良くしなくても、気の合う相手と遊べばいい〉だと思いますが、あまりに少人数だとそれができないのが辛そうです。

なんてことを考えてみると、4~5歳クラスの各定員20人程度の園が妥当かなと思いました(園の総定員にして100名前後)。もちろん保育ママや小規模園ならではの魅力もたくさんありますので、どれが一番! ということはありません。「うちの子だったらこんな感じがいいかな」という程度のお話です。

◎新設園や民営化予定園など、運営会社の情報が少ない園は希望順位を低めに設定

昨今は区立の保育園が次々と民営化されたり、待機児童対策により新設園がどんどん設立されていきます。そのため新設園の場合はどんな保育をしているのかという実際の評判が存在しないこともあります。またタイミングよく室内を見学できてもオープン前では〈保育現場〉が確認できないことから志望者が少なくなる傾向があり、だからこそ〈狙い目〉という考え方もあります。

でも、自分はそういう新設園に不安を感じる派。某保育園では〈オープン後1年の間に、次々と保育士がやめていった〉なんて話もあり、入園した子供たちが落ち着いて過ごすどころではなさそうです。今年はさらに〈数年後に民営化になるけれど事業者は未定〉なんて園が少なくありませんでした。これもまた不安要素は同様です。認可保育園に入れる可能性が限りなく低いこのご時世、情報の少ない園をリストから外すということまではできませんでしたが、希望順位は限りなく下げたのでした。

◎ネットで拾う口コミ情報は「転職サイト」もチェック

地域の評判や、ママ友からの〈口コミ〉情報も大きい判断材料です。それらはもちろん、私はネット上の口コミもどんどん検索していきました。保育園の情報が掲載されるサイトの運営方針によっては〈特定の事業者に対してのネガティブな内容の書き込みは禁止〉などのルールが設けられていたりもするので、ネット上の口コミ情報は比較的いい話に偏るのが難点ですが、〈転職サイト〉はそれを補ういいヒントになりました。

私立の場合、保育園名ではなく運営会社で検索すると、現場からの声と思われるクレームが書き込まれているところもあります。施設がいくらキレイで素敵でも、そこで働く保育士さんたちが不満を爆発させているような環境は、結局のところ子供へしわ寄せがくるはず。それらの園に加え、建設時に地域で反対運動を起こされていた経緯があったりする園もリストから削除。周囲からクレームが来るので窓を開けられなかったり園庭が使えなかったり、いろいろと大変なようです。

◎個性的すぎる園は、詳細を要確認

以上が我が家の認可保育園を選んだ基準ですが、入園後に「保育方針がていねい過ぎてついていかれない」と転園申し込みをした地方在住の友人がいました。その地域では超有名な自然派園とのことで、持ち物はキャラ禁止、裸足で泥んこになって遊ぶので着替えは毎日10組。これだけでもひえ~と思っていたら、各種袋ものの中に〈どんぐり入れ〉という項目があるのが極めつきでした。その袋が手づくりであることはもちろん、名前も〈刺繍〉で入れること必須。「マジックで書いちゃダメですか」と聞いたところ、サクッと却下されたそうです。ダイナミックな制作物や、広大な敷地、大型動物の飼育など魅力は大きかったけど「とにかく、めんどくささに負けた」と、友人。傍から聞いていると大笑いなのですが、当人はさぞかし大変だったことでしょう。

友人の場合は年度途中の転居などもあり、その自然派園しか空きがなかったので選べる状況ではなかったという事情もありますが、数ある中から事前に候補を絞れるなら、あまりに自分と教育方針がかけ離れていたり、子どもの性質と合わなそうな保育内容の園は、避けられるなら避けておきたいところです。それにしても、どんぐり入れ袋って(笑)。

ということで個性的な園は〈毎日の持ち物などもよくチェック〉という項目も付け加えておきましょう。

◎認可外は、見学必須!

それぞれの特色が強い認証保育園やベビーホテル等の場合は、逆に〈見学必須〉と言えるでしょう。いくつか見学した中で強烈だったのは、室内をひと目みた瞬間〈カオス〉という単語が頭をよぎった保育所です。昨年2月に認可保育園に落ちた後、保険となる園をキープできていなかったため、大慌てで〈4月からの0歳クラスに空きはないか〉〈今どれくらい順番待ちがいるのか〉とかたっぱしからメールで問い合わせを開始。普通はその時期、とっくに申し込みなど終わり既に入園者が決まりつつあるころですから、当然のごとく返信はありません。ところがその園からは即レスで「0歳さん、預かれます!」と返信が届いたのです。え、本当!? と一瞬嬉しくなると同時に、「この時期に空いてるって、なんだろう」という気持ちも……。

保活激戦の都内は、認可落ちした場合の保険としていかに早いタイミングで認可外を抑えておくかが勝負になり、この時点で空きがあるなんてことは、珍しいを通り越し何だか怪しい。結局怖いもの見たさで見学してみたのですが、いやあ、すさまじかったです。狭くて急な階段を上がった雑居ビルの2階にあった保育所は、0~5歳が1部屋で過ごし、ギャワ~と泣き叫びながらバンボに座らせられている乳児の周りを、4歳くらいの男児たちが戦いごっこをしながら全力で走り回り、ベソベソとぐずっている園児には「泣けばかまってもらえると思ってるわけ?」と園長から厳しいお言葉がぴしゃり。そしてその中を、一番年上かと思われる女児が、一生懸命小さい子を抱っこしたりおもちゃを渡したり、忙しそうにひたすら働く働く。「うちは大家族みたいな感覚なんです」とのお話でしたが、なるほど雑然とした部屋の状況といい、ビッグダディとかそっち系の大家族のイメージとは完全一致です。

さらに離乳食はおろか麦茶などの飲み物も全てパックのものを保護者が持参、普通食が食べられる年齢になるとお昼は保育所が注文する仕出し弁当を食べさせるとのことで、栄養的にもちょっと心配。「ここに預けるくらいなら、仕事辞める」と思えてきました。これでも第3者評価だけ見れば、問題があるような園には見えないんですよね。

このほかに「たったさっき、0歳クラス1名空きが出ました!」と連絡をくれた認可外保育園は、24時間土日も預かりOKという、夜のお仕事の保護者にはありがたい条件でした。認可保育園では〈通常保育は9~18時〉〈朝は9時までには登園〉などのルールがあるのに対し、ここは〈昼過ぎでも、連れてきた時間から契約した時間内を預かりますよ〉など、認可にはありえないゆるゆる規則。さまざまな国の子どもが在園していたり、超絶柔軟な対応など、自由業の身にはかなり魅力がありましたが、ずるずると自分の不規則生活が子供にも影響しそうな気がしてしまい……。シャワー室がワンルームマンションのユニットバスそのまんまだったり、子ども用のトイレも微妙に狭くて暗いなど、水回りがやや不快だったのも、および腰になってしまうポイントでした。それでも認可に落ちてからの園探しという状況だったので、〈0歳の間だけならギリギリ許容範囲〉ということで、入園金+1カ月の保育料前払いで10万近く支払いましたが。

その他には午睡光景がまるで〈タコ部屋〉状態になっている園も、凄かったです。ベビーベッドに頭を突っ込んで寝ている大きい子や、団子のように固まって寝ている推定1~2歳児など、事故が起こりそうで、ああ怖い。これらの認可外保育園を見たあとで、その次の年のためにといくつか認証園を見学しましたが、そこでは美しく整列したコット(簡易ベッド)に園児がひとりひとり気持ちよさそうにおさまり、仰向けOR横姿勢ですやすや眠っているではありませんか。ああ、やっぱりこういうところに預けたい! 結局その後、たまたま問い合わせをしたタイミングがよく、至れり尽くせり愛情たっぷり保育してくださる認証保育園の0歳クラスに決まったので、本当にラッキーでした。

今しかできない体験と思えば保育園の見学も楽しく思えてきますが、育児家事仕事をしながらの見学は限度がありますので、闇雲に回るよりは自分基準を決めるのも、ひとつの手ではないでしょうか。それにしても、もう1度やれと言われたら全力で拒否したい活動です。有料でもいいから巷のお受験対策みたいに、傾向と対策と条件にマッチする場所を一緒に考えてくれるアドバイザーがいると、世の親たちはこのうえなく助かりますのに。何だか精神的に、どっと疲れた保活でした。これから先、もっといいシステムが生まれることを祈りつつ、保活に関わる皆様のご健闘をお祈りいたします!

(ムシモアゼルギリコ)

最終更新:2017/02/22 20:00
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